銀座のギャルリ―・ヴィヴァンさんで開催中の細野朝士さんの個展(7月3日まで)に伺いました。 まだまだコロナ警戒中ながら、細野さんが新しく創っている作品「幻」シリーズを見たくて、4か月ぶりの電車での外出となりました。 こんなに緊張して電車に乗ったことはありませんでしたが、銀座で下車してほっとし、ギャラリーまでの景色がとても新鮮に感じられました。
偏光の万華鏡作家として新境地を開拓する細野さん。お話を伺いながら、あれこれ拝見して改めて多彩な色模様に驚かされた次第です。 色の無い偏光素材をオイルセルの中で組み合わせ、色を演出しているとのこと。ほしい色を出すための試行錯誤を経て、ほぼ思ったような色が出せているそうです。 80パーセントぐらい偶然の賜物かと思っていたのは大きな間違えでした。細野さんによるとシンプルな「足し算」ということですが・・・
2ミラー4ポイントの映像は繰り返し映像が少ない分、単調になりがちという場合もよくありますが、細野さんの作品の4ポイントはとても面白くて、クールなデザイン画のようだと常々思っています。
色の変化の時間までも推し量って構成を考えているとのこと。 創り出された流れのある模様に圧倒されるばかりです。
次は角度の狭い3ミラーシステムから生み出される映像です。 角度が狭い分撮影は難しいのですが、雰囲気が伝わるでしょうか。くっきりと鮮やかな世界が視野いっぱいに広がります。
繊細な模様が素敵ですね。次は深い青の世界が展開されたところです。
妖しい色模様は、微妙に変化して、混ざり合います。拡大してみました。
本当はもっともっと多彩なうえ、色鮮やかで強いインパクトを感じる3ミラーですが、強い色調ばかりでなく、柔らかい水彩画のような色調もふと現れるところにも惹かれます。
いつまでも覗いていたくなる小さな2本の万華鏡。とてもシンプルなボディーの中に展開する思いがけない色の世界をお楽しみください。いただいたアーティストカードには Simple + Special と書かれていました。その通りです!
偏光の万華鏡のみを制作する作家さんはたぶんほかにはいらっしゃらないと思います。研究を重ねてその世界を広げてこられた細野さんの未来にはどんな万華鏡の色模様が生まれてくるのか、これからも楽しみにしたいです。