20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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命日

2012年04月10日 | Weblog
           
 
 昨日4月9日は、義父の命日でした。
 父は70歳近くまで仕事をしていて引退してからは、「散歩」と称して愛用の帽子をかぶり、月に2~3度は我が家を訪ねてくれていました。

 お茶を飲みながら、子どもたちの話や、夫の話、私の仕事の話などをあれこれ楽しく語らったものです。
 ひと息つくと、こんどは父が、母のことや、隣に住む弟の家族の話などをしてくれます。

 ときには、父の愛読書だった『山本周五郎』の話になり、「今度、家に来たとき、2階から持って行きなさい」と、本を貸してくれたりしました。
 そんな、あれこれの話にひと区切りつくと、
「さて、と」
 ソファの上に置いた帽子を手にし、
「公園を一駅、歩いて帰ります」と。
 なにしろ、散歩なのですから。
 そんなわけで、帰りは父を送りながら、私も公園を一緒に散歩しました。
 
 そんな楽しかった時間もあっという間にすぎ、それから数年後、父は亡くなりました。
 新宿の戸山にある国立の病院に入院しているときは毎日病院に通い、義妹と交代で一日おきに父の病室に泊まり,話しかけたりしたものでした。
 病院から会議へ出かけたことも、しばしばでした。

 義母も三年前に亡くなり、毎日、朝と夕方、お仏壇にご飯やお水をお供えし、手を合わせるのが日課になっています。
 そして寝る前には必ず今日一日が無事過ぎたことへの感謝のあれこれをお仏壇に話しかけ、手を合わせます。
 いま、夫と私、両方の両親がそばにいてくれることを日々実感しています。
 そして両親たちは、いつもみんなを見守ってくれているような気がします。
 昨日は、しみじみとそんなことを考えていました。

 写真は、近所の公園の桜。
 義父の葬儀の日。
 母校である早稲田大学・大隈講堂の前に霊柩車をとめた瞬間。
 切ないほどにうつくしい桜吹雪がはらはらと霊柩車の上へ舞い落ちました。
 桜の季節。義父の戒名「櫻雲院・・・・・・」のお位牌をみるたび、その光景を思い出します。
 昨日は晩酌で召し上がっていた日本酒を、お仏壇に・・・。
コメント (4)
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