庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

宇宙人 2

2012-10-11 17:59:00 | 自然
宇宙人といえば、ジョージ・アダムスキの『空飛ぶ円盤同乗記』に触れておかないわけにはいかない。この「驚くべき本」に出合ったのは、私が高校2年の下校時、いきつけの古本屋の一角だった。「一日一冊読書」の修行を続けていた頃だ。

空飛ぶ円盤?・・・同乗記?・・・表題につられて何気なく手に取った古びた文庫本は100円ぐらいだったと思う。1970年の当時は、60年代に始まる「UFOブーム」の興隆期みたいな時期で、そのブームの火付け役ともなったのが、この本であり、末メはたしか鳥取の高校教師、久保田八郎だった。4f3442cb.jpeg

彼は、アダムスキが初めて金星人に会ったとされる50年代初期からアダムスキと文通交流を続け、その後も多くの末{を残している。やがて、たしか"Get Acquainted with People" (人々に“真実”を知らせる)のイニシャルをとった「GAP」という団体を日本にも創り、一時は二千人もの会員がいたらしい。1999年に75歳で亡くなるまで続く、彼の講演や多くの末曹站@関紙に、深く影響を受けた日本人も少なからずいたにちがいない。

当時、私が読んだのは、この他に『空飛ぶ円盤実見記』だけだったと記憶するが、ともかくその内容が、一般的な科学的常識からすると、途方もないものだった。アダムスキの言では、彼はアメリカのモハベ砂漠で、現実の金星人に会っただけでなく、やがて彼らの小型円盤や母船に乗って金星まで行き、その住人からも多くの“具体的な話”を聞き、それを多くの人々に語り書き、多くの写真や宣誓書付きの証言と共に、「事実の記録」として残しているのである。単なるフィクションとして読んでも、面白くないわけがない本を、私はまさにノンフィクション(実話)として読んで、じゅうぶん過ぎるほど興奮した。

この一冊の奇妙な本との出会いは、江戸末期の日本が近代西欧との遭遇によって国家として「相対化」されたことに似て、私にとってはひとっ飛びに、自分の生きている地球という世界を「相対化」する方法(哲学)が、現実に存在するかもしれない・・・ということを示唆することになった。小さな島を出て今治市という田舎町の高校に通い始め、生まれ育った小島を相対化したばかりで、日本の歴史や文化の多くを、いわんや、他の一国の事情についても、ほとんど何も知らないような段階で・・・である。

近頃の日本でのUFO問題を取り巻く状況に、かつてのような盛り上がりはないように見えるが、あの時代からこの時代まで何十年間も、これらの本に書かれてある「事実かもしれないし、そうでないかもしれない物語」の解明や応用に、マジメに取り組んでいる人たちが、かなりの数、存在し続けていることも私は知っている。近在では、宇和島市に、私にはサッパリ理解できなかった『超相対性理論』などを書き、「反重力装置」の研究開発を続ける清家新一がいた。

TV画面で時々見かける、韮崎なんとか氏や、矢追なんとか氏や、あごひげのペテン師面をしたなんとか氏や西条市の自称UFOコンタクティー(彼の自宅には20年ほど前に伺って話を聞いたことがある)などは、マジメなのかオチャラケなのか分からない。単なるホラ吹きなのか、ウソつきなのか、詐欺師なのか、商売の種にしようとしているのか・・・それぞれの動機や事情があるのだろうが、おそらく彼らの誰もが、多かれ少なかれ、アダムスキや訳者の久保田八郎が書き残したものの影響を受けている。

 (つづく)
  

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