満州から引き揚げる日本人を
乗せた貨物列車は、大平原の
なかを、奉天(ほうてん)に向かって
走り続けました…
… … …
人間を貨物列車で運ぶとは
なんということでしょう
新京から奉天までどの位の
時間で走ったのか、もうすっかり
忘れてしまいました。
… … …
食事の時間になると列車は
どこででも停車します。
日本人の中で世話役の人が
どこかで食事の用意をして、
皆に配ってくれました
… … …
おかずは、脂っこい炒め物
でした。日本へ帰るのには
体力が必要だからと、云っていました。
食事が済むと、日本人の大勢乗った
貨物列車は出発します
そうして目的地の奉天駅へ到着しました
… … …
奉天が分岐点になっていて、朝鮮半島を
通って日本へ帰るかまた、そのまま走って
葫蘆島(ころとう)から、船で日本へ帰るか
二通りのルートがありました。
大人達が、どうするか相談して
いましたが、なかなか結論がでません。
貨物列車は奉天からなかなか、
出発できませんでした…