真夜中から空が白むまでのあいだ
どこかでひっそりと深淵が口を開ける
~書籍紹介~
時計の針が深夜零時を指すほんの少し前
都会にあるファミレスで熱心に本を読んでいる女性がいた
浅井マリ19歳
そこに彼女を知るという青年・タカハシが声をかけてくる
同時刻
ある視線が
もう一人の女性をとらえる
浅井エリ21歳
彼女は
暗い部屋の中でひとり眠り続ける
深夜の都会の片隅で
闇に埋もれて息を潜めて生きる人
社会に適応しながらも
屈折した日々をおくる企業戦士
見ず知らずの人間が
様々な人生を背負った人間が
すれ違いながら
交差しながら
何かしらの繋がりをもって
今日も生きている
それらをじっと見つめる視線
形のない“意識体”の存在とは
after dark・・・
暗くなってからのストーリー
“意識体”が
筒井康隆氏の「エディプスの恋人」に登場する
‘意志’のような設定なのかと思っていたのですが
最後まで
きちんとした位置付けはなかったように思うのです
村上春樹氏の作品は
大昔に
を拝読させて頂いて以来です
「ノルウェーの森」のストーリーも
忘却の彼方です
ラブホテル「アルファヴィル」の従業員カオルさんが
中国人の女の子(郭冬莉【グオ・ドンリ】) に暴行を加えた
会社員白川を見つけたら
連絡して欲しい
そう大型バイクの男に告げたくだり
「あのさ、もしあんたたちがそいつをみつけ出したら、ひとことうちに教えてくれるかな?」
「ただ知らせればいいのか?」
「耳元でちらっと囁いてもらえればいい。あとのことはとくにしりたくない」
このあたりの
カオルさんの心情が好きかもしれません
あとは
眠り続けるエリとマリ姉妹の今後と
コンビニエンスストアの棚に置き去りにされた
携帯電話の今後が気になりました
人は
希望と挫折、光と闇、夢と現実
優越感と劣等感
両極端な感情が渦巻く中で生き
少なからず
ここに登場する人物は
今宵それらと格闘し
或いは
意識しながらもやり過ごしてながら
生きている
・・・
結末があるわけではなく
だから何?
この作品を通して
村上春樹氏は読者に何を伝えたかったのか
小生にはわかりませんでした
A demain