先日まで開かれていたBunkamuraでの万華鏡展は、参加作家さんの数も多く、見ごたえのあるものでした。 まだ日本人の作家さんがあまりいなくて、ほとんどがアメリカからの輸入万華鏡だった頃、友人の誘いで万華鏡専門店の仕事をお手伝いしたのがきっかけとなり、それ以来ずっと万華鏡に関わってきた私としては感慨深いものがありました。
その会場で中里保子さんの作品群を拝見しましたが、今までとは違うデザインがとても印象的でした。作家さん自ら手描きの「ボタニカルガーデンシリーズ」は、ガラスに金と黒のペイントで草花を描いたものです。(写真はすべて作家さん自身が撮影したものを使わせていただいています。)
上の写真の作品はスタンドタイプで、3本の万華鏡が付いています。アイアンのスタンドもお洒落ですね。
3種類のセル、そしてミラーシステムもそれぞれに違って、たくさんの楽しみがあります。見える映像はそれぞれ次のような感じです。
ミラーシステムの違い、オブジェクトセルの背景の違い、中のオブジェクトの違いで全く雰囲気の異なる映像になっています。セルを回してそれぞれの変化を楽しみます。
こちらはお洒落な壜の万華鏡です。以前骨董市で求め、いつか万華鏡にしたいと思っていたとのこと。金色のペイントで素敵な作品になりました。実は、中里さんのもとには、いつか作品に生かされるはずの「気になった、お気に入りのもの」がたくさんあるようです。
次は手持ち型の作品です。
草木のデザインをアップした写真。装飾はんだの色も落ち着いた色合いにまとめました。
制作中の写真です。とても手が込んでいます。
初めて拝見した中里さんの万華鏡デザインですが、何年も前から少しずつ温めてきたアイディアだったと伺いました。いろいろな可能性と素材に挑戦し、オリジナルな作品を生み出してきたパワーが今回も伝わってくるような万華鏡だと思いました。そしてミラーシステムは2ミラー4ポイント。中里さんの4ポイントもとても美しいと思います。