川本ちょっとメモ

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<資料> 昭56・4・22 「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問主意書/5・29 質問に対する答弁書

2015-08-23 01:09:51 | Weblog


<資料> 「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する
      質問主意書



昭和五十六年四月二十二日提出
質問第三二号

 「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する
  質問主意書
右の質問主意書を提出する。

  昭和五十六年四月二十二日
提出者 稲葉誠一
          衆議院議長 福田 一 殿


 集団的自衛権と憲法第九条、国際法との関係については必ずしも明瞭でないので、これを明らかにすることがこの際必要と考えるので、ここに質問主意書を提出する。

 集団的自衛権について次のとおり質問する。

一 内閣としての統一した定義

二 独立主権国家たる日本は当然自衛権を持ち、その中に集団的自衛権も含まれるのか。

三 集団的自衛権は憲法上「禁止」されているのか。
  とすれば憲法何条のどこにどのように規定されているか。

四 「禁止」されていず政策上の問題として「やらない」としているのか。

五 集団的自衛権が「ない」ということで我が国の防衛上、実質的に不利を蒙
 むることはあるか。

六 尾崎行雄記念財団発行「世界と議会」一九八一年四月号に、元外務次官法
 眼晋作氏の「日本の外交」と題する講演が記載され、その七頁上段に「たと
 えば、日本が集団的自衛権がないということをいうでしよう。法制局がそう
 解釈しているのですが、しかし、安保条約を見てごらんなさい。日ソ共同宣
 言を見てごらんなさい。国際連合憲章をみてごらんなさい。どの国も個別的
 に、集団的に自衛をする固有の権利を持つているということが書いてありま
 す。それを日本の解釈は、集団的自衛権がないということをいうものですか
 ら、安保条約の解釈も、日本が自分だけを守ることをやっておっていいけれ
 ども、それ以外はアメリカと協力しない、という建前で議論するわけです。
 そんな独断的解釈が通るでしようか。云々」とある。

 1 日米安保条約は、集団的自衛権を否定しているものか。
   とすればその条文上の根拠
   認めているとすればその条文上の根拠

 2 日ソ共同宣言は、日本の集団的自衛権を認め、その上に成立しているの
  か。

 3 国連憲章を承認して加盟している以上、その第五十一条により集団的自
  衛権をなくしているのではないか。

 4 平和条約第五条C項との関係

七 昭和四十七年五月十二日参議院内閣委員会会議録第十一号二十頁二段目、
 法制局第一部長答弁の中に、「韓国に対する脅威が、危害がありましても、
 これは直ちにわが国の自衛権が発動することになるとは毛頭考えておりませ
 ん。」とある。

  「直ちに」とあるのはいかなる意味か。

  それがひいては日本の自衛権発動 ― 個別的か集団的かを問わず ― を招
 来することを予期しての答弁ではないか。

八 また、同十九頁三段四段には、「かりにわが国が集団的自衛権の行使とい
 うことを行なつても、外国はわが国を目して国際法違反であると、国際法的
 に見て違法な行為をしたのだというべき立場にはないということだろうと思
 います。云々」とある。

  これはいかなる意味か。

 右質問する。

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衆議院議員稲葉誠一君提出
<資料> 「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する
      質問に対する答弁書



昭和五十六年五月二十九日受領
答弁第三二号
(質問の 三二)

内閣衆質九四第三二号
昭和五十六年五月二十九日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿


<一から五までについて>

 国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもつて阻止する権利を有しているものとされている。

 我が国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上、当然であるが、憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている。

 なお、我が国は、自衛権の行使に当たつては我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することを旨としているのであるから、集団的自衛権の行使が憲法上許されないことによつて不利益が生じるというようなものではない。


<六について>

 我が国は、国際法上、国際連合憲章第五十一条に規定する集団的自衛権を有しており、このことについて、日本国との平和条約第五条(C)は、「連合国としては、日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有すること……を承認する。」と、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言第三項第二段は、「日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、それぞれ他方の国が国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有することを確認する。」と、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約前文は、「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し」と、それぞれ規定している。

 なお、我が国が集団的自衛権を行使することが憲法上許されないことについては、一から五までについてにおいて述べたとおりである。

<七について>

 御指摘の答弁は、その答弁に係る事態について、我が国の自衛権の行使が認められる余地があるという趣旨のものではない。このことは、同答弁の直前において、「わが国に対する武力攻撃があつた場合に日本の個別的自衛権は限定された態様で発動できるというだけのことでございますから」と述べていることからも明らかである。

<八について>

 御指摘の答弁は、我が国が、国際法上、主権国家として、集団的自衛権を有していることを説明したものである。

 右答弁する。


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