今年も美しい映像表現で、コンベンションの参加者をうならせたのは佐藤元洋さんです。 繊細で、心にやさしく響く映像にますます磨きがかかったかなと思いました。 今年の新作発表の作品が、「Boundary」です。 現実と夢の世界の狭間を表現した作品だそうですが、別世界にも思えました。
美しい映像を生み出す作品は、大きめの筒としっかりと支える台座からなっています。 筒のガラスは白にピンクやパープルが流れるような表情が華やかです。台座部分はより透明感のあるガラスになっています。
滑らかに回転するオブジェクトセルも心地好く、機能的にもその品質の高さがよくわかります。
このオブジェクトセルには特徴があります。 外からは見えませんが、二つのセルが重なっているそうです。
繊細でくっきりした模様と後ろ側にある霞がかかったような模様が重なり合い、独特の映像となっているのです。
それにしても何と美しい映像でしょう。 もっと大きな画像でご覧いただきたいくらい、細かく、完璧なシンメトリーが視野いっぱいに広がって、見事です。
白い万華鏡も並びました。 ボディーは白ですが、オブジェクトセルはオイルの中にそれぞれ、ピンクやグリーン、ブルーと色合いを変えてガラス細工を入れました。 白の清々しさとオブジェクトセルのきれいな色、それに加えて、それぞれに銀細工の飾りがついています。
オブジェクトセルも全体が透明なのではなく、白くかすんだところもあって、一味違う雰囲気です。
妖精がピンク色の滴をそっと水たまりに落とそうとしている姿。
木の葉からブルーの露が落ちようとするところ。
雪の滴のようなスノードロップの花を飾ったもの。春を告げる花の咲く場所には雪がなく、透明になっています。
それぞれの物語を語る万華鏡。 素敵ですね。 手の込んだ銀線細工はパートナーの園田知暁さんによるものです。
物語を先に進めると、きっと滴が、粒が、水たまりに落ちて水面をゆらすことでしょう。 これらの万華鏡を覗いたらそんな場面が見える気がします。
いろんなことを想像させる万華鏡って魅力的だなあと佐藤さんの万華鏡は感じさせてくれます。