南洋諸島、中国、台湾と引き揚げ者が
どっと浦頭埠頭(うらかしら)へ
押し寄せたのですから、
南風崎駅(はえのさき)から出発する
引き揚げ者用の専用列車の手配も
大変だったでしょう
専用列車は超満員ではなく
皆、座れたように覚えています。
国鉄の正常ダイヤに臨時の
引き揚げ列車が組み込まれたので
途中の駅で待避線で、待機したりしました
やがて、引き揚げ列車は
九州と本州の間の関門海峡をくぐる
関門トンネルを通るのです
私には初めてです。
… … …
関門トンネルは普通のトンネルで
関門海峡の水底トンネルの実感も
なく列車はいつの間にか
本州を走っています
車窓から見える日本は
小さな駅を通過すると
すぐ、鉄橋にさしかかり、
トンネルに入り、田圃を通り過ぎて
めまぐるしく、景色が変わります
まるで、模型機関車のジオラマを
走っているように感じました
… … …
列車が一時間、走り続けても
延々と 高梁(こうりゃん)畑が続く
満州から帰ってきたのですから…