ウーマン村本大輔、自身の発言反省「拡大解釈」
その時間は酔っ払って寝ていましたが(笑)何やら無知な芸人がやらかした模様です。
まあ討論番組の性質上、話が専門的になりすぎては視聴者がついていけない恐れがあるので、一人ぐらい無知な人が混ざっていてもいいとは思いますが、流石に「沖縄は中国から盗った」発言は不勉強の度が過ぎていますな。それ以外の主張については、実は教員の中でも日教組という組織に加入している人とこの問題について話すと、「日本なんかに攻めて来る国はないから自衛隊も必要ない」と平気で言う人もいますから、反論はあっても思想的にない意見だとは言いません。彼らには「教え子を戦場に送りたくない」という大原則があり、その根本は自分も同意しますけど、だからといって海洋進出を進める中国や核ミサイル開発中の北朝鮮を「平和を愛する諸国民」と断言するには「ちょっと待てよ!」とツッコミたくなりますね。仮に尖閣諸島を占領された場合でも無抵抗で明け渡せ、国際社会が黙っていないから大丈夫、という意見にも賛同できません。大体隣国間の領土問題は当事者国で解決しろというのが国際的な原則ですし、尖閣を取ればやはり次は沖縄諸島を・・・という話になっていくのは間違いないでしょう。この辺のシミュレーションは以前読んだ百田さんの「
カエルの楽園」が詳しいですが、残念なのはこの芸人と同じように考えて、国防について思考停止しているお花畑の人達が日本人の中に少なからずいるということでしょう。それらの主張を自ら考えず鵜呑みにしてしまったのでは救いようがありませんが、もしもお茶の間の代表として論じただけ、というのであればその芸人魂は一応認めます。討論番組なので、「私はこう思います」「いえあなたの考えはおかしいです」という応酬はあって然るべきですし、根拠のない説には総ツッコミが入るのもまあ仕方がない話ですからね。それにしても今回の沖縄発言は流石にその域を脱したトンデモ空論であり、だからこそコイツを呼んだのは時間の無駄だったというような非難を浴びる羽目に陥ってしまったわけです。
沖縄は
丁度1年前に行ったので、その前後にかなり本を読んで歴史を勉強しました。今の沖縄県になる以前は琉球王国という独立国であり、南西諸島全域を支配していたわけなので、国土という意味では日本に引けを取らない巨大海洋国家でした。日本だってこの時代、山や森には人が住めませんから、集落を行き来するのに徒歩で山を越えるか舟で海を渡るかという違いでしかないのですね。この「琉球」という呼び名は中国語由来であり、14世紀頃から江戸時代まで、中国の冊封体制に入っていたことを意味します。しかしこれをもって「中国のものだった」と言うのでは、朝鮮半島ももちろんですし、太古の日本だってそうなってしまう暴論です。ではさらに前、琉球王朝が統一される以前はどうだったかというと、琉球という言葉は沖縄でなく台湾を指す言葉だったりと結構曖昧だったようで、文献的には沖縄(ウチナー)という言葉の方が古く、自分達は琉球人でなく沖縄人だという自覚をもっていた模様です。また沖縄の伝説に残る創造神アマミキヨは女性ですが、これは男尊女卑の儒教国だった古代中国では絶対に生まれない思想ですし、日本の天照大神と同一か、それをモチーフに語られていると考えた方が妥当です。さらに言語も中国の漢文読みでなく日本と同じSOV文法ですし、日本語とは方言レベルの違いしかありません。14世紀の書物「おもろさうし」には平仮名が登場しており、文化的にもかなり日本に近い民族だったことは明らかです。まあ古代から中世まで、アジア情勢において中国はどこも逆らえない国ですし、多くの周辺国が独立を保つための担保として冊封体制に入っていたわけですが、コレは「いざというときに守ってもらう」という主従関係よりもむしろ貿易が主目的であり、朝貢することで何倍もの贈り物がもらえるので、古代の日本と同様、戦略的に付き合っていただけだと考えるのが妥当でしょう。
ちなみに明治時代に琉球処分を受けて正式に日本国となりましたが、いきなり日本になったわけではなく、江戸時代から幕府と琉球王国との交流は続いていました。沖縄で一番有名な首里城(江戸時代のものを復元)へ行くと、真ん中の正殿から箱型Пに建物が伸びていますが、南殿(右側)に薩摩藩、北殿(左側)に中国の冊封使をそれぞれもてなすための施設があります。つまりこの時代は二重外交をしていたわけであり、既に日本と中国が対等だったことを表しています。しかも南殿と正殿はつながっていますが北殿は独立しており、第3者視点で見ればどちらの国に属していたかは一目瞭然だったことでしょう。これ、もし中国の属国であったとすればそんな対応は中国側が許さないでしょうし、幕末の琉球処分の際にも必ず秀吉の朝鮮出兵の時のような大戦争になっていたはずです。しかしそうはならず、沖縄県になった後も棚上げ状態で進み、日清戦争の後で正式に帰属問題が解決したという経緯があり、その後大東亜戦争の結果アメリカに統治され、のちに返還されましたが、その時には戦勝国であるはずの中国も何も言ってきませんでした。以上より、沖縄が歴史上中国のものだった事実はどこにもなく、現在は正真正銘日本の領土だといえるでしょう。
ただ、こういう話は沖縄県民ならまだしも、小中学校レベルの社会科で体系的に学ぶことはしないでしょうから、誰かに「沖縄は元中国」と言われて信じ込んでしまっている人は他にもいるのかもしれません。しかし予めオファーがあり、議論の準備をする時間はあったわけですから、自分の主張の裏を取るくらいはするべきですし、ましてや無知を開き直る態度は大人としていただけません。とりあえず小林よしのりの「沖縄論」くらいは読んで出るべきだったのではないでしょうか・・・そういえばよしりんは今年は出なかったのかな?最近ずいぶん左寄り発言を増やして媚びを売っていたようですが、前回の出演で何かテレ朝の不興を買ったのでしょうか?(笑)
・・・ふと思ったのが、司会の田原さんは先に出た百田さんとも対談したことがあり、思っていたほど左じゃない人物のようで、この朝ナマでは結構媒体であるテレビ朝日(朝日新聞)ではタブーじゃないかというような考え(笑)も平気で発言したりもしています。朝ナマは彼の進行で持っている番組なので彼を切ることはしないでしょうが、しかしそれではアサヒ的にまずいため、ひょっとしたら議論の本筋をアサヒ好みの左に傾けたいがためにその芸人を刺客で送り込んだ可能性もあるのではないでしょうか。よく紙面上で社説と同一歩調の読者投稿が載ることが多く、しかもそのほとんどが感情論で的を得た反論はほとんど載らない新聞なので、今回の彼の出演も同じ社是忖度要因だったのかもしれません。だとしたらこの炎上騒動は代弁者にピエロを選んでしまったアサヒの完全なる作戦失敗だったことになり、彼はその被害者なわけです。流石に、ただでさえ年末年始の仕事が減っていたらしい彼の口から「実は台本通りでアサヒに言わされました」という証言は出ないでしょうが、いずれにしても今後出番が増えることはなさそうですね・・・気の毒に。