3月に銀座のギャラリー田中さんで細井厚子さんの個展が開催されました。細井さんの作品はとても人気があり、初日からたくさんの方が見にいらっしゃったそうです。
今回の個展では陶器の作品とガラスの作品が展示され、細井さんの世界に静かに浸る人たちがいました。 細井さんも連日在廊なさっていたので、いろいろな話も聞かせていただけたのではないでしょうか。
ご自分で陶器の筒を創るようになって、そこでも独自の世界を展開なさっています。どれも手に取りたくなる、覗きたくなる万華鏡ばかりでした。 テーマは鳥、花、子供たち、クリスマスなど。 どれも作家さんの想いを表わして、それぞれ違っていて、何度も覗きたくなりました。
今日ご紹介するのは「白い鳥は・・・」という陶器の作品です。 白い釉薬のかかった筒に白い鳥や花が小さく、優しく描かれています。
暖かい手触りで、手に馴染む大きさです。
オブジェクトは、ひとつひとつバーナーワークで薄く、小さく、デリケートに加工されたガラスです。
そしてオイルの中に少しだけ入っているのが特徴です。 オブジェクトの軽さとオイルの濃さで、とてもゆっくり動きます。
模様が動き出すのを待ちながら筒を回さずに覗きます。 一つの華が生まれては消えていく。 その時間は誰もが集中して、細井さんの映像世界に没頭してしまうのです。
白いラインのオブジェクトは重なって鳥の飛翔を思わせます。
パステルカラーの優しい色合いも心地よいです。
細井さんにとってオブジェクトは自分の語る「言葉」とおっしゃっていました。 オブジェクトによって語られた文章を読んでほしい。
文章の行間にあるものも感じてもらえたらもっと嬉しいとも。
手と目で作品を拝見することで、作家さんらしさを感じることができるのは素敵なこと。万華鏡の大きな魅力だなあと思います。
個展という形で細井さんの世界を楽しむこと、味わうことができて至福の時でした。 また次の機会がありますように。