庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

バーの破断

2011-02-16 12:23:00 | 海と風

昨日も出かけた堀江海岸は割合まともな北東風。風はまだ冷たいが、セミドライを着込むと全く寒さを感じることはない。少しは特性が分かり、根元で切れたラインをそのまま短めにして修理を終えた15㎡にディレクショナルで少し飛び方を覚えながら上れるだけ上ってみよう・・・と、風が東に寄りながら引き始めた海に出た。27628617.JPG

結果は画像→のトラックログの通りで、ワンレグ最後の下手なジャンプの後ジャイブに入ろうとしたら、失速して失われた翼形が急激に復元した瞬間に、ブチッ、バキッ・・・と音がしてカイトが飛んだ。今回は手元のバーの半分が無くなっていた・・・コントロールバーがほぼ真ん中で折れてしまったのだ!^^;ウィンドでマストやブームが折れることはままあることだが、カイトのバーがこんなにきれいに切断するとは考えたこともなかった。

30分ほど漕いで和気港横の岸壁に至り、内港まで引っ張って梯子のある防波堤に着いた。700mほどは泳いでいるから、25mプールなら14往復したということか・・・年中で一番寒い季節だというのにスーツの中はャJャJになった。IMGP0357-s.JPG

後で見てみると、今回はフロントラインが2本とも切れている。あんまり使うことのなかった中古の15㎡だが、やはりラインの劣化が相当に進んでいたに違いない。それと私の体重とジャンプスタイルによる過加重。ラムエア翼で下手なハイジャンプをすると、カイトはまず失速して翼形変化を起こし、次に急激に回復させた際にとんでもない加重がかかる。(運動エネルギー)=(質量)×(速度2乗)の物理法則の通りだ。





有難迷惑

2011-02-15 10:59:00 | 海と風

通常、「有難いこと」と「迷惑なこと」は相反価値なので、両方が同時に成立することはない。しかし、この世界にはいろんな人がいて、様々な人が様々な考え方や立ち位置で関係し合うことから、特に狭い世界では、本来は単純で簡単なものごとが、複雑でめんどくさいものになることがある。「有難迷惑(ありがためいわく)」などもその一つだ。

たいがいの物事は単純で簡単な方が人は幸せだろう・・・と思うので、私の例を少し挙(あ)げることで、有り難いことが増加し、迷惑なことが減少するよう願うことにしよう。

人の例に漏れず私も、今まで生きる過程でずいぶん多くの人のお世話になり、また迷惑もかけて来た。もっとも「お世話になった」と思うのは私で確かなことだが、「迷惑をかけられた」と思うのは私以外の人の領分だから確かではない。

しかし、こと自然の中で単独で行うような趣味に関しては、36年前のスキューバダイビングに始まり、ウィンドサーフィン、パラグライダー、マイクロライト、ディンギー、カヌー・カヤック・・・・・・現在のカイトサーフィンに至るまで、人の助けを必ずしも要しなかったという意味で、お世話になったことはない。そもそもスキューバやパラグライダーはその歴史が始まったばかりで周囲にやっている人がいなかったし、ウィンドサーフィンその他も全て独学独習が当たり前だと考えていたから、最初から自己完結するような付き合い方しかして来なかった。

もちろん、あることを長い間やってると、自ずと同好の知人や友人や後輩ができ、彼らから学び取ることは常にあって、時には複数で自然の恩恵を享受するのも楽しいものだが、大自然の中で一人で行う種類の活動は基本的に「自己完結」するものでないと、その真の醍醐味に触れることはまずできない。これは私にとっては確実な経験則であり、様々な角度から考察を進めることもできそうな気がするが、ここではこれ以上触れない。

正しくは有り難い要素など一つもない話ではあるが、私の「有難迷惑」でまず思い出すのは、ウィンドサーフィンでショートボートの分野が生まれたばかりの頃の堀江海岸・東の浜での出来事だ。板は『ロケット99』という、それまでのサーファー艇などと比べるとずっと短くて格段にスピードが出る作りで、今では当たり前のフットストラップに足を突っ込むとちょっとしたジャンプができるようになった頃のことだ。

実に良い風でひとっ走りして疲れたので中の浜の車で一服した後現場に戻ってみると、浜に置いてあった道具一式が無くなっている。たった30分ほどの時間で・・・これには驚いた。探し回るもなにも障害物など何もない見通しの良い浜であれだけ大きな物体がどうして消えてしまうのか・・・たまたま通りかかった婦人に何か知らないか聞いてみると、彼女は「あそこの人が家に運び込んでましたよ・・・これは私から聞いたとは言わないで下さい」と言って、近在のある家を指差した。

急いでその家を訪ねたら、さっきまで使っていた私の道具が庭にあった。事情を聞けば「誰かが落としたか忘れて帰ったと思って持ち帰ったのだ」と言う。誰がこんなにピカピカでデカイ持ち物を置き忘れるだろうか^^;「ああ、これは典型的な占有離脱物横領(せんゆうりだつぶつおうりょう)だな」と思ったが、とりあえず傷も無く、その人がなにか哀れな気がしてそれ以上追求することはなかった。一つ目の迷惑な話だ。



風遊び

2011-02-14 01:01:00 | 海と風
今日も最高気温は10℃を超えず、冷たい北風が入っていた。海に出れれば久々にディレクショナルを使って思い切り沖まで上ってみようと思っていたのだが、安定した3m/sほどの海風。1時間余り、いつものカイティングでほどよい汗をかいて終了。IMGP0355s1024pix100kb.jpg

エア抜きに寝かせたカイトの横で、小さな女の子が砂遊びを始めた。可愛らしいバケツにスコップで砂を入れ、砂プリンみたいなものを作っている。その若いお母さんの幸せそうなこと・・・女の子の楽しそうなこと・・・^^。

小さな子供は砂と、私は風と遊ぶ。使う道具はいくらか違うが、していることの本質に何の違いがあろうか・・・。

ある仏典は「衆生所遊楽(しゅじょうしょゆうらく)」と説き、この娑婆世界は苦しいことや悲しいことで充満しているが、本来、人は「遊び楽しむ」ためにこの世界に生まれ出て来るのだ・・・と言う。無論、この「遊楽」は浅薄な快楽主義の一類などではない。インド生まれの釈尊が、誰人も避けて通ることのできない「生・老・病・死」(四苦)という厳しい現実とまっすぐに向き合い、全生命をかけて取り組んで得た結論の一つだ。

「衆生が遊楽する所」・・・この世界に「仏という何か」が存在しているとするなら、この平凡な砂浜は、彼の目には眩しいほどに光り輝く「遊楽」の浄瑠璃世界と映っているのかもしれない。



呼び方

2011-02-12 16:24:00 | 海と風
先日、三脚付のカメラを持った紳士が「写真撮らせて頂いてもよろしいでしょうか?」と丁寧に話しかけてきた。いつものごとく「ご自由にどうぞ・・・^^」と答えた。 

更に「これは何というものですか?」「一応、カイトサーフィンと呼んでますが、別にカイトボーディングという呼び名もあります。比較的新しいものだから、まだ呼び方が確定してないようです」と答えながら、ウィンド草創期の頃、同じような受け答えをしていたことを思い出した。 

ウィンド・サーフィンかウィンド・ボーディングか・・・私が初めて初期のサーファー艇を購入したショップの店長は「・・・サーフィンは・・・サーファーという特定の商品名から来ているもので・・・ボーディングと言うべきだ!」と強く主張していたが、私は「そんなことはどうでもいいことではないか」と思っていた。大事なのは包み紙ではなくその内容物で、こういう問題はおよそ時間が解決する。30年たった今、ウィンドサーフィンをウィンドボーディングと言う人はまずいない。 

そして更に、この紳士は「この動きは“滑る”と言うんですか?」と面白い質問を続けた。「滑るとか、乗るとか、私は走るともいいます・・まあ複合スメ[ツみたいなものですから、いろんな要素が入っている・・・」などと適当な話をした後で、「複合スメ[ツなんて言葉、存在したかいなぁ?」・・・と気になり検索してみたら、「複合スメ[ツ施設」とかトライアスロンやスキー種目で、それぞれ独立したものを順に行う種類のものはあるが、私が使ったような意味の言葉は見当たらなかった。 

まあ、これもどうでも良いようなことなので、やがて時間が解決してくれるだろう。

冬の嵐

2011-02-12 13:16:00 | 海と風
朝から事務所前の大木がヒューヒュー言いながら大きく揺れている。当リ防止のためにベランダの手すりにロープでつないでいるのだが、その手すりもキーキー悲鳴を上げている。このあたりではめったに来ない冬の嵐・・・見事な大西風だ。 

塩屋の様子を見てみたら風速計の支柱も揺れている。近在のアメダスは12時の時点で平均風速21m・・・ちなみに気象庁は毎時10分前からの風速変化を平均する。最大風速は平均風速のおよそ1.5倍はあると考えていいから、海岸では時に30m近くの暴風が吹き荒れているだろう。

この冬最後の大西になるかもしれない。塩屋アメダスの風速画像にオレンジが出ることは珍しいのでUPしておこう。110212-s-w.JPG



ランド・カイト

2011-02-11 10:20:00 | 海と風
予期に反して暖かい堀江海岸だった。15㎡のライン修理を終え、東寄りのガスティ・ウィンドがもうちょっと北に振れて安定したら出ようか・・・とゆっくりしていたら、青空が広がるにつれて程よい風も沖の方まで引いてしまった。IMGP0351s1024pix100kb.jpg

19㎡と12㎡に挟まれてなかなか登場の機会に恵まれない15㎡・・・それでは今日はこいつで少しカイティングをやってみよう・・・上げたり下げたり回したり・・・カイトの特性の一つは、人と翼が20mもの長さのラインで繋がっているということで、基本的に人を中心とする円運動がバリエーションに富んでいる、つまり運動の自由度がきわめて高い・・・ということだろう。 

私は地上でカイトを振ることを、メタボ対策トレーニングとして「メタトレ」、パラに習って「グランハン」「地上練習」、字義通りに「カイティング(凧揚げ)」など幾つかの呼び方をしているが、いずれにしても、このカイト特有の自由度の高さは、多くの風読みスメ[ツの中でも際立っていて、海に出るには風が足りないようなコンディションでもランド・カイトとして充分楽しめるものなのである。IMGP0354s1024pix100kb.jpg



明日の分まで

2011-02-10 21:27:00 | 海と風
今日はちょっと走りすぎたかもしれない。気温は10℃に満たない、冷たい北東風が6~7m、明日からの寒波で雪が降るほど冷え込んだら休みにしよう・・・と、前半15㎡後半19㎡と4時間近く、飛んだり跳ねたりしたら少々疲れた。ウィンドでこんなことしてたら、明くる日は身動きできないくらいの筋肉痛になるところだ。IMGP0349s1024pix100kb.jpg

前半15㎡のおしまいはフロントライン切れ。以前の10㎡に続いて2度目で、今回はハイジャンプからフロントループ・ジャイブに入ろうとしたところで。現在の私の技術ではラインに最も負荷がかかる動きだ。どちらも中古で手に入れたものだから、やはり劣化が進んでいたのだろう。

もっとも、20~30本のラインで重量を支えるパラグライダーの翼などと比べると、カイト翼のラインはたったの4本。細い上に何のコーディングもしていない。これなら時々切れてもなんも不思議ではない。空の世界では飛行機材も含めて「プリフライト・チェック」(飛行前点検)というのをする。時によってはダブル・チェックをして念を入れる。 

もちろん、空と海では安全管理の次元が違い、「何らかの危機的状況に陥った場合、道具より身体を大切にする」・・・というのは私の基本姿勢の一つだが、もうすこし丁寧に「走行前点検」にも意を注いだ方が良いのかもしれない。

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北風

2011-02-09 18:58:00 | 海と風
寒い一月が過ぎて厳寒の二月に似合わぬ暖かい日々を享受していたら、最近また冷たい北寄りの風が入り始めた。 

堀江海岸の北東5kmほどに位置する粟井海岸のアンカレジマリーナに設置された風速計が北~北東で4mを超えると、その風はたいがい数十分遅れで堀江に届き、海で走れるようになることが多いのだが、今日はその沖合いの風がまともに浜まで届くことなく、3m前後の微風でグラハン三昧の数時間・・・まあ、これはこれでまた良し。IMGP0343s1024pix100kb.jpg

昨日出会ったヒドリガモは今日は30羽以上の群れを作り、時に彼らにとってはオーバーヘッドの波乗りをしているように見えた。彼らの目にこの世界はどのように映っているのか・・・一日24時間をどのように使っているのか・・・飛んで、食べて、寝る・・・そして、漂い、遊ぶ・・・まったく自然な時間の過ごし方というのは美しいものだなぁ・・・などと思いながらしばらく眺めていた。

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ヒドリガモ

2011-02-08 19:47:00 | 自然
曇り空ながら昼から堀江へ。海岸横の小さな砂州ではカモがくつろいでいた。雌雄4羽づつ8羽。近所の池でよく見かけるマガモとは色合いが違うので、調べてみると「ヒドリガモ」と言うらしい。なんにしても、見れば見るほど愛らしく美しい。IMGP0342s1024pix100kb.jpg

ついでに、渡り(わたり)についても少し。最近は高性能な発信器を付けた追跡調査で、繁殖地や飛行経路については、かなり正確なことが分かってきたようだ。こんな小さな鳥たちが、持って生まれた身体と能力だけで、毎年何千kmにもわたる長途の旅をしている。

海上を飛行するに昼間はいいとして夜はどうしているのか・・・たぶん近くの島に降りるか波間を漂っているのだろう・・・と思っていたら、南方に帰るツバメなどは飛びながら寝るということもあるらしい。 

その方法が、片目づつ閉じて脳の半分を休めながらの飛行だというのだから驚く。目はまだ良いとして、脳が半分休んだら身体の半分はどうなっているのだろう?翼が動き続けていなければ、少なくとも「羽ばたき飛行」は成立しない。h20-fig1miyazaki-ls1024pix100kb.jpg

彼らには、私たち人間には容易に感知できない「空の道」があるのだろう。その道は、ひょっとしたら夜でも安定した上昇風に恵まれているものかもしれない。なるほどやはり、科学的探究が進めば進むほど、さらに自然はその不思議を顕(あら)わにする。

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別府

2011-02-06 21:25:00 | 海と風
今日も暖かい。空は春霞のように淡く曇っている。昨日もそうだった。予報によると幾らかの西風が入るはずだが・・・たいした期待もせずに今治発で別府に寄る。
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やっぱり、そこそこの西風が入っていた。いつもの19㎡で10kmほど。風は間もなく南西~南に振れ、注意深く風上の様子を眺めていないと、浜に戻るのが難かしくなる可能性が大きくなった。

走れなくもないが、こんなコンディションで、なんも難儀をする必要はない。F君と二人、コーヒーを飲み、しばらく海を眺めながら風の推移を見て本日は終了。