川本ちょっとメモ

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安倍首相「わが軍」発言――胸中はすでに「国防軍」

2015-03-31 23:41:07 | Weblog
政治家の発言のうち、うっかり漏れ出ることばがあります。それが「失言」です。この失言を訂正して謝って波風をおさめる場合もあり、こじつけの強気な説明で済まされてしまう場合もあります。

しかしどちらであっても、政治家の失言が本音の表れであることは誰もが知っています。

安倍首相の「わが軍」発言について、毎日新聞は次のように伝えています。

 安倍晋三首相は30日の衆院予算委員会で、自衛隊を「わが軍」と呼んだ自らの国会答弁について「全く問題ないと今でも思っているが、大切な予算委員会の時間がこんなに使われるのであれば、そういう言葉は使わない」と述べた。同時に「共同訓練の相手である他国の軍と対比するイメージで述べた」と重ねて釈明した。 (毎日新聞 2015年03月30日 16時14分)

 国会答弁で安倍首相はついうっかりと、わが自衛隊と言うべきところを「わが軍」と言ってしまいました。政治家の失言が本音の表れであることは誰もが知っています。この失言は、自衛隊行事における下記内閣総理大臣訓示の発言に符合しています。「自衛隊の最高指揮官」という表現は歴代訓示同一の定型文句ですが、そのほかのことばには歴代総理にない自衛隊への思い入れを感じさせます。

   ◇   ◇   ◇

<安倍首相 言行録> ※官邸ホームページより 


① 自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣として、改めて諸君の活動に深甚
  なる敬意を表します。
② 私は、諸君の先頭に立ち、国民の生命・財産、我が国の領土・領海・領空
  を断固として守り抜く決意です。
       ――2013.1.20. ゴラン高原PKO(UNDOF)隊旗返還式
               安倍内閣総理大臣訓示

③ 諸君の規律正しく、凛々(りり)しい勇姿に接し、自衛隊の最高指揮官と
  して、心強く、頼もしく思います。
④ 今、この瞬間も、諸君の先輩は 、荒波を恐れず、乱気流を乗り越え、泥
  にまみれながらも、極度の緊張感に耐え、強い誇りを持って、任務を立派
  に果たしています。私は、その先頭に立って、国民の生命・財産、我が国
  の領土・領海・領空を守り抜く決意であります。
⑤ 私と日本国民は、常に、諸君とともにあります。
  ――2013.3.17. 平成24年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示

⑥ 私は、諸君の先頭に立って、国民の生命・財産、我が国の領土・領海・領
  空を断固として守り抜く決意です。
⑦ 私と日本国民は、常に、諸君をはじめ全国25万人の自衛隊と共にありま
  す。
  ――2013.9.12. 第四十八回自衛隊高級幹部会同 安倍内閣総理大臣訓示

⑧「本日の観閲式に臨み、士気旺盛な隊員諸君の勇姿に接することができ、
  観閲官として大変うれしく思います。この場に立つと、諸君の最高指揮官
  として、改めて身の引き締まる思いです。
⑨ 私は、諸君と心を一つにして、国民の生命と財産、そして我が国の領土・
  領海・領空を、断固として守り抜く決意であります。
  ――2013.10.27. 平成25年度自衛隊記念日観閲式 安倍内閣総理大臣
    訓示

⑩ 諸君の、誠に凛々しく、希望に満ち溢れた勇姿に接し、自衛隊の最高指揮
  官として、心強く、頼もしく思います。
⑪ 緊張感の高い現場で、今この瞬間も、士気高く任務にあたる自衛隊員の姿
  は、私の誇りであります。
⑫ 私も、最高指揮官として、大切なお子さんを自衛隊に送り出してくださっ
  た皆さんに、この場を借りて、心から感謝申し上げたいと思います。
  ――2014.3.22. 平成25年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示

⑬ 本日、防衛省・自衛隊60周年記念航空観閲式にあたり、高い練度を有す
  る隊員諸君の勇姿に接し、観閲官として、また、自衛隊の最高指揮官とし
  て、心強く、頼もしく思います。
⑭ 60年間に及ぶ、諸君と諸君の先輩たちの弛まぬ努力に、自衛隊の最高指
  揮官として、深甚なる敬意を表します。
⑮「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民
  の負託にこたえる」。諸君の、この宣誓の重さを、最高指揮官として胸に
  深く刻みながら、諸君と共に、いかなる事態にあっても、国民の生命と財
  産、我が国の領土・領海・領空を守り抜いていく決意であります。
  ――2014.10.26. 防衛省・自衛隊60周年記念航空観閲式 安倍内閣総
    理大臣訓示

⑯「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民
  の負託にこたえる」。この宣誓の重さを、私は、最高指揮官として常に、
  心に刻んでいます。
⑰ 御家族の皆様。皆様の大切なご家族を、隊員として送り出して頂いたこと
  に、自衛隊の最高指揮官として、感謝に堪えません。
  ――2015.3.22. 平成26年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示


「わが軍」うっかり発言は、安倍首相の目指すところが現在準備中の安全保障法制改変にとどまらないことを暗示しています。安倍首相にとっては、昨年の7・1閣議決定から関連法整備に至る過程も、その次へのステップに過ぎません。

安倍首相の胸中では、下記の自民党憲法草案にある日本国防軍の活躍する姿が現実のものとして見えているのでしょう。それが、「わが自衛隊」と言うべきところを、「わが軍」と言ってしまった背景にあります。


<自民党憲法草案 (国防軍)第九条の二>
(国防軍)
第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。

2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調し て行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。

4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する 事項は、法律で定める。

5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところによ り、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。 ―自民党憲法草案から―

          ----------------------------------------

<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。





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