里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

屋根はただ乗っているだけの土蔵

2021年03月14日 | いえ

しばらくぶりで「いえ」に関わることを記録します。蔵について。
この蔵がいつ頃建てられたのか正確には分りません。
確かめる機会を逸しました。
我が家はざっと築130年の家としていますが、それは祖母が生まれた明治25年にはすでに建てられていたからというのが根拠です。これは祖母生前に直接確かめたことです。
残念ながら、蔵については確かめていません。
父にも聞かないでしまいましたが、100年は経過しているだろうと推測しています。私が物心ついた頃にはすでにかなり年季が入っていましたから。
外見から分るとおり、建築時のままではありません。複数回リホームしています。
しかし、本体には手を掛けていません。
そもそもこの蔵は土蔵です。
外からは見えませんが、全体が厚い土壁で覆われています。
下の方の石積みは、40数年前に土壁下方の表面が傷んできたため岩石で包んだもの。
屋根はというと、ただ乗っているだけ。正確には乗っていただけの蔵でした。


平成6年春の暴風で屋根がそっくり吹き飛ばされたのです。
気がついた時には屋根だけがひっくり返っていました。
それで、屋根は単に乗っていただけということが分りました。
父はすでにそのことは知っていました。聞くと、昔の蔵ではごく普通で、特に珍しいことではないようです。
屋根はその時新しくなり、ほぼ元の形に復元されました。
今度はボルトで蔵本体と屋根がしっかり繋がりました。


屋根の下には結構な隙間があります。その屋根下も厚い土壁に覆われています。全体が厚い土壁になっているのです。


この時に、周りの土壁はサイディングで覆いました。
下屋も新たにこの時に付けられました。
一見分かりませんが、あくまでこの蔵は土蔵なのです。
入り口の扉は全く変わっていません。鉄扉です。


扉が3重になっています。これは盗難防止もありますが、土壁の厚さに合わせ気温変化を抑えるためと思われます。


この蔵には元々は電灯がありません。電気が通じる前の時代に作られたのではないかと思われます。
それで明り取りが設けられています。

もちろん今は電気が入っていますが、痕跡はそのままです。
厚い土壁が、ここで確認できます。


1階です。


中は手を加えていません。


この側板の外側が厚い土壁になっています。


2階に上る階段。


2階です。


これは棟木と言うのでしょうか。


梁は自然に歪曲した木材が使われています。

赤松材と思われます。

決して良い材料ではありませんが、匠の技量がしのばれます。
立派な蔵ではありません。どこにもある農家の土蔵です。
今では、このような蔵はあまり見られなくなりました。
しかし、未だ歪みや細かい隙間がほとんど見当たりません。
夏も気温が上がらないので、今でも貯蔵庫の役割を十分果たしています。



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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
重厚感あり。 (bluesky)
2021-03-18 20:50:29
蔵の中は、重厚感ありですね。
年輪を感じますね。
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