時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

蒲公英草紙 - 常野物語 -

2009-09-07 | 読書
青い田園が広がる東北の農村
旧家槙村家にあの一族が訪れた

他人の記憶や感情を
そのまま受け入れるちから
未来を予知するちから…

不思議な能力を持つという常野一族
槙村家の末娘聡子様と
お話相手の峰子の周りには
平和で優しさにあふれた空気が満ちていたが
20世紀という新しい時代が
何かを少しずつ変えていく


「光の帝国」に続く
常野物語第2弾の文庫です

峰子を語り部とし
語られる物語は
とても美しく
村の情景やそこに住む人々の
歪みのない清さを感じました

己のやるべきこと
進むべき道を見失い
苦悩する仏師

青年の
余りにも純粋な心持ちを危惧する
槇村家当主

己の果たすべき役割を
見極め
懸命に生きようとする

個々の悩みはあれど
自らの力で乗り越え
前向きに生きていこうとする
力強さがありました

第2次世界大戦の終戦を経て
深い喪失感に苛まれる峰子を
かろうじて支えているのは
過去の思い出

未来に対する
漠然とした不安を感じつつも
聡子と共に過ごした日々
そして
春田一家の不思議な出会いなのかもしれません

表舞台に出ることなく
目立たぬように
されど
世界のありようを支えてた常野一族は
激動の時代を
どう生き抜いたのでしょう

その存在を知る
数少ない人物・峰子は
ひょっとして
常野一族の存在を
後の世に伝えるキーパーソンなのかも…

実は
人の存在意義とか
平和とか
命とか
世の中の矛盾とか
色んなものが
テンコ盛りのお話です

なんか
何書いているんでしょう
まとまりません

久々泣けた~