■森友学園の陳情を受けて設置審査基準を緩めた
■橋下徹氏と松井一郎氏の大阪維新コンビ
森友学園の小学校新設に絡んで、豊中市にある国有地特価売払い疑惑が問題になっています。この端緒になる引き金を引いたのは、大阪府の橋下徹前知事と松井一郎現知事の大阪維新コンビです。
森友学園は塚本幼稚園を経営する学校法人です。森友学園の籠池泰典理事長は塚本幼稚園で昔の教育勅語を園児に朗誦させたり、自衛隊施設や自衛官の見学を幼稚園の年中行事に取り入れていました。
籠池理事長は塚本幼稚園と同様の理念に基づく小学校建設を志していました。しかし、幼稚園経営のみの学校法人では、大阪府私立小中学校設置認可審査基準に欠格していました。
そこで、森友学園の籠池理事長は、幼稚園経営のみの学校法人でも小学校建設ができるように大阪府審査基準の資格要件を緩めてもらおうと思いつきました。
これが、大阪府の小中学校経営に新規参入を促進する規制緩和です。具体的には、「大阪府私立小学校及び中学校の設置認可等に関する審査基準の改正」でした。
竹中平蔵氏を軍師にして、安倍晋三首相が多方面にわたって規制緩和政策を進めています。教育分野では規制緩和によって加計学園を助けました。
橋下徹氏は大阪府知事当時に森友学園籠池理事長の陳情を受けました。そしてその陳情処理は橋下徹氏の後継指名を受けて府知事に当選した松井一郎氏に引き継がれ、大阪府私立小中学校設置認可審査基準が改正されました。
■無理のある大阪府市私学審答申
これによって、森友学園籠池理事長の小学校建設運動がスタートし、「瑞穂の國小學院」設置申請が大阪府私立学校審議会に提出され、何回かの審議会の途中経過ではいくつもの懐疑的意見が話されながらも、結論として、2015(H27)年1月30日「認可適当」という審議会答申が出されました。
〇参照クリック → 2017-03-14 <安倍―橋下―松井―籠池 疑惑> 大阪私学審会議録
シリーズ(2)平成26年12月定例会2 委員は財政基盤に疑問一色
森友学園のための大阪府私立学校設置認可基準の規制緩和が為されていなかったならば、森友学園国有地特価払下げ問題は起こっていなかった。
審議会を開くたびに審議会委員から懐疑的意見が表出されているにもかかわらず、大阪府私立学校審議会が、無理に「認可適当」という答申を出していなければ、森友学園国有地特価払下げ問題は起こっていなかった。
橋下徹氏や松井一郎氏がどのように言い繕っても「失政」には違いない。
2017年3月6日の夜、テレビ番組「橋下・羽鳥の番組」で、橋下徹氏は「ぼくの知事時代、2011年に幼稚園も参加できるように審査基準を緩和してほしいと、籠池氏から大阪府に要望があった」と話しました。橋下徹氏は、籠池氏が熱烈に応援してくれていた、塚本幼稚園が選挙の時に応援してくれていたことも知っている。しかし直接に知っているという関係ではない、と話しました。
2011年11月27日、松井一郎氏が大阪府知事に当選しました。そしてさっそく、審査基準改正案をパブリックコメントにかけました(2012年1月24日から2月23日まで)。
・2011(H23)-07/
橋下徹知事のとき、籠池泰典氏が大阪府に、幼稚園も参入できるよう「大阪府私立小学校及び中学校の設置認可等に関する審査基準」の緩和を要望。籠池泰典氏は橋下大阪府知事(当時)の熱烈な支持者であった。
・2011(H23)-11/27
松井一郎氏、大阪府知事当選 橋下徹、大阪市長当選
・2012(H24)-01/24~02/23
大阪府「幼稚園等を設置する学校法人が小学校等を設置する場合における資
産要件(借入金)に関する審査基準の改正について(案)」パブリックコメント
http://www.pref.osaka.lg.jp/shigaku/pabukome_kekka/index.html
どこが変わったのか? 「既に小学校、……設置している」が、「既設の」に、変更されました。たったこれだけで、幼稚園しか経営していない学校法人森友学園に、小学校新設申請をする資格ができました。この審査基準変更が、今回の森友騒動の端緒です。
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(注1) 現行審査基準を下に転記します。http://www.pref.osaka.lg.jp/joho-kens
aku/attach/shinsa-00063_1.pdf で閲覧することもできます。
(注2) 下記の囲みの部分が、審査基準変更カ所です。変更成った文章は(5)で、
オレンジ文字が現行の審査基準です。
(注3) 青色アンダーライン文字が抹消され、オレンジ色アンダーライン3文字が
追加されました。
<資料>
大阪府私立小学校及び中学校の設置認可等
に関する審査基準
7 資産等
(1) 校地、校舎その他の施設は、自己所有であること。
(2) (1)にかかわらず、教育上支障がなく、かつ、次の基準を満たす場合に
限り、借地を校地及び運動場とすることができる。
ア 当該借地の上に、校舎(倉庫等簡易な建物を除く。)がないこと。
イ 次の (ア)又は(イ) のいずれかに該当し、将来にわたり、安定して使用
できること。
(ア) 20年以上にわたり、賃借権等を取得し、これを登記すること。
(イ) 借地の所有者が国、地方公共団体等の公共的団体であること。
(3) 設備は自己所有であり、負担附(担保に供せられている等)でないこと。
ただし、教育上支障がないと認められる場合における情報機器等の借用は
この限りでない。
(4) 私立学校の設置に係る負債(日本私立学校振興・共済事業団からの借入金
を除く。)がないこと。
<旧>
(5) (4)にかかわらず、[既に小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、
特別支援学校、大学、短期大学又は高等専門学校を設置している] 学校
法人が私立学校を設置する場合は、次の基準を満たす借入金は認めら
れる。
<新>
(5) (4)にかかわらず、[既設の] 学校法人が私立学校を設置する場合は、
次の基準を満たす借入金は認められる。
(注) 設置基準変更カ所
上記 [__] の文節が抹消され、代わりに[__] の3文字が挿入されました。
イ 借入先が確実な金融機関であること。
ウ 適正な返済計画があり、かつ、実行可能であること。
エ 当該借入後において、学校法人の総資産額に対する前受金を除く総負
債額の割合が30%以下であり、かつ、学校法人の負債に係る各年度の
償還額が当該年度の帰属収入の20%以下であること。ただし、私立学
校の設置が学校法人の経営改善に資するものであり、借入金額が学校法
人の経営状態に多大な影響を及ぼさないと認められる場合はこの限りで
ない。
(6) 校地、校舎その他の施設は、負担附でないこと。ただし、(4)、(5)の
借入金に係る担保はこの限りでない。
(7) 開設年度の人件費の3分の1に相当する運用資金を保有していること。
(8) 開設年度から少なくとも2年間の学校運営に係る予算について、適正な
計画を立てており、授業料、入学料等現金の経常的収入その他の収入で収
支の均衡を保つことが可能であると認められること。
(9) 校地、校舎その他の施設及び設備の整備に要する経費及び(7)の経費の
ための資金で、(4)、(5)の借入金を引いた額が、私立学校開設時に収納
されることが確実と認められること。