川本ちょっとメモ

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エストニアのカラス首相「ウクライナで見られるロシアの残虐行為は、かつてエストニアが経験したものだ」

2022-04-20 03:59:11 | Weblog


■エストニア

 国土の北と西はバルト海に面し(海岸線3794キロメートル)、東はロシア連邦(国境線294キロメートル)、南はラトビア共和国(国境線339キロメートル)に接する。

面積4万5227平方キロメートル(九州の1.23倍)、総人口は137万0052(2000センサス)、129万4455(2011センサス)。首都はタリン。

公用語はエストニア語。ソ連邦時代、ロシア語が第一公用語とされ、ロシアからの移住も促進されたため、ロシア語を日常語とする住民も多い。

多民族国家で民族別の人口構成は、エストニア人68.5%、ロシア人25.7%、その他5.8%(2005)。


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2022年4月、英国「エコノミスト」誌へのエストニア首相寄稿文の一部抄録をお伝えします。

         
            エストニアのカヤ・カラス首相


■ソ連、ロシアが犯してきた残虐行為 

私がこの原稿を書いているのは、ウクライナの首都キーウ近郊にあるイルピンやブチャの惨状を見て、世界が目を覚ました頃だ。ロシア軍によって殺害された市民や集団墓地の写真を私たちは目にする。

これらの写真は、ソビエト政権とその秘密警察であった内務人民委員部(NKVD)による殺戮をエストニアの人々に思い起こさせる。その国家によるテロリズムマシンは、まったく同じように市民を殺害したのだ。

占領地のウクライナ民間人をロシアに送還する前に尋問をする浄化キャンプや強制送還について耳にすると、私やすべてのエストニアの家族は、ソ連占領下の抑圧や収容所での辛い思い出に引き戻される。


民間人を狙うのはロシアの戦術だ。その証拠に、ウクライナでは兵士よりも市民のほうが多く殺傷されている。

特に市民の人口の4分の1が自宅からの避難を余儀なくされていること、ロシアがマリウポリのような都市で人道的な大惨事を引き起こしたのが偶然ではないことからもそう言える。

国際法によれば、民間人を標的にするのは戦争犯罪だ。ウクライナは戦場ではなく、犯罪現場なのだ。ルワンダやスレブレニツァ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)と同様だ。



■ロシアの支配は更なる悲劇を生む

プーチンの戦略的目標が変わっていないため、ウクライナの苦しみと惨状はまだまだ終わらない。犠牲を払って平和をもたらしても残虐行為がなくなるわけではない。

私は、これを自国エストニアの経験から述べている。

第二次世界大戦後、エストニアや他の多くの国々にとっての平和は、多大な人的犠牲を伴うソ連による占領の始まりを意味した。

大量殺戮、抑圧、大量の強制追放、その他の人道に対する罪が行われ、新たな苦しみがもたらされたのだ。



1991年のソ連崩壊からほどなくして、ロシアから警報はつづいていた。

1994年にプーチンはチェチェンで戦争を始め、終わったのは2009年だった。
2008年ジョージア(グルジア)、
2014年~ドンバス(ウクライナ領ドネツィク州、ルハーンシク州)、
2014年ウクライナ領クリミア併合などだ。


エストニアの経験から言えるのは、ウクライナを占領軍から解放してその領土を回復し、ロシアの侵略を阻止するよう、私たちは今集中的に支援しなくてはいけないということだ。

ウクライナは、正気を失った人間による一度きりの誤算の犠牲者ではない。私たちが目撃しているのは、人的犠牲があろうとも、力づくで近隣諸国を支配しようとするクレムリンによる長期にわたる計画的なキャンペーンだ。

ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が勇敢な戦いを率い、彼が極めて困難な選択をしていることに対し、私は賞賛しかない。


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