川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
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橋下徹氏と大阪維新の動き 安倍首相へのおねだり成果

2019-01-08 22:43:32 | Weblog

2018-12-29
<大阪都構想> 松井一郎大阪府知事(日本維新の会代表)が2回目住民投票に関する維公合意書を記者会見で公表
2019-01-08
橋下徹氏と大阪維新の動き 安倍首相へのおねだり成果
2019-01-26
<大阪維新> 橋下徹府知事(当時)が大阪府庁の咲洲(湾岸埋立出島)全面移転にこだわったことで「この人はあかんわ」と思いました(1)
2019-01-28
<大阪維新> 橋下徹府知事(当時)が大阪府庁の咲洲(湾岸埋立出島)全面移転にこだわったことで「この人はあかんわ」と思いました(2)
2019-02-24
<大阪維新> 橋下徹府知事(当時)が大阪府庁の咲洲(湾岸埋立出島)全面移転にこだわったことで「この人はあかんわ」と思いました(3終)
2019-02-27
<大阪維新> 橋下徹氏は経済人・国政政治家の後援を確認してから出馬した/二重行政問題は大阪市を制御したい府目線
2019-03-09
橋下徹大阪府知事時代 二重行政改革、府市水道統合協議、WTC府庁移転に隠されている大阪市支配への意欲
2019-03-31
大阪では維新政治が安定しません / 都構想なしの太田房江府知事時代には府市連携協議が持たれていました
2019-04-02
<大阪維新> 橋下徹大阪府知事は二重行政改革の手始めに、前任太田知事の府市水道協議成果である「府水道予算800億円削減案」を見捨てた




 ■橋下徹氏と大阪維新の動き

2008年(H20年)
  1月   橋下徹氏が大阪府知事に初当選 183万2857票を獲得
   2月   橋下大阪府知事と平松大阪市長が読売新聞大阪本社で会談          
 
      水道事業統合を検討課題にすることで合意
  4月   大阪府議会に新会派「自由民主党維新の会」
      橋下大阪府知事と平松大阪市長が大阪市都島区の市公館で会談
      水道事業統合協議継続で合意
   8月   橋下徹知事(当時)、湾岸出島の咲洲さきしまにあるWTC(ワール
 
      ドトレードセンター55階建て超高層ビル)へ大阪府庁全面移転
      計画を発表

2009年(H21年)
  3月   大阪府庁舎のWTC移転補正予算案 府議会否決、
      賛成40票 反対69票

2010年(H22年)
  1月   橋下徹大阪府知事(当時)が大阪都構想を打ち出す
  3月   大阪市議会、大阪府へのWTC売却同意案可決
      大阪府議会、WTC購入及び移転支出を含む平成22年度一般会計
      予算案を可決
      大阪府、WTC購入の仮契約締結
  5月   大阪府、WTCを購入
  9月   水道事業統合、府下37市町村議会において規約案を可決
 11月   大阪広域水道企業団設立認可(参加37市町村)

2011年(H23年)
  1月   大阪広域水道企業団、参加42市町村に増加
  3月   大阪府議会、府水道企業条例廃止を可決
        東日本大震災 巨大津波災害、福島第一原発爆発災害
      大阪府咲洲庁舎(旧称WTC)が東日本大震災被災
      震源から遠く離れた大阪咲洲で震度3、長周期地震動の被害多く
      庁舎のエレベーター32基中26基停止 8基は24時間経過後も復
      旧できず エレベーター5時間閉じ込めが4基5人 建物の損
      傷360カ所           
  4月   大阪広域水道事業団、用水供給事業及び工業用水道事業開始
   8月   橋下徹大阪府知事、府庁舎の咲洲全面移転を断念
 11月   大阪府市ダブル選 橋下徹氏が大阪市長に初当選
       大阪府知事に橋下氏の盟友松井一郎氏が初当選

2012年(H24年)
   春~夏  橋下大阪市長(当時)、新党構想で安倍晋三氏に3回会う
   9月   安倍晋三氏、自民党総裁に返り咲き就任
      大都市地域特別区設置法施行
      「都」という呼称は使えない。特別区対象は「横浜・川崎」を
      はじめ8地域に限定。しかし大阪市以外で特別区設置を希望す
      る自治体はない。
  10月   堺市長選「堺のことは堺で決める」現職竹山修身氏が2戦勝利
      維新候補敗北 堺市、都構想不参加確定
  12月   衆院選 民主惨敗 自民政権復帰 第2次安倍晋三内閣発足

2014年(H26年)
  1月   大阪維新の会が都構想の区割り案の絞り込みを提案するが、
      法定協議会で他会派が反対し事実上否決
  2月   橋下氏が大阪市長辞職と出直し市長選出馬を表明
  3月   橋下徹氏、大阪市長2選
 12月   都構想の住民投票の実施について大阪維新と公明大阪が合意

2015年(H27年)
   5月   都構想の制度案が住民投票で否決される
  11月   都構想の再挑戦を掲げたダブル選で、吉村洋文氏が大阪市長に
      初当選 松井一郎氏は大阪府知事再選
  12月   橋下氏が市長を退任し、政界引退

2017年(H29年)
  4月   2回目住民投票実施に関する維新公明合意書
  7月   松井知事が2018年9月住民投票実施を表明
  9月   大阪府市で法定協を再設置
      堺市長選「堺のことは堺で決める」現職竹山修身氏が3戦勝利
      維新候補連敗 政令市堺市は都構想不参加
  12月   橋下徹氏と松井知事が安倍首相と会談3時間
          ※維新の実態は安倍党関西支店


2018年(H30年)
  5月   松井知事が2018年秋の住民投票を断念
  7月   IRカジノ法 国会で成立
  9月   松井知事が2019年4月統一選と同日の住民投票実施を断念
      大阪府咲洲庁舎(旧名WTC 高さ256m) 台風21号の強風で長時
      間の揺れ 庁舎内エレベーター31台のうち21台が自動停止
 11月   大阪万博開催決定
 12月   松井知事が2回目住民投票実施に関する維公合意書を公開
      松井知事が2019年7月参院選と同日の住民投票実施を目指すと
      表明
       橋下徹氏と松井知事が菅官房長官と会談3時間
          ※維新の実態は安倍党関西支店


 ■橋下徹氏は大阪の風雲児

橋下徹氏の動向を上にまとめてみました。テレビ人気の弁護士から大阪府知事に躍り出て、あっというまに大阪の風雲児になりました。しかし彼の登場から10年が過ぎました。彼には大衆をわしづかみにする魅力的な話術や才能、突進力があります。けれども大衆を導く政治家として短所の多い人でもあります。落ち着いて橋下氏の手法や行跡、そして実績の評価をしてもいい年月が過ぎています。

大阪維新という地域政党を立ち上げ、引き続いて日本維新という全国政党も立ち上げて政界再編の一隅を担い、自民党次期総裁をうかがう安倍晋三氏の担ぎ出しを図り、都構想なる自治体大改革を打ち上げ、大阪湾岸エリアの経済開発狙いで万博とカジノ誘致を図る……彼は大阪の風雲児です。人気はかなりかげりましたが、まだ目が離せません。彼が思う然るべき状況が訪れるならば勇躍政界に戻るでしょうし、大阪には彼を待つ大衆も多いと思われます。橋下徹氏は依然として、大阪・日本維新の会の方向性を操る実力者です。

 ■橋下氏+維新と安倍首相の親交関係

 2012年(平成24年)9月の自民党総裁選挙を目前に控えた4月と6月に計3回、橋下徹氏は安倍晋三氏と会談し、橋下氏の企図する新党への参加を要請したと見られています。安倍氏は総理大臣経験者ですから、橋下氏は安倍氏を新党代表に懇請したのでしょう。これを機会に両人の親交関係がつづきます。

2012年(平成24年) 9月 ・安倍晋三氏、自民党総裁に就任
         12月 ・自民党 年末衆院選で圧勝、政権に返り咲き
            ・安倍晋三氏、総理大臣に返り咲き 第2次安倍
             内閣組閣

安倍氏との夏前の3回の会談から夏が終わると、安倍氏は自民党総裁になり、その年末には内閣総理大臣にまで成りました。新党代表への橋下氏の願いはかなわなかったものの、橋下氏にとってこのうえない幸運でした。これ以後、安倍首相は橋下徹氏と盟友・松井大阪府知事の庇護者になります。

とはいっても、橋下氏+維新も安倍首相の庇護に頼ってばかりいるわけではありません。安倍首相の悲願である憲法改正に協力することを隠しません。連立政権に参加して安倍さんを安心させますよ、という秋波もたっぷり見えます。

さらに安倍首相の個人的な好みにも以心伝心で応えています。それが森友学園(幼稚園経営)の小学校参入のための大阪府における規制緩和措置です。森友学園の籠池泰典氏の話によれば、橋下氏が籠池泰典理事長(当時)の陳情を受けて、後継知事に当選した松井一郎大阪府知事が規制緩和を実行しました。

この規制緩和措置によって森友学園に門戸が開かれ、森友問題が起こり、財務省の公文書偽造や理財局長の虚偽答弁がつづきました。こんな不条理なことが重ね重ねまかり通っているのだから、安倍政権下の国家経営は腐っている。

 ■安倍首相へのおねだり成果

 橋下氏+維新は安倍政権を閣外から支え、憲法改正に協力する代わりに、いくつものおねだりを安倍首相にしています。大阪都構想の件で大阪維新と対立する自民党大阪を安倍首相は冷遇してきましたが橋下氏+維新のおねだりには実に寛大です橋下徹氏と松井一郎現大阪府知事と吉村洋文現大阪市長の維新トリオの政治的成果である下の2つはいずれも安倍首相の肩入れがなければ実現が難しかったでしょう

 ① カジノIR誘致の裏打ちをする「特定複合観光施設区域の整備の推進に
   関する法律(平成28年12月26日法律第115号」
 ② 万博誘致


 ■縮小大阪都構想は今や政令指定都市大阪市を分解して大阪府直轄
 統治にするだけのこと 2015(H27).5.17.大阪市住民投票「反対
 多数」で終わっている


都構想の準拠法「大都市地域における特別区の設置に関する法律(平成24年法律第80号)」下で「大阪都」という用語は使えません。あくまで大阪府〇〇区(特別区)という用語になります。「都」ということばは、首都東京を表すことばとして他の道府県に使わせないという国の意思です。正確には、「都構想」でなく「府構想」なんです。

中央集権をより強化したい志向性の安倍首相が、広域分権タイプと思われる都構想をなぜ安易に支持したのか? それは、大阪都構想が計画当初の広域計画から政令指定都市大阪市を特別区に分解することだけに限定縮小されているからです。大阪市は数個の特別区に分解されて大阪府の直轄統治になります。

 都構想には大阪市と堺市の二つの政令指定都市の参加が必要と考えて、大阪維新は堺市長選に維新候補を立てましたが、この「都構想市長選挙」で2連敗しています。都構想に参加する大阪府下の市は一つもありません。「大阪都」という名称を使うことはできないうえに、大阪市以外で都構想に参加する府内の市はゼロです。2015(H27).5.17.大阪市住民投票は実施済みで結果は、都構想反対多数大阪市は住民投票で反対多数堺市は「争点・都構想」市長選挙で維新2連敗都構想は終わっている話なのです

都構想が当初計画より矮小化していることを、橋下・松井大阪府知事はよくわかって進めているはず。大阪維新が進める都構想は今や、維新という政党を活性化させる道具に成り下がっています。

 ■「IR」とはみんながカジノと知っているカジノ隠しリゾート

の法律。法律名からはカジノを連想できません。誘致関係者や役所も「カジノ」ということばを使わないように努力しています。関係者が使うことばは「IR」=Integrated Resort=「統合された行楽地」。

「リゾート」ですぐに思い浮かべるのは、大きいホテルがいくつもあり、清潔で美しい街並みと自然の緑や湖・海がある情景です。でも、実際は埋立地利用。話題になるのはいつもカジノ。大手カジノ企業が松井大阪府知事を表敬訪問するニュースばかりです。

の法律ができた本当の姿を表現するならばIR Integrated ResortでなくてCAR For Casino & Accompanying Resort カジノとそれに付帯する行楽地、ということでしょう。

カジノがメイン。維新の橋下・松井コンビの欠点は、儲かるならなんでもいいという考え方に徹しているところです。企業家が儲かるならなんでもいい経済路線は、小泉純一郎元首相から安倍首相に受け継がれて日本社会に定着しています

 ■万博関連公共投資でカジノインフラ整備

②の万博誘致には、隠れた役割があります。万博開催地はごみ埋立地「夢洲ゆめしま」。カジノリゾート建設地も同じ「夢洲」。こういう所は経年に応じて確実に地盤沈下します。海に囲まれた所が常に沈下していく地盤。人が安心して遊び楽しむ場所にするために、出島「夢洲」全域の現状を検討したうえで、地盤強化工事と盛土工事、護岸の新設・強化・かさ上げ工事を追加しなければいけません。追加工事は大したものになります。

 出島である「夢洲」と大阪市市街地や神戸市をつなぐ道路網や架橋、電車・バスなどの交通インフラ整備にも巨額の費用が必要になります。隣り合わせにある出島「咲洲さきしま」には既にいろいろな施設があるので、夢洲とつなぐインフラも必要になります。これらインフラ整備が万博関連名目で予算計上されます短期間の万博終了後に大阪府が誘致するカジノ企業のためにインフラ工事をしてやっていることになります。

万博は大阪オリンピック誘致失敗の代替品です。お祭りを呼びこんでお祭り気分の世の中作り。政治や行政や社会への疑問や不満やそれらの本質から目を逸らさせて、万博で楽しくいきましょう。できれば万博に踊って明るい希望も持ってください…。前回万博は高度経済成長のさなかに開催されました。今は時代が違います。短期開催の万博を楽しむことはできても、終われば幻人々の行く末の基盤整備につながるわけではありません。

2013年9月7日、アルゼンチン・ブエノスアイレス
 
IOC総会の安倍首相招致プレゼンテーションに於いて、 安倍首相は、東京に福島原発事故の悪影響が及ばないことを、世界に向けて保証しました。しかし今も、原発メルトダウンの恐ろしい燃料デブリに一指も触れることはできていません。震度4の地震がその後の東北で発生するたびに、「もうちょっと大きな地震が起きたら」と、核燃料プールの崩壊を恐れている日常なのです。

「東北復興」「復興オリンピック」ということばは、安倍首相招致プレゼンテーションの中で一度も出てきません。仙台でもなく福島でもなく、東京で行われる「復興オリンピック」とは、2011.3.11.の大津波や原発メルトダウンの記憶を過去のものとして早く忘れてしまいたい国内世論に向けて送られていることばです。

橋下・松井コンビは、こんな安倍首相と相性が良いのです。


 ■橋下徹氏の独善的性向とそれを受け継ぐ大阪維新

あと、大阪府庁移転名目のWTC購入については、橋下氏の性格の根にある欠点が表れています。

彼は一度提案したものは、内容に欠陥のあることが提案後に指摘されても、提案の取り下げや修正を考慮しません。ディベートのように、橋下徹氏は自分が「勝つ」ことにこだわります。

 大阪から遠く離れた2011.3.11.東日本大震災に際して、大阪府庁舎の出先として使用中の咲洲さきしま庁舎のエレベーターが全部止まって機能停止したことを手始めに、さまざまな被害が出ました

 当時の橋下徹知事は、それでやっと大阪府庁の咲洲全面移転をあきらめました。災害時に大阪府庁が機能不全に陥るという観点からの府庁咲洲移転反対論に耳を傾けたからではありません。

 しかし咲洲WTCへの府庁移転のアイデアも、その本来の目的は大阪南港、北港の湾岸開発でした。超高層ビルWTCはすでに購入済みでしたから、湾岸開発の拠点にするという彼本来のアイデアは達成していたのです。

 大阪府と大阪市の水道事業については、橋下徹氏前任の太田知事と関大阪市長の間で、府市協同による府営水道800億円削減予算案ができていました。その計画を橋下徹新任知事が廃棄しました。橋下徹氏の水道事業に対するアイデアが「府市一元化→府市統合」であったから、水道事業体の府市並立を前提にした太田知事時代の成果であり実行可能な段階に入っていた「800億円削減案」を廃棄しました。

橋下徹氏は自分のアイデアと競合しそうなアイデアや、競合しそうなアイデアを持つ人を排除してかかる傾向性が見えます。これがまた、大阪維新の傾向性でもあります。


 
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