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川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

テレビドラマ「人間の証明」 原作・森村誠一 …少年時代の思い出につれて

2017-04-02 23:30:23 | Weblog


今夜、テレビドラマ「人間の証明」を見ました。調べてみると、角川文庫になったのも映画になったのも、1977年。

私は母から、1945年~1950年ころ、戦争で空襲に会ったころから朝鮮戦争ごろまでの生活をくり返しくり返し聞いて育ちました。高校・大学のころから後は、本も、何冊も何冊も読みました。

ですから、ジョニー・ヘイワードが生まれ、母と別れ、父に連れられてアメリカに渡った時代の日本が、生活感覚でわかるような気がします。ジョニーの父はアメリカ兵でした。

東京。黒人青年がタクシーに乗って大きなホテルをめざし、そのホテルの或る会場を目の前にして死にます。胸にナイフが刺さった殺人事件です。ジョニーは死にました。それなのに、物語が終わるまでずっと、ジョニーが母を求める哀情が漂いつづけて、読む人を、見る人を離しません。

私は事情あって、小学校1年生から中学校1年生までの7年間、祖母に預けられて育ちました。毎月1回、仕送りを持って会いに来る母を待ち続けて暮らしました。母が会いに来て顔を見たときは喜び、その日のうちに帰る母を見送った後は弟と二人で泣きました。母を見送るときに悲しそうなそぶりを見せると祖母が怒りました。

戦後の日本の中で、母と別れて米兵の父と共にアメリカに渡り、成人になっても母を求めつづけ、そして母の前で胸を突いて自死しゆくところで、彼の悲哀はピークに達します。ジョニー・ヘイワードの、涙なしに見てはいられない悲哀の情を、少しは共にできるだけの育ちをしたと思います。


<人間の証明 歌詞> ※ユーチューブで聴けます ストーリーに見合った良い歌です
Mama,Do you remember the old straw hat you gave to me
I lost the hat long ago flew to the foggy canyon
Yeah Mama,I wonder what happened to that old straw hat
Falling down the mountain side out of my reach like your heart

※Suddenly the wind came up
Stealing my hat from me yeah
Swirling whirling gusts of wind
Blowing it higher away

※※Mama,that old straw hat was the only one I really loved
But we lost it,no one could bring it back like the life you gave me

※Repeat
※※Repeat
Like the life you gave me


<西條八十 「帽子」>
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。

母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。

母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、

その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。

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