庭戸を出でずして(Nature seldom hurries)

日々の出来事や思いつきを書き連ねています。訳文は基本的に管理人の拙訳。好みの選択は記事カテゴリーからどうぞ。

宇宙人 3

2012-10-13 09:39:00 | 自然

ある観点から見ると、この人間世界にはどうも二種類のタイプがあるように見える。一つはモノゴトの真偽よりも自己の利害に重きを置く人たち、一つは自己の利害よりもモノゴトの真偽を優先する人たち。

たいがいの人間は、この真偽と利害を程よく調和させながらら、時に協調し時に衝突し、喜んだり悲しんだり怒ったりしながら、周囲の社会との適応生活を営んでいる。

ノンフィクション(実話)が成立するには、まずその元となる「事実」が存在しなければならない。事実は常に真偽の判断の領域と関係が深く、利害の巷(ちまた)とは縁が薄い。

そして、自己の利害に重きを置く人たちは、そもそも、或る「実話」が真であるか偽であるか、などということに大きな関心を持たない。まあ、自己の利益になればどちらでも関係ない・・・ということになるのは当然だろう。

このアダムスキが書いた奇妙な書物だけではなく、多くの「事実かもしれないし、そうではないかもしれない」種類の物語に影響された人々の反応や対応も、この観点から観察すると、その実態がよく見えるようである。

1970年当時、17歳の少年は、どんな利害にも関係していなかったから、その実話が真実か、真実ならばどんな事実に基づいているかだけに関心があったし、その後の40年間も、この分野の利害関係とは遠いところで生きてきたから、基本的な姿勢は同じである。

そしてとりあえず、この「とてつもない物語」が事実であるかどうかを検証してみようと思い、その検証方法は、自分自身で、彼の言う「空飛ぶ円盤」を目撃することから始めるしかないだろうと考えた。その後の数年間、私の大空を見る時間が増えたのはいうまでもない。

その結果は、たった「一回の目撃体験」以外に何もないし、その内容も、それほどドラマチックなものでもないが、次回少し触れることにする。

(つづく)


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宇宙人 2

2012-10-11 17:59:00 | 自然
宇宙人といえば、ジョージ・アダムスキの『空飛ぶ円盤同乗記』に触れておかないわけにはいかない。この「驚くべき本」に出合ったのは、私が高校2年の下校時、いきつけの古本屋の一角だった。「一日一冊読書」の修行を続けていた頃だ。

空飛ぶ円盤?・・・同乗記?・・・表題につられて何気なく手に取った古びた文庫本は100円ぐらいだったと思う。1970年の当時は、60年代に始まる「UFOブーム」の興隆期みたいな時期で、そのブームの火付け役ともなったのが、この本であり、末メはたしか鳥取の高校教師、久保田八郎だった。4f3442cb.jpeg

彼は、アダムスキが初めて金星人に会ったとされる50年代初期からアダムスキと文通交流を続け、その後も多くの末{を残している。やがて、たしか"Get Acquainted with People" (人々に“真実”を知らせる)のイニシャルをとった「GAP」という団体を日本にも創り、一時は二千人もの会員がいたらしい。1999年に75歳で亡くなるまで続く、彼の講演や多くの末曹站@関紙に、深く影響を受けた日本人も少なからずいたにちがいない。

当時、私が読んだのは、この他に『空飛ぶ円盤実見記』だけだったと記憶するが、ともかくその内容が、一般的な科学的常識からすると、途方もないものだった。アダムスキの言では、彼はアメリカのモハベ砂漠で、現実の金星人に会っただけでなく、やがて彼らの小型円盤や母船に乗って金星まで行き、その住人からも多くの“具体的な話”を聞き、それを多くの人々に語り書き、多くの写真や宣誓書付きの証言と共に、「事実の記録」として残しているのである。単なるフィクションとして読んでも、面白くないわけがない本を、私はまさにノンフィクション(実話)として読んで、じゅうぶん過ぎるほど興奮した。

この一冊の奇妙な本との出会いは、江戸末期の日本が近代西欧との遭遇によって国家として「相対化」されたことに似て、私にとってはひとっ飛びに、自分の生きている地球という世界を「相対化」する方法(哲学)が、現実に存在するかもしれない・・・ということを示唆することになった。小さな島を出て今治市という田舎町の高校に通い始め、生まれ育った小島を相対化したばかりで、日本の歴史や文化の多くを、いわんや、他の一国の事情についても、ほとんど何も知らないような段階で・・・である。

近頃の日本でのUFO問題を取り巻く状況に、かつてのような盛り上がりはないように見えるが、あの時代からこの時代まで何十年間も、これらの本に書かれてある「事実かもしれないし、そうでないかもしれない物語」の解明や応用に、マジメに取り組んでいる人たちが、かなりの数、存在し続けていることも私は知っている。近在では、宇和島市に、私にはサッパリ理解できなかった『超相対性理論』などを書き、「反重力装置」の研究開発を続ける清家新一がいた。

TV画面で時々見かける、韮崎なんとか氏や、矢追なんとか氏や、あごひげのペテン師面をしたなんとか氏や西条市の自称UFOコンタクティー(彼の自宅には20年ほど前に伺って話を聞いたことがある)などは、マジメなのかオチャラケなのか分からない。単なるホラ吹きなのか、ウソつきなのか、詐欺師なのか、商売の種にしようとしているのか・・・それぞれの動機や事情があるのだろうが、おそらく彼らの誰もが、多かれ少なかれ、アダムスキや訳者の久保田八郎が書き残したものの影響を受けている。

 (つづく)
  

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宇宙人

2012-10-04 20:44:00 | 自然

昨日は堀江海岸で宇宙人のような人間に会った。いや、人間のような宇宙人だったのかもしれない。

多くの人にとって珍しいことをやってると、こちらの意図とは関係なく、いわゆる「目立つ」ことが多いらしい。ウィンド時代はショートボードに乗り始めた頃、パラグライダーの初期もそう、エンジン付きパラ(PPG)は、ほとんど飛ぶ場所を選ばない上に、それなりの騒音を発するから、よけい多くの人の目にとまる。

PPGの初期などは、海岸エリアでひと飛びして降りてくると、いつの間にか人が集まってきて、「これは何というものか?これらの道具ははいかほどの値段か?飛び方をどうやって習えばいいのか?・・・」等々の質問攻めにあうことがほとんどだった。

初めのうちは、彼らの好奇心に応えるべく丁寧にお相手していたのだが、その内、面唐ュさくなり、やがて鬱陶(うっとう)しくなることは自然の流れだ。一時は、いつも繰り返される質問事項を整理したパンフレットみたいなものを見物人に配布して「これに全部書いてあります!」にしようか・・・などと本気で考えたものだ。

しかし、今日の質問者はちょっと変わっていた。

ガスティではあるが、腰の強い秋の北風をそれなりに味わって浜に上がり、ブレークダウン(片付け)に取り鰍ゥった頃に、細面(ほそおもて)の青年が「ほんとに楽しそうですね。ずいぶん小さいボードなんですね。」などと静かに話しかけてきた。仲間のサーフタイプも見て、「サーフボートみたいなのでもできるんですね。僕はサーフィンをやってるんです。」と言う。5b7dbceb.jpeg

私の接客の習いは、時々の気分や状況によって、まずお相手をするかどうかを決め、次に、その人物を観て話の内容を決める。疲れているときや面唐ュさいときは、ほとんど無視する。そうでもない時は、かなり人の良い話し相手になる。「袖(そで)触れ合うも多生の縁」・・・この広大な時空世界で、短い生涯に出会える人間の数は極めて限られている。何かの縁があるかもしれないし無いかもしれないけれども、人(だけではない)との出会いはできる限り大事にしたい・・・というのは、私の生き方の一つでもある。

「このナチュラルスメ[ツはね、半分以上はスカイスメ[ツで、空を飛びながら海の上を走っている感じだよ・・・」などと話している間、彼はずっと両手を軽く広げてフラフラとサーフライドみたいな動きを続けながら聞いている。ところが、彼の容貌はどう見てもサーファーではない。まず、肌の色が驚くほど白い。次に、身体全体が針金のように細く、肩の筋肉は無いに等しい。こんな姿態はまずサーフィンからは生まれない。

そして、その色白・細身・細面の風貌全体から発する雰囲気が、どうも人間離れしている。どこか遠い世界からやってきた宇宙人のような感じだ。特段、不愉快な空気を持っているわけではない。徐々に私は、何かフワッとした別の種の生物に話しかけているような気分になってきた。これはちょと頭の温かい種類の人かもしれないとも思ったが、どうもそれとも違う奇妙な印象だった。

10分ほどの遭遇の後、彼は相変わらずクネクネ・フラフラとした動きを止めないまま「また、お会いしましょう??・・・」と、フワリと言い残して、どこかに帰っていった。彼の姿になんだかこの世のものでないようなものを感じたのは確かだ。

私は、いわゆる「地球外知的生命体」は、まちがいなく存在すると考えている。地球も宇宙の一部だから、私たち自体が宇宙人であるとも言えるのだが、まさに数え切れない数の星々や銀河で満ち溢れる大宇宙に、地球のような惑星がたった一つしかなく、地球人しか存在していないと考えるぐらい不合理なことも少ないとさえ思う。

しかし、彼らが今現在、この地球にやって来ているかどうかは別の問題だ。彼らには彼らの都合というものがあるだろうから、こんな悲哀や憎悪や同類殺傷に明け暮れる人間という生物が、他の多くの生き物たちの生命を平気で奪いながら何十億も生息する小さな惑星に、わざわざやって来るには、きわめて特殊な興味が必要なはずだ。

私たちが他の惑星の住人と出会う確率については、たしか「ドレークの公式」というのがあって、遠大な空間の問題だけでなく、ある文明の存続期間の条件もある。数百億年と言われる宇宙の歴史から見れば、数千年の人類文明史などは、取るに足りないものだ。百億分の千としても一千万分の一ということになる。宝くじを1枚買って一等賞に当たるのとほぼ同じ確率・・・しかも、人間の一生はたいがい百年に満たない。

この公式に素直に従うと、やはり相当強力で「特別な縁」がなければ、ホンモノの宇宙人に出会うことは不可能に近い、なんて夢のない話になってしまうのだが、もしも、案外、近在の惑星に人間に似た生物が住んでいて、しかも彼らがこの惑星の古代文明などと深い関係にあり、今の時代もまだ「特殊な興味や特別な縁」があると仮定すれば、ことの次第は別な流れになるだろう。

この辺りの話も、始めればキリなくなる。今回これまで。


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読書の秋

2012-10-02 09:20:00 | 拾い読み

7月、8月、9月と暑い夏が過ぎて、もう10月、今年もちゃんと秋が来た。年中で最も好きな季節だ。周囲の大気は温度と湿度を落としてグッと引き締まり、山々や野原も、道端や海岸に生える草木の色合いも、徐々に落ち着いたものに変わって行く。

50代になって海に復帰し、更に事務所に換気扇を導入して、かなりしんどかった夏バテから開放された、ということはどこかに書いた。今夏は元気が余って(いたわけでもないが)、徳島に8回も通い、毎回1~4泊はするから、3ヶ月のうち1ヶ月近くは、車中泊のキャンプ生活をしていたことになる。

「この夏はこれこれをやろう!」と心に留めておいた計画の、およそ半分は完了し、残りは未完了、というよりちょっと手を付けた程度で、この気分の良い秋の季節に持ち越されることになった。

未完了の計画の中には、数冊の本があった。加藤周一の『羊の歌』と英訳本"A sheep's song"を合わせ読むこと、丸山真男の『日本の思想』を読み込むこと、ニーチェの『ツァラトストラは・・・』にサラッと目を通すこと。

『羊の歌』はもう40年以上の付き合いで何回読んだかわからない。それがこの夏前に、「英訳本の中には何か欠けているものを感じる」などという感想がクラウス先生から出てきたものだから、これも読んでおかにゃしょうがないだろうということになって、早速、USアマゾンから取り寄せた。

これが岩波新書の上下二冊の体積比10倍くらいの大部で、薄いクリーム色の表紙で上品に装丁されたものになっていた。すでに何章かは読了したが、原著の何が「欠けている」かはまだ分からない。後の二冊は数ページをめくった程度でストップしている。

私は典型的な乱読型の一人で、これは「読書術」の続きで書くべきことなのだが、ことのついでに触れておくと、他にも継続的に目をさらしている本が数冊ある。本といっても紙ではない。いわゆるデジタルブック。キンドルとIpadには、B・ラッセルの主要著書をまとめた"Complete Writings" や E・フロムの"Escape from Freedom"などの間に、アメリカの作家サーファーが書いた小説"West of Jesus: Surfing, Science, The Origin of Belief" なんてのも混じっている。7923d5e1.jpeg

気が向いたときに、気が向いた本から、気が向いた方法で読み始める。数ヶ月前から採用した方法に、「寝て読む」というのがある。ベッドの枕の上に所見台を取り付けて、上向きに寝たままIpadのキンドル本を読むのである。

普通、寝っころがっての読書は、頭を支える腕がじきに痺れて長い時間は続かない。それがこの姿勢でタッチパネルの利点を使うと、ちょっと驚くほど楽になる。しかも、身体姿勢はほぼ完全にリラックスしているから、活字の方もリラックスするのか、その内容が普段よりも、すんなり身体の中に流れ込んで来るような気がする。

多少の難点は、夜寝る前にこれを長時間続けると、頭が冴えてしまうということだ。下手をすると寝られなくなる。まあ、人間の頭は、ほんとに睡眠を必要としているときは、何があっても休止してしまうようにできてはいるから、そう案ずることもないのだが・・・。


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