1年か2年前のことでしたか、「鹿男あをによし」というテレビドラマを見ました。奈良が舞台の連続ドラマは珍しいので見ました。これがほんとにおもしろくておもしろくて、欠かすことなく見ました。ストーリーの発想も、頭の固い私にはユニークそのもの。
連ドラを見つづけている間に、原作が小説であることを知りました。万城目学という人の第二作で、前作が「鴨川ホルモー」であることを知りました。
オーッ、ふるさと京都ではないか。本屋でひろい読みしてみると、これもおもしろいおもしろい。おまけに物語の舞台が京都市中心部のなつかしいところばかりです。買って読みました。後に文庫版があるのを知って、これも買いました。この作者の「プリンセス・トヨトミ」という映画が今年公開されるそうですね。
――さて、ここで話題が、「明の万城目学」から「暗の高橋和巳」に変わります。
私は就職してしばらく後の20代半ばまで、ドストエフスキーと高橋和巳を耽読しました。京都に職を見つけて東京を離れるとき、ドストエフスキー全集と高橋和巳作品集を売りました。飲み代のツケ払いの一部にあてたのです。後年、後悔しました。
ドストエフスキーについては読みたいときにいつでも文庫本を買うことができます。高橋和巳はそうはいきません。それで奈良県に住むようになった後に出版された文庫本を買いそろえました。
「高橋和巳」には読むといつでも、激しく心動かされます。なぜそうなのか、未だ明確な答えを見つけることができません。