クリックで拡大
著者の名前を初めて知ったのは、リーマンショック後の不況で派遣切りに遭った人たちが、年末行き場をなくし、その救済策として、食料や寝る場所を提供する運動で。
確か2007年前後だったと思う。
年越し村と言う名前だったと記憶しているけれど、その運動の中心だった1人。
東大の院を中退した後は、山谷で便利屋を始めたり、貧困者の支援運動にずっとかかわってきた人。
年越し村の後、岩波新書で「半貧困」を著し、それは大佛次郎論壇賞に輝いて、その後民主党政権で内閣参与になり、政権の内側から政策に対して提言することもされていたと思う。
私はこのころ、広島であった著者の講演会に行ったことがある。大変にわかりやすく、かつ説得力のあるお話だった。
貧困と言うのなかなか目に見えてこないけれど、今日の食べ物にも困る、寝るところもない人は層として確かに存在している。自分とは関係ないと無関心、放置していれば、やがて普通の暮らしをしている人の労働力も買いたたかれ、貧困へと向かう。
人との縁が薄い人が、一度社会から滑り落ち始めると、元へ戻るのは容易ではない。それを自分の問題として、社会全体で考え、支えなければならない・・・というお話だったかと思う。
この本は当時、新聞や雑誌などに寄せた短文を集めたもので、内容的には「半貧困」と重なる部分もあるけれど、生活保護の申請の場面での自治体との攻防、行き場のない非正規労働者の困窮など、現場で支援してきた著者の話は具体的。
本当に困った人は助けを求める気力さえなくしているんだなと、思った。当時、生活保護が認められず、おにぎり食べたいと遺書残して餓死した人の話が話題になったこともある。
野宿生活者を集めてアパートに住まわせ、生活保護を申請させ、殆どを取り上げる貧困ビジネスのからくりもこの本には詳しい。
翻って10年以上経った現代の話である。貧困はなくならず、むしろ拡大しているはず。飲食業、物販、製造業の非正規労働者など、一番支援の必要な人に支援が届いていないのではないか。と思う。
オリンピックなんて本当にどうでもいい。Go Toも、私は旅行行きまくったので、えらそげに言えないけど、本当に支援の必要なのは旅行に行けない人。一番底辺にいる人になぜ支援が届かないのだろうかと思う。
誰か政治家の方、本気でやってください。
とりあえず、私はこども食堂にまた寄附したいと思っています。