20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

『おはなしの森』(「おはなしの森」会編・神戸新聞総合出版センター)

2012年04月20日 | Weblog
            
 
 帯には、20の心から20編のおくりもの、と書いてあります。
 20編の作品を読んでいくと、どれもこれも心があたたかくなるようです。
 
 その中から2編、ご紹介。
『クマ町』(森くま堂)
 クマだけが住むクマ町のお話。
「クマオくん」は、その町におとうさんとおかあさんと三人で住んでいます。
 大工さんのお仕事をしているおとうさんは、風邪のためベッドに寝ています。
「クマオくん」は、仲よしの「クマコちゃん」にキンカンの実のシロップづけをもらう約束で出かけていきます。おかあさんはおとうさんの大好物の「ハチミツ豆」をことことと煮ています。
 でもさびしがりやのおとうさんは、ひとりでベッドに寝かされていることに不満そう・・・。
 そんな「クマオくん」は仲よしの「クマコちゃん」と遊んでいて、子グマと出会います。
 ひとしきり3人は遊んだあと、「クマオくん」は子グマから小さな小さな木彫りの家をもらいます。それを見つめていたら・・・。
 特徴的なのは、森くま堂さんの文体です。
 まるで翻訳の幼年童話のようです。
 以前「んの反乱」という作品を読ませていただいておりましたが、そのときにも感じたことです。ありきたりな表現ではなく、とても工夫されています。
 いえ、そのセンスこそが、森くま堂さんの大きな武器になるだろうと思いました。


『まいごのネズミ』(白矢三恵)
 交番のおまわりさんの「やすおさん」のところへ、迷子のネズミがやってきます。
 いつもやさしいと評判の「やすおさん」は、いまにも泣きそうなネズミから、「家」を見つける手がかりを聞き出していきます。
 ネズミの「チューキチ」が話す、その家への手がかりを聞きながら、読者はだんだん手に汗を握りしめます。
「もしかして・・・・」
 胸が高鳴ります。
 その「もしかして・・・」が少しずつ確信にたどりついていきます。
 そうしたストーリー運びが、小さい子ども向けのご本としてとてもお上手です。
 この「もしかして・・・?」の感覚を、引きずらせながら物語を作っていくというのは、小さい子のお話の場合、重要な「鍵」のような気がします。
 そして結末がわかり、ほっとする。
 この、ほっとする感覚も大切です。
 そのあたりが絶妙なテクニックで描かれています。

 皆さま、ぜひお読みになってください。
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春季・二科展

2012年04月19日 | Weblog
           
 
 4月17日~23日(月)まで、改修工事が終了し、新装オープンした上野の都美術館で、春季・二科展が開催されています。

 拙作『モーツアルトの伝言』(ポプラ社)の絵を描いて下さった永田治子さんも出展されています。

 上野方面にお越しの際は、ぜひお立ち寄り下さい。
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最終選考委員会

2012年04月18日 | Weblog
          
 
 今日は夕方から新人賞の最終選考委員会です。
 発表は、本日決定する受賞者をのぞき、4月末です。
 ご了承ください。

 毎年、力のある新人作家が誕生しています。
 また児童文学協会の場合、新人賞受賞対象は単行本3冊までとなっております。
 ですから、昨年受賞対象になった人が今年も対象にということはあり得ます。

 2月のはじめから、昨年一年間に出版されたご本を、一冊も漏らすことなく選考委員の皆さんと読み続けてきました。
 私自身も読みながら、どれだけ励まされ、そして勉強させてもらったかわかりません。
 着想の新鮮さ、手法のおもしろさ、そして読者に読ませる工夫・・・。
 なにより、書くことへの真摯な姿勢が伝わってきました。
 そんな本にたくさん出会えました。

 昨年出版された皆さんの、どのご本もすばらしかったと、いまは書くことを讃えたい気持ちでいっぱいです。
(写真は、お隣の公園に咲いていた「紫花菜」むらさきはなな?)
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新法人移行

2012年04月17日 | Weblog
 今日は夕方から、4月の定例運営委員会です。
 その前に事務局で、新法人へ移行したことに伴う、いろいろな協議を・・・。

 日本児童文学者協会は法人改革により、それまでの「社団法人」から、4月1日付けで「一般社団法人」に変わりました。
 日本児童文芸家協会も、日本児童出版美術家連盟も同じく「一般社団法人」です。

 日本児童文学者協会は、それまでいわゆる名誉職である「会長」を定款で定めておりましたが、これを機に廃止し、「理事長」のみとなりました。
 ですから5月の総会までは、これまで「会長」だった那須正幹さんは「理事長」となります。
 また、これまで「運営委員」だった人たちも,全員が「理事」になります。

 日本児童文学者協会が創立されて、今年で66年。
 数年後には70周年です。
 会員数は、沖縄から北海道まで1000人近く。大所帯です。
 けれど長い歴史の中で、こうして定款が大きく変わったのは、ほんとうに久しぶりのことです。
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曜変天目茶碗

2012年04月16日 | Weblog
           
 
 昨日の日曜日の朝。
 毎週観ているNHKの「日曜美術館」で、大阪にある藤田美術館所蔵の国宝をやっていました。

 なかでもまだ覚めきれぬ頭に、まるで雷でも打ちつけれたような衝撃を受けたのが、「曜変天目茶碗」。
 いつ見ても、息をのむようなうつくしさです。

 黒い釉に、曜変と呼ばれる瑠璃色の宝石をちりばめたようなうつくしさには、ほんとうに目が覚めました。
 天目茶碗というのは中国で作られたお茶碗です。
 また曜変とというのは、内側の黒い釉薬の上に大小の星と呼ばれる結晶体が群れをなして浮かび、その周囲に暈天のように、瑠璃色あるいは虹色の光彩が取り巻いているものを言うそうです。
 この茶碗の内側に光を当てるとその角度によって変化自在に、七色の虹の輝きとなって跳ね返ってくるそうです。
 これは焼いているときに、偶然生まれる奇跡のようなものだそうです。
 日本には国宝級のこのお茶碗が、3つしかないそうです。
 
 以前、世田谷の岡本にある静嘉堂文庫の近くに住んでいたことがあります。
 そのころなんどか、その日本に3つしかないうちのひとつの「曜変天目茶碗」を静嘉堂文庫で見ています。
 静嘉堂文庫というのは三菱の創立者の岩崎弥太郎の弟、岩崎弥之助が作った美術館です。
 鬱蒼としたお庭を歩いていくと目の前に現れる建物。展示品などとても魅力的な美術館です。
 庭園内にある廟(納骨堂)は、ジョサイア・コンドルの設計によるものだそうです。明治43年に建てられたものですが、和の世界の静嘉堂文庫にあって、イギリス的な匂いがしておもしろいです。
 
 それにしても、そんなうつくしい「曜変天目茶碗」を久しぶりにみることの出来た昨日の朝はとても爽快でした。
(写真はNHKのサイトからお借りしました)
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Hallmark Marché

2012年04月15日 | Weblog
         
         
 
 銀座の伊東屋に足を踏み入れたとたん。
「え、ここはフルーツ屋さん?」と一瞬、目を疑いました。
 写真が、その伊東屋のマルシェの様子。

 アメリカのホールマーク社の、ボックスカードや、ヨーロッパで大人気の愛らしいクマのキャラクターの「Forever Friends」シリーズ。
 そしてイギリスのグリーティングカードなどが、本物のフルーツと一緒に並んでいます。
「Hallmark Art Collection」の付箋・メモ・グリーティングカードなども、ステキです。
 フレッシュフルーツをテーマにしたステイショナリーを、マルシェを巡るような気分で見つけ出すというコンセプトだそうです。

 本物?にせもの?
 思わずつぶやきながら、カメラを向けました。
 ステイショナリーショップも、今どきはいろいろ工夫しないと集客が難しいのでしょうか・・・。
 実際、私もステイショナリーを買うのに、あのあたりだけでも「銀座ハンズ」「Loft有楽町」品物によっては「鳩居堂」、場合によっては「有楽町の無印良品」そして「伊東屋」と、その日の気分でお店が、くるくる変わります。
 お客さんというのは気まぐれなので、お店はたいへんです。
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花筏(はないかだ)

2012年04月14日 | Weblog
         
         
 
 桜が風に、はらはらと散っています。
 水面を見ると、そこには花筏が。
 遠くには、雪のような花びらが風に流されていきます。

 満開の桜を見終えて、もうひとつのお楽しみがこの花筏。
 散りゆく切なさをのせ、流れていきます。

         

 木陰に咲いていた桜も、もうそろそろおしまい。
 葉桜に・・・。(写真は数日前のものです。)
 花の季節は儚くて・・・けれど儚さゆえ、人間はそのうつくしさを追い求めたくなるものなのかもいれません。
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日本画の世界

2012年04月13日 | Weblog
          
 
 木の根もとに散り落ちた桜・・・。
 この構図、日本画で見たことがあるような気がします。
 創画会の加山又造が、日本画なのに、こうしたデザイン性のある構図を好んで描いています。
 
 桜のある風景は、どこから切りとっても、またどんな時代であっても、普遍的なうつくしさがあります。
 
 それにしても、散り落ちてもなお、桜は、なんてうつくしいのでしょう。
 やはり人間は眺めることしかできない、幻夢の世界です。
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句会

2012年04月12日 | Weblog
           
 
 4月から隔月開催になった句会。
 今日はその句会です。
 二ヶ月に一度になると時間がたっぷりあります。
 これは相当いい句ができるかもと甘いことを考えていたひと月前が、まるで幻のようにすっかり俳句的思考が鈍っています。

 なんでも日々やり続ける、「継続は力なり」のことわざは真実であったと痛感しています。
 俳句でこれなのですから、創作力を2~3ヶ月前までに戻すのに、いったいどれくらい時間がかかるのでしょうか。
 
 締め切り原稿と、もうひとつ中途のままで待っていただいている原稿。
 本読みも、やっと一段落ついたので、フル回転で創作力を取りもどすべく努力をしなくてはなりません。
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春は朧

2012年04月11日 | Weblog
          
 
 春の日暮れは、どこか朧です。
 冬のきーんと澄み切った日暮れは、透明感があります。
 けれど春は、昼間のあたたかさを孕んだ空気があたりに残っているからかもしれません。

 そういえば、明日の句会の兼題が「おぼろ」
 春の季節は、日暮れでも夜明けでも「朧」という言葉のぴったりするような空気感を纏っています。

「春の海 ひねもすのたり のたりかな」与謝蕪村
 この俳句も、そんなのどかで朧な海が、目に浮かんでくる俳句です。

 さて、俳句・・・。作らなくては。
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