川本ちょっとメモ

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琉球新報が9月30日沖縄県知事選でファクトチェック記事とツィッター分析記事を書いていました

2018-11-06 23:07:00 | Weblog

9月13日告示、9月30日投票の沖縄県知事選に関して、琉球新報がファクトチェック記事とツィッター分析をした記事を発信していました。投稿分析はツイッター上での検索サービスを手掛けるスペクティの協力を得て実施している、ということです。選挙にからむファクトチェックやツィッター分析はめずらしいので、記録を取っておこうと思います。以下、琉球新報の記事に依ります。


琉球新報 2018年9月25日 10:14 政策集「携帯料金4割削減」

 県知事選を巡り、候補者の一人(注:佐喜真淳氏)が掲げる公約となる政策集で「携帯電話利用料の4割減を求める」と記載している。

 本人のユーチューブやツイッターでは「携帯料金の4割削減を進め家計を助けます」「携帯代4割削減」と記載しており、不特定多数が目にするインターネットでは「求める」という表現は省かれ、知事の権限で実現できるかのように書かれている。

 16日に那覇市内で街頭演説した菅義偉官房長官も、この候補者が公約に掲げていることを歓迎し「4割程度引き下げる。そうした方向に向かって実現したい」と主張していた。

 携帯電話会社など通信事業者を所管する総務省によると、携帯電話料金を引き下げる法律や国の権限はなく、地方自治体の長である知事にも権限はない。

携帯電話料金については格安スマホ会社が増加する中、携帯電話料金やサービスは市場原理で変動していて、国による値下げへの働き掛けは一候補者の公約とは別に、従来から進められている。


琉球新報 2018年9月27日 06:00 遠山衆院議員、釈明

 公明党の遠山清彦衆院議員は26日、自身の短文投稿サイトツイッターでの書き込みについて報じた琉球新報の一括交付金を巡る「ファクトチェック」の記事に関して、沖縄知事選の候補者を「ゆくさー」(うそつき)と表現したのは「少し感情が入って強い表現だったかもしれない」と釈明した。

 その上で、一括交付金創設に関する候補者の発言について「当時の与党の一員として関与はしていたと思うが、(候補者の言う)『直談判して実現にこぎつけた』は、一人でやったようで誇大宣伝だ」と改めて強調した。

 公職にある立場として、真偽が確認できない内容の書き込みをリツイート(共有)することについては「自分が作ったわけではないものだが、今後は自分がリツイートして事実上、拡散する中身について、少し細かく精査をして慎重にやりたい」と語った。


琉球新報 2018年9月28日 05:30 ツィッター分析

 琉球新報社が実施している沖縄県知事選に関するツイッター(短文投稿サイト)への投稿の分析で、告示日前日の12日から25日に取り上げられた言葉を調べたところ、候補者のうち玉城デニー氏が佐喜真淳氏の2・5倍の件数つぶやかれていたことが分かった。

 ただ玉城デニー氏についてつぶやいている内容は、玉城デニー氏を批判し攻撃するものが大半だった。

 つぶやかれた件数は、名字や名前だけの表記も数に入れて、

  玉城氏デニー氏……3万7494件
  佐喜真淳氏  ……1万4708件
  
 両候補以外で多くつぶやかれたのは、

  故翁長雄志さん……3506件
  安室奈美恵さん……2802件
  安倍晋三首相 ……2129件
  小沢一郎自由党代表……1068件
  小泉進次郎衆院議員…… 652件

 9日から25日までの候補者本人の投稿数は、
  玉城デニー氏……257件
  佐喜真淳氏 ……194件

 上記候補者本人の投稿件数に対するリツイートやリプライは、
  玉城デニー氏……3万1073件
  佐喜真淳氏 ……2万6783件


琉球新報 2018年9月29日 05:00 ツィッター書き込み内容

 9日から27日までの候補者本人の投稿数は
  玉城デニー氏……315件
  佐喜真淳氏 ……217件。
 
 26日と27日のツィッター投稿を調べたところ、佐喜真淳、玉城デニー両氏の主張に対し賛同したり、批判したりする内容が目立つようになった。

〇ツイッター文で支持する候補を推す内容では

 佐喜真氏に対して
  「沖縄県の経済、暮らしを良くする具体的な施策がある」
  「県民の生活のことを考えているのは佐喜真氏だけ」 ――など。

 玉城氏に対して
  「知事選が始まり、こんなにすてきな人だと新たに知った」
  「玉城氏の演説に大変な感動を覚え、涙を流した」 ――など。

〇相手候補を批判、攻撃する内容では

 佐喜真氏に対して
  「携帯料金引き下げは業者の業績悪化を招き実現できない」
  「『女性の質』と言う候補を選ぶのか」 ――など。

 玉城氏に対して
  「沖縄を外国勢力から守れるか。中国に洗脳されている」
  「基地負担を取り除いた実績があるのか」 ――など。


琉球新報 2018年10月4日 10:28 ファクトチェックについて

 今回の知事選でのファクトチェックで対象にした言説は、「世論調査の数字」「一括交付金の制度創設」「安室奈美恵さんの候補者支援」「携帯料金の削減の公約」の4本。9月8日付から25日付まで断続的に報じた。

 さらに直接的にファクトチェック記事ではなかったが、検証不能な真偽不明の情報が国会議員などによって大量拡散されている実態をまとめた記事も26日付で掲載した。

 この企画で留意したのは、分析などは交えずに事実を並べて読者に判断してもらうことだった。もう一つ意識したのは、選挙期間中に記事を掲載することだ。有権者に正しく判断してもらうためには、選挙後に検証記事を出しても投票行動にとっては意味がないと考えたからだ。

 ただ検証には困難も伴った。ツイッターで疑惑が書かれて当事者は否定しても、それだけでは検証対象の書き込みが「偽」とは断じられない。ある犯罪を行ったかのような印象を与える書き込みもあったが、対象となる言葉自体は検証がほぼ不可能で、明確に「偽」のチェックができないものも少なくなかった。候補者のマイナスイメージを振りまくだけで、それが事実かどうかは本人が証明すべきだと言い放つ書き込みも目立った。


琉球新報 2018年10月6日 05:30 ファクトの重み実感

9月30日の県知事選で、琉球新報は選挙取材班の「ファクトチェック」と同時に、SNS(会員制交流サイト)のツイッターに発信される内容を調べた。選挙の際にSNSで情報が大量に流れているのを漠然と感じていたが、今回の調査で、その投稿内容の傾向を知ることができた。

 若い世代の情報入手先は新聞やテレビ、ヤフーニュースなどの大手ポータルサイトでもなく、SNSになっている。自分と考えの近い人たちのつぶやき、共有したニュースから情報を得ている現状で、知事選を巡り、どのような情報が飛び交うか探りたかった。投稿を集める作業はネット上に書き込まれた事件や災害などの情報をリアルタイムで発信するスペクティ(東京、村上建治郎社長)に依頼した。

 一般ユーザーの投稿について、内容が肯定的か否定的か、正確に把握するには一件一件読んだ方が確実だと判断した。

 9月9日~同29日に発信された投稿のうち、リツイート(再投稿)分も含め約20万件以上に目を通した。初回の分析では夜通しで半日以上かかった。

 特定の候補者を批判、攻撃する内容が多いとは思っていたが、露骨な誹謗(ひぼう)中傷を含めた攻撃、批判の内容がほとんどだったため驚いた。約9割は玉城デニー氏を攻撃する内容だった。政策や沖縄の課題を議論するやりとりや互いの支持候補を褒める内容は少なかった。

 人の悪口を大量に読むのは気が滅入ったし、単調で膨大な作業の途中、何度も眠気に襲われた。しかし過激な内容が目を覚まさせた。「玉城デニーは中国のスパイ」「裏に中国共産党がいる。沖縄が破壊される」などだ。

 候補者本人の投稿のリツイート(再投稿)数が多い人も分析した。佐喜真淳氏のリツイートが多い上位を見ると、プロフィル欄に「日の丸」をあしらい、普段から「ネトウヨ」とみられる内容の投稿をしている人が目立った。

 一般の投稿では新聞や雑誌、ネットメディアが特定の候補者に関する内容を掲載した際、リツイートを含め投稿数が飛躍的に伸びた。琉球新報が行ったファクトチェックの記事も拡散が見て取れた。どれだけフェイクニュースを打ち消すことができたのかは不明だが、一定の効果はあったのではないかと思う。

 スマホがこれだけ普及し、誰もがSNSで気軽に発信でき、情報を得ることができる時代になった。SNSを意識して有権者が求める分かりやすい記事を書いていくことも、報道機関には必要だと実感した。


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