20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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『糸子の体重計』(いとう みく・童心社)

2012年04月27日 | Weblog
          
 
 同人誌『季節風』から生まれた、いとう みくさん渾身のデビュー作です。
 食いしん坊で、いつも明るい細川糸子を取り巻くクラスの人間模様が、短編連作という形で描かれています。
 第一話の主人公は「細川糸子」
 第二話の主人公は「町田良子」
 第三話の主人公は「高峯理子」
 第四話の主人公は「坂巻まみ」
 第五話の主人公は「滝島径介」
 この五人のクラスメートたちが、それぞれとふれあい、拒絶しあったり、憧れたり、ときに悲しんだり、苦しんだりしながら、「糸子」を中心につながっていく物語です。

 その関係性を捉える視点。人間を捉える視点に、読みながら「季節風」の代表だった、後藤竜二さんの作品を思い出していました。
 人間存在をまるごと認め、まるごと受け止め、まるごと描写する。
 彼の人間を捉える確かな視点を、いとう みくさんは、確実に受け継いで描いています。

 読みながら、
「後藤竜二よかったね。あなたの書く姿勢を引き継ぐ後輩が、着実に育っていますよ」
 と、空に向かってつぶやいていました。

 皆さん、ぜひお読みになってください。
コメント (4)
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