いま国会で審議している安全保障関連法案は、憲法9条の枠内である、合憲であるという前提に立っています。安倍政権、自民党、公明党が合憲であるとしている根拠理論は、理屈として成り立つものではありません。これほど強引なことをできる人がいるとは思いもしませんでした。甘かった。安倍首相は、今回はむりやりに押さえつけておいて、あとで憲法9条を変えてしまえば、このたびの合憲・違憲論争はお蔵入りだと高をくくっているのでしょう。
昨年6月ごろ、自公両党の安保法制協議のなかで、集団的自衛権を容認することと、これは従来から積み上げられてきた政府憲法判断の枠内に合致するものである、とする理論的根拠が明らかになりました。この根拠文書が、『昭和47年(1972年)10月14日参議院決算委員会提出資料』です。
この根拠文書を一読するなり、政府、自民党、公明党が推進する合憲論拠のひどさがわかる代物です。合憲とする根拠が、これしかないのか……。安倍政権、自民党・公明党など政府側にだけ都合のいい身勝手な憲法解釈が実行に移されるなら、それは国が亡びるもとになります。
私はいてもたってもいられない気持ちで、身近な人に、憲法違反がいかに重大なことであるかを話してきました。そんなことを話せる機会は少ないうえに、
考えをじっくり交換できる機会は皆無に近い。それで、憲法違反のことを訴えても「ふーん、違憲なん?」というていどで、相手の人は思考停止です。立ち話くらいのことでは、こんな結果で終わることが多い。嗚呼、これが民主主義の醍醐味なんだ。
ところが、誰かの家とか喫茶店で座り込んで、じっくりと意見を交換すると、
皆さん理解をしてくれます。私は一人の人と意見交換をすることを、いろいろな人とくり返していくことが民主主義だと思っています。一生、この姿勢を貫いていこうと思います。私がじっくり話している内容は次のようなことです。
総理大臣は一国の最高指導者です。一国の運営はすべて法律の裏付けのもとに為されています。市町村の窓口業務をしていて人々の身近にいる公務員も、憲法に基づいた法律・政令・省令・通達・規準など、網の目以上に細かく張り巡らされた法規の裏付けを得て業務を行っています。私の日常生活も同様です。
道路交通法にもとづいて、郊外生活必需品である車を運転しています。住んでいる家は建築基準法とその技術規制をクリアして建てられています。
一国の最高指導者が政治権力をバックにして身勝手な法解釈をし、それによって自分の好きな政治を行えば、それはすぐに下位の者に伝染します。人間というものは弱いですから、政治や行政を行う立場にある人や、その人たちに影響力を行使できる人は、仕事の遂行上ちょっとした難しいことにぶつかると、その仕事の裏付けとなる法律の解釈を自分に都合のいいようにします。私たちの毎日の生活にあちこちで不都合なことがあたりまえのように起きてきます。
そんな一つ一つのことがいつのまにか大きなうねりなって、誰もが、これはまずいと思うようになってからでは手遅れです。総理大臣から普通の大臣へ、そして国家公務員へ。都道府県知事から市町村長へ。都道府県公務員から市町村公務員へ。こういうことは早く伝染します。
今も、磯崎陽輔首相補佐官が、憲法違反論議に関連して「法的安定性は関係ない」と言って問題になっています。これが、安倍首相が、憲法9条解釈を強引に身勝手に変更した明らかな効果です。首相の身辺にいるものだから、「権力悪病」が体質になるのですね。
また、7月27日の毎日新聞によれば、公明党の若松謙維参院議員は「政府の努力を覆すような報道はフェアではない」とマスコミ批判を口にしたそうです。報道圧力を口に出すなど、公明党議員も堕落したものです。これも、憲法解釈私物化の明らかな効果です。「権力悪病」という伝染病です。
悪い伝染病は伝染力が強く、伝染スピードも速い。憲法違反は権力悪病であり国を根元から腐らせる病なんです。国を滅ぼす凶悪な伝染病です。
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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(※憲法違反です)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣はデモクラシー日本を食い破りつつある危険な内閣です。その政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来年7月参院選で自民党に“No”を!