万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

キングとクイーン

2009-09-19 22:57:29 | 万華鏡ブログ

渋谷Bunkamuraで開催中の万華鏡展から、また山見浩司さんの大作をご紹介します。「King」 と「Queen」という対の万華鏡で、その名のとおり、威厳のあるゴージャスな作品です。特徴は大きな美しい2枚のホイールです。 山見さんのホイールは本当にきれいで、それだけでもうっとりとする美しさですが、それを万華鏡を通して見るとまた別のアートの世界に引き込まれます。

Queenの方は2枚のホイールを合わせて重ねてあり、Kingの方は2枚をずらして重ねています。別々に回転するので、組み合わせの妙を楽しめます。
Queen は ひとつの覗き口から、背中合わせのふたつのミラーシステム(2ミラーと3ミラー)が見えますが、別々にも両方一緒にも見られます。
Kingは珍しいポリアンギュラーミラーシステムです。覗き口の下にあるクリスタルの粒を回転させると、2ミラーの映像を6ポイントから12ポイントまで変化させることができます。
ポリアンギュラーというのは、鏡の角度を、開いたり閉じたり動かす仕組みですから、製作するのはとても難しいのです。 美しさと素晴らしい万華鏡製作技術を見せてくれるこれらの作品をぜひ多くの方に見ていただきたいです。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4つのミラーシステムを組み込んだ贅沢な万華鏡

2009-09-18 22:42:15 | 万華鏡ブログ


9月16日から30日まで、渋谷のBunkamuraで開催中の万華鏡展~世界を映す小さな鏡~(ギャルリーヴィヴァンさん主催)に伺いました。広い会場にたくさんの作品が並び、大変見応えのある恒例の万華鏡展です。今回初めての参加となる山見浩司さんの大作が並び、その映像の美しさに目を奪われました。これは新作の「Quattro」 というタイトルで、イタリア語で「4」を意味します。

4種類のミラーシステムがひとつの覗き口から見えていますが、すべて山見さんが好きだとおっしゃる2ミラータイプで、それぞれ6,8,10,12ポイントの曼荼羅映像を映し出します。オブジェクトは美しい色合いのガラスをちりばめた二重のシリンダーで、それぞれ独立して回転させることができます。ガラスの重なりや輝きとともに、ガラスをつなぐ装飾ハンダも映りこんで、重厚なきらびやかさのある映像表現です。

山見さんならではの4つの美しい映像を堪能できる、贅沢な万華鏡ですね。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベーカーさん ありがとう

2009-09-17 21:24:35 | 万華鏡ブログ

創造性あふれるミラーシステムで私達を魅了するマーク・ティクルさんの「Fibonacci(フィボナッチ)」です。1998年に発表され、ザ・ブリュースター・カレイドスコープ・ソサエティー(BKS)の'98コンベンションで「Best Image(ベスト映像)賞」を獲得した25個の限定版の作品です。あまり実物を見る機会もないと思われていた万華鏡を思いがけずコージー・ベーカーさんの家で見ることができました。 5ミラーの奥深く続いていく魅力的な映像です。

9月12日、メリーランド州ベセスダのコージー・ベーカーさんのホーム・ミュージアムで開かれたBKSの地域ミーティングに参加しました。ここはBKSが生まれ、ベーカーさんがその中心となって活動してきた場所であり、その数多くのコレクションを見せてくれる場所でもありました。ベーカーさんが引越しなさることになり、コレクションを整理してその役目を終えようとしているこの時期に、ここでの最後のミーティングを開くことになったのです。集まった万華鏡愛好家は30~40人ぐらいでしょうか。ベーカーさんがリードなさってそれぞれの自己紹介、万華鏡に対する想いなど話しました。その後マーク・ティクルさんのバーナーワークのデモンストレーションの時間、マルシア・クラークさんの新しい作品の紹介ののち、あちこちで話の輪ができて万華鏡談義に花が咲きました。作家さんも6名ほど参加していたので、この機会をとらえていろいろな質問をする人もいました。このアットホームな温かい交流こそがスタート時点から続くBKSの魅力であり、それを可能にしたコージーさんの偉業に改めて感謝したいと思います。 そして新たなスタートをしようとしている新しいBKSにも、ずっと受け継がれていくことでしょう。 万華鏡のちから、そして人と人とのつながりの大切さを思う経験でした。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

kaleidoscope quilts by Paula Nadelstern

2009-09-15 00:00:26 | 万華鏡ブログ

ポーラ・ナーデルスターンさんのKaleidoscope Quilt展の最終日に伺うことができました。ニューヨークの真ん中、MoMA(近代美術館)のとなりにあるアメリカン・フォークアートミュージアムでご本人にもお目にかかることが出来てラッキーでした。この写真のようなキルト作品が十数点展示され、万華鏡の映像からインスピレーションを得たオリジナリティー溢れる素晴らしい作品のひとつひとつに近づいたり、遠くから見たりして、万華鏡の光と色と模様を、布地を使って表現するアートを堪能しました。自らのデザインの布地を細かく切って、組合わせていく作業は想像するだけでも手間と時間のかかる、気の遠くなるような作業だと思いますが、それ以上に感動するのは、生まれてきたキルトの作品が、万華鏡を覗いたときの感覚を見事に再現していることです。きらめきや変化までも・・・そして斬新な形での表現。初期の頃の作品はたくさんのマンダラ模様をちりばめたものでしたが、最近の作品はさらに表現の幅を広め、この作品でも大胆に組み込まれたグレイのラインが斬新です。製作に18ヶ月かかったそうです。万華鏡を作るより大変かもしれませんね。
この展覧会では、アメリカを代表する5人の作家さんによる素晴らしい万華鏡も展示され、観覧者の人たちもじっくりと何度も作品を覗いていました。チャールズ・カラディモスさんによる万華鏡映像のビデオが入り口正面の壁に大きく投影され、展覧会への期待を高める素敵な演出でした。
キルトと万華鏡というアートを、最高の形で演出した魅力的な展覧会は、評判もよく、巡回展となる可能性もあるとのこと。日本までは無理かな? 
万華鏡のアートを多くの方に知ってもらう素晴らしい機会となったと思います。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブルーの流れ

2009-09-10 23:07:51 | 万華鏡ブログ


ブルーの流れが美しいスー・リオさんの万華鏡「Midnight blue(ミッドナイトブルー)」です。基本的なスタイルを貫きながら、ガラスの美しい表情で新作を発表していく作家さんです。ミラーシステムを2種類内蔵する万華鏡で、2ミラーと3ミラーの映像をそれぞれの覗き口から見ます。オブジェクトは濃いブルー系のガラスやビーズなどがオイルの中にゆったりと流れ、外から見ても美しいですね。

ブルー系の映像が展開する中、ピンクやオレンジ、パープルなど突然現れて、覗く人をびっくりさせます。透明なダイクロイックガラスをオイルの中に潜ませていて、それらが光を受けて瞬間的にピンクやオレンジに見えるのです。

やや小ぶりな作品ですが、外観も映像も大変美しく、存在感、迫力、魅力も十分な万華鏡です。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

迫力のある映像

2009-09-08 21:52:24 | 万華鏡ブログ

IKA国際万華鏡協会展、公募部門で優秀賞を受賞なさった武山孝行さんの「Dune デューン、砂丘」という作品をご紹介します。何種類かの木材を使い、なだらかなラインで大胆な造形となっている外観は砂丘をイメージしたそうです。今までも木工の技術を生かした作品を多数拝見しましたが、今回はさらにパワーアップした印象でした。大きな覗き口からは圧倒的な力強さを感じる立体的な映像が展開します。テイパードミラーシステムから生まれる星のイメージをあえて目立たなくするくらいの太いラインが目の前を交差して多面体を構成しています。

覗き口に明暗センサーを取り付けているので、覆い隠すように覗くとLEDライトが点灯し、先端のオブジェクトセルを照らす仕組みになっていて、回すと星の色が変わります。大きな覗き口のテイパードの作品は覗き易いのですが、覗き口から光が入ると、覗いた人の目や顔が映像に映りこむ事があるので、両手などで囲って光を遮断するように見ると、大きな映像の中に埋没してしまうような迫力を感じる万華鏡体験ができます。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銅版で飾る万華鏡

2009-09-06 21:20:50 | 万華鏡ブログ

ご紹介が遅れましたが、8月に開かれていたIKA国際万華鏡協会展、公募部門で優秀賞を受賞なさった伊藤美津江さんの「紋」という作品です。花のデザインが打ち出された銅版を大きく曲げたところにテイパードミラーシステムの万華鏡の筒を組み込んだ個性あふれる作品です。伊藤さんの万華鏡はいつもダイナミックで、素材もいろいろあり、大きいものから小さいものまで、作家さんが万華鏡を楽しむ姿勢が貫かれていて、見る人に感動を与えます。今回の作品は、外観のデザインにまず目を奪われ、そして万華鏡であることがわかって、さらに見る人をひきつけるように思いました。

オブジェクトはいろいろなガラスを飾ったホイールタイプで、背後からLEDライトの照明が当たるようになっています。テイーパードミラーシステムは、立体的な像を結び、そこから青い炎のような模様が広がっています。これも工夫のある映像で、不思議な雰囲気があり、とてもきれいです。そういえば、今までご紹介してきたどの作品にもオリジナリティーがあったなあと思い起こしています。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もっと作り続けて欲しい万華鏡

2009-09-02 21:39:46 | 万華鏡ブログ

「ふらのやまべ美ゅーじあむ」の三井郁弥さんのコレクションには、玩具の万華鏡からアンティークの万華鏡まで貴重な作品が数々あります。万華鏡ルネッサンスの初期の頃の作品や、もう作家さんが製作活動をなさっていない場合の過去の限定版作品は、歴史的にも希少価値という点でも、重要な作品となるわけですが、この万華鏡もそのひとつで、しかも大変美しい状態を保っている、必見の万華鏡です。
S.F.パーラースコープシリーズの一点(#204/209)で1986年から2000年まで作り続けたうちの最後の方の作品です。製作したのはグレン・ストローブさんと息子のベン・ストローブさんです。
このシリーズの木工を担当したのはグレンさんで、全く同じデザインのものはない、美しい姿のシリーズ作品ですが、パーラータイプの台座から取り外して見ることができるのが共通点です。
ミラーシステム、オブジェクトチェンバーはベンさんの担当ですが、これがまた本当に素晴らしいのです。先の広がったテイパード2ミラーシステムを採用し、大きくて完璧なシンメトリーを見せています。彼は液体入りガラスアンプル(ガラスの細い筒状のオブジェクトの中に色のついた液体を入れ、閉じ込めたもの)の製作技術をマスターし、ドライセルの映像に液体の動きを取り入れています。また大きな特徴のひとつは、アンティークの時計部品を入れていること。この映像でもわかりますね。本当に魅力的な美しい映像の連続で、いつまでも覗いていたいと思わせる作品でした。作家さんは今、他の分野で活動しているそうですが、また戻ってきて万華鏡を創ってほしいとリクエストしたくなります。

Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

角さんのクールな万華鏡

2009-09-01 22:31:21 | 万華鏡ブログ

IKA国際万華鏡協会展招待部門から角敏郎さんの作品をご紹介します。アルミ製のスマートなデザイン、ギアを使ってオブジェクトセルを回す仕組みなど角さんならではのスタイルで、すっきりとした姿がクールですね。オブジェクトセルの特徴は、セルの中を見せるスタイルで、背景が青と黒に半分ずつ色分けされているのがわかります。オブジェクトには沖縄の白い貝が含まれていますが、映りこむ背景の色で映像の雰囲気が変わります。例えば青い背景では沖縄の海や空を思わせる映像、黒い背景では夜の海の不思議な輝きを思わせる映像だったりします。

セルが回転するたびに違った映像が生まれるのですから、それぞれの人がいろいろなイメージに重ねてこの万華鏡を楽しむことでしょう。映像を自分の中に引き込んで受け止め、自分の心の反応を楽しむ・・・作家さんの手を離れたところで、万華鏡と覗く人とのやりとりがあると思うと、やっぱりアートとしての万華鏡の存在を確信します。 このIKA展はもう終了していますが、9月16日から30日まで渋谷のBunkamuraでヴィヴァンさん主催の大きな展示会が予定されています。 たくさんのアート万華鏡を見ることができますので、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする