読む本が無くなって公民館で借りてきた。あまり期待してなかったけど、これがたいそう面白かった。
1935年から2016年まで、芥川賞の歴代受賞作を簡潔に解説、併せて偏差値を付けようという試み。もちろん小説はいろいろな読み方していいけれど、あくまでも著者の物差しで測った偏差値ということである。
芥川賞は直木賞と並んで日本で最も有名な文学賞、新人の書く短編に授けられる賞である。この時点で81年、今年で85年になる息の長い賞を通覧すると、私が思っていた以上に文学作品は時代の影響を受けているということ。
もう一つは審査委員の作家たちが、新しい書き手を見出し、よりよい文学がこの国に根付くよう、頑張ってきたのだなあと。
著者は東大で比較文学の学位を取り、大阪大学の助教授ののち文筆業へと転じ、芥川賞の候補にもなったとこの本に中にはある。
文章は簡潔明瞭、快刀乱麻。世上いいと言われる作家、作品にも痛快なほどの言い方でダメだしする。
芥川賞はいかにもうまいように書いて退屈なのがいいそうで。皮肉を込めての意見でしょうが言い当てている。笑った。
なんか、よく本を読んでいる人と楽しく文学を語り合った後のような心地よさ。文壇のゴシップも満載。美男美女とそうでない場合、書くものも違っていたり、という指摘も面白かった。
高評価は村田沙耶加、李良枝、高橋揆一郎の偏差値72、25つけられた作家も一人。大体が辛口である。
サヨクという言葉をタイトルに使って華々しくデビューした某男性作家、4人も愛人いたなんて、文章書けて顔がいいと持てるんですね。文章書けるということは相手に応じて、場面に応じて一番適切な口説き言葉が簡単に出てくるということですもんね。
昔の知り合い、「****は殴ってやろうかと思うくらい男前」と言っていた。ヲイヲイ、相手がいくら男前でも殴ったらいかんがな。
というようなことも思い出して、なかなかに楽しい本でした。でも文学に興味ない人にはそう楽しくないことでしょう。
本日は紀伊国屋まで歩いて「ベニシアと正」という本、見に行った。写真がきれいで見ごたえあったけど、1,800円の消費税と高いので斜め読みして帰宅。
本は高いし、いちいち買っていては家が狭くなるし、捨てるのも気が引けるしで、最近は借りたり、安い中古の本をアマゾンで。
若いころの本、まだ捨てきれずにいるけれど、本を置いた部屋で寝るととても息苦しい。ずらりと並んだ背表紙を見るとうっとうしいのです。
ということで、この本は久々に楽しく読めました。
ドンキのごみ袋。楽しい~