経営コンサルタントへの道

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■■【経営コンサルタントのお勧め図書】508 知っていたいIFRSの基礎

2020-08-20 16:33:50 | 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】508 知っていたいIFRSの基礎

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍をご紹介します。

■ 今日のおすすめ

 

 『IFRS国際会計基準の基礎(第4版)』(監修:平松 一夫 中央経済社)

■ IFRSを知らないでは済まない時代に入った(はじめに)

 

 今日の紹介本は20153月の発行です。IFRS関連の著書では最新版に属するでしょう。しかし、この紹介本が発行されてからも、IFRSの適用に向けた流れは、その速さを増しています。その流れを追ってみましょう。

 

IFRSの適用に向けた日本の流れ‐任意適用される「修正国際基準」の公表】

 

 2015630日に企業会計基準委員会(金融庁の諮問機関‐主に上場企業向けの会計基準を策定)は「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」の公表をしました。公表の内容をかみ砕いて表現すると次のようになります。『当委員会は20121231日現在で公表されている国際会計基準(IFRS=国際財務報告基準:13本、IAS=国際会計基準:28本、IFRICIFRS解釈指針:17本、SICSIC解釈指針:8本計66本〈Full〉+「財務報告に関する概念フレームワーク」)のうち、「企業結合(IFRS3号)」「金融商品:開示(IFRS7号)」「金融商品(IFRS9号‐2010年)」「財務諸表の表示(IAS1号)」「従業員給付(IAS19号)」「関連会社及び共同支配会社に対する投資(IAS28号)」の5本については一部「削除又は修正」を加える(国際会計基準の「エンドースメント(修正適用)」と言う)。それ以外については、日本の会計基準として採用する。但し「財務報告に関する概念フレームワーク」についてはエンドースメントの対象から外す』。これに基づき、修正国際基準として、上記5本についての「削除又は修正」がなされた『企業会計基準委員会による基準:基準1号(「のれんの会計処理」)と基準2号(「その他の包括利益の会計処理」)』が公表され、同時に、金融庁は2016331日以降に終了する会計年度に係る連結財務諸表等に適用すべく、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」等についての改正案を公表し、コメント終了を経て、平成278月以降の早い時期に「同規則」を改正するとしています。

 

【日本における国際会計基準の任意適用会社の増加】

 

 2010331日以降に開始する事業年度から、必要性と対応力があると認められた企業が、「指定国際会計基準(アドプション=全面適用=と言う)」に準拠する連結財務諸表を作成し提出されることが認められました。

 

 任意適用上場企業は、201212月末現在では3社であったが、20153月末では73社に増加し時価総額の25%を占めるまで拡大した。「修正国際基準(エンドースメント)」による提出が認められると、任意適用基準が2つになり、任適用企業が300社、時価総額の50%を占めるまで拡大すると見込まれています。(2015628日日経新聞朝刊)

 

【国際会計基準のコンバージョンス=IFRSと日本基準の統合】

 

 IFRSに関し、意外と見過ごされている事があります。それは、企業会計基準委員会(ASBJ)と国際会計基準審議会(IASB)が、20078月「会計基準のコンバージェンスの加速化に向けた取り組みへの合意」(いわゆる「東京合意」)に基づき、コンバージェンス(統合)項目を決め、既に、全ての上場企業の連結財務諸表等への適用を図っている事です。

 

 その主なものは、「連結包括利益の表示(2013913日企業会計基準‐以下単に基準と表示‐第25号)」、「退職給付会計(2012517日基準第26号)」「固定資産の減損会計(2009327日基準運用指針第6号)」「新株予約権とストックオプション会計(2013913日基準第8号)」「企業結合会計(2013913日基準第21号)」「リース会計(2007330日基準第13号)」「四半期財務諸表(2014516日基準第12号)」「関連当事者の開示(20101226日基準第11号)」「賃貸等不動産の時価開示(2011325日基準第20号)」「資産除去債務会計(2010331日基準第18号)」です。(日付は最新改正日。)

 

IFRS適用に関する世界の流れ】

 

 アジア各国の状況は、2007年中国がIFRSをベースとする新中国会計基準を導入したことをきっかけに、2011年に韓国とタイが、2012年にマレーシアとインドネシアが、2013年には台湾が、IFRSまたはIFRSをベースとする自国会計基準を導入しました。

 

シンガポールは「『会計のハブ』国家戦略」のもと、2018年よりIFRSを導入の予定です。インドは2016年よりIFRSとコンバージェンスした自国会計基準を段階的に強制適用するロードマップを公表しています。

 

 アジア以外では、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、ブラジル、南アフリカ等が導入しています。EU諸国は当然導入しています。米国は、外国企業にはIFRS適用を認めていますが、国内企業には、IFRSに懸念事項があるとの表明をし、未だ強制適用には至っていません。

 

 2009年、2010年、2011年のG20の首脳サミットで「国際会計基準の各国会計基準へのコンバージョン(統合)を進めること」を決議しており、IFRSを会計基準の世界標準とする流れは変わりません。

 

【中小企業への対応】

 

 20097月に、国際会計基準審議会(IASB)は、「中小企業のための国際会計基準(IFRS for SMEsSmall and Medium-sized Entities)」を発表した。海外展開をしている中小企業の場合は、海外展開に伴う資金調達や諸取引(事業取引、企業提携、 MA等)にIFRSを適用した財務諸表等を求められるケースが予想されます。上場企業に適用されるIFRSに比し、簡易化(概念フレームワーク+35)されつつも、基本はIFRS(概念フレームワーク+66本〈Full〉)に添っている、「IFRS for SMEs」の存在を意識して置きたいです。

 

 

■ IFRSの適用のメリット

 

【海外売上高の多い企業にメリット】

 

 最近の上場企業の連結ベースでの海外売上高比率を見るとびっくりします。連結海外売上高比率が50%を超える企業は、全上場日本会社(3500社強)の39.2%です。輸出は横這いでも、海外売上高比率は年々上がっています。M&A等により海外事業所・子会社が増えているからです。このような企業にとっては、グループの決算日を同一にし、同一の会計基準で経営をすることは、メリットと言うよりは必須の課題ではないでしょうか。会計を通じたマネジメント・アプローチの共通化、内部統制に伴う業務プロセス管理の共通化は必須ではないでしょうか。

 

 2015415日に発表された、金融庁の「IFRS適用レポート」は、IFRS適用75社のうちの40社、20152月末までに適用予定を取引所に公表した29社合計69社のヒアリング調査の結果を纏めています。80ページ弱のレポートですが、メリットだけではなく、準備に必要な時間や費用も分かり参考になります。本レポートは、安部内閣の「『日本再興戦略』改定2014IFRSの任意適用拡大促進が掲げられている)」の閣議決定の一環として作成されたものです。

 

 

■ IFRSに関心を持とう(むすび)

 

 私の私見ですが、IFRSは世界標準会計基準としては、発展途上にあります。IFRS適用・適用予定各国の会計基準設定主体とIASB(国際会計基準審議会=在ロンドン)との間で議論が重ねられ、各国が同意適用できる基準へとシナジーしていくのではないでしょうか。

 

 また、連結、単体とIFRSの距離感の問題もあります。税法や自国会社法等各国の特殊性を配慮せざるを得ない単体と、国際的統一基準を目指す連結では、そう簡単に溝が埋まりません。EUのドイツやフランスでも単体は各国基準です。一方単体に日本基準を適用している日本では、IFRSの連結へのコンバージョンスにより、単体への影響(純資産の部の表示など)を見逃すことはできません。

 

 更には中小企業も、IFRSと無関係ではいられません。海外展開している中小企業では、現地での資金調達や事業提携・買収などでIFRSと係りを持つケースもあるでしょう。国内事業のみの中小企業であっても取引相手がIFRSの任意適用企業であれば、IFRS基準(売上計上など)での契約を求められることもあるでしょう。

 

 この様な点から、企業経営に関係する皆様にとっては、IFASに関心を持っておく必要が有ると思うのです。

 

 IFRSを完全に理解するのは簡単ではありませんが、基礎的なことを頭に入れておこうと思われる方は、今日の紹介本を開いて下さい。具体的な開示例や日本基準とIFRSとの比較表等で分かりやすくIFRSについて説明がされています。

 

【酒井 闊プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

 

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

 

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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■【経営士ブログ】2-4 日本経営士協会 入会・資格取得の手順

2020-08-20 10:03:02 | 【専門業】 経営コンサルタント成功法

【経営士ブログ】2-4 日本経営士協会 入会・資格取得の手順

 


日本経営士協会紹介

 


 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。
 プロのコンサルタント集団であるとともに、プロのコンサルタントを育成する団体でもあります。
 経営やコンサルティングに関する情報はもちろんのこと、その他のジャンルについてもお届けします。
 経営やコンサルティングの参考にされたり、話材の一つとしてお使いくださったりしてくださると幸いです。

 

入会・資格取得の手順

 

 経営士・経営士補の資格取得をするには、当協会の会員になることが前提となっています。

 当協会には、主として資格会員・一般会員・研究会会員の3種類があり、 資格会員はさらに「経営士」と 「経営士補」とに分類されます。

 当協会に入会する方法としては、入会から資格取得までの流れを把握した上で、下記の5種類からお選び戴けます。

    入会から資格取得までの流れ
  【お薦め】 入会申込による入会(一般的な入会申込)
  【事前準備派】 資格取得講座受講による入会
  【実力派向き】 学科試験受験による入会
  【ベテラン向き】 推薦制度による入会
  【学生向き】 研究会員としての入会


 入会するためには、まず「会員種・資格種」を決める必要があります。

  >> 会員種・資格種

 会員種・資格種が決まりましたら、上述のどの方法が良いのかを判断して、手続きに進んで下さい。

 

■ 入会から資格取得までの流れ


 経営士資格を取得するには、日本経営士協会に入会した後に、資格取得をしていただくことになります。

    会員区分の決定   

  会員種は資格会員、一般会員、研究会員に分類されます。資格会員は、さらに経営士補および経営士に分類されます。

   >> 会員区分

 

    申込書の入手   

  当協会のWebサイトからのダウンロードする等して入会申込書を入手し、必要書類を整えて申込手続きをを行います。

   >> Webサイトからダウンロード

         入会申込書(pdf)

        入会申込書(Excel)

【 注 】
 資格会員(経営士・士補)として入会される場合も、同じ手続をして下さい。審査過程で、一般会員と資格審査の方法が異なってきます。

    入会審査   

  書類審査ならびに面談で入会審査を行います。この審査では、入会希望される方が、 当協会の会員として相応しいかをどうかを審査します。

    入会通知   

  入会審査に合格したら郵送にて、入会通知が発送されます。研究会員・一般会員として入会される方については、 手順書に基づき入会手続きを進めてください。

    資格審査通知   

 資格会員(経営士補・経営士)として相応しいと判断された方については、資格審査通知が発送され、 資格審査を受けて頂きます。

    会費・諸費用納入手続き   

 入会・資格審査が全て終了した時点で、各審査に合格した方は会費・諸費用の納付手続きを行って頂きます。

 

    会員証・徽章・資格認定書の送付   

 会費・諸費用の納付が完了しますと、会員証・徽章・資格認定書の送付が行われます。
  入会審査に合格したら郵送にて、入会通知が発送されます。研究会員・一般会員として入会される方については、 手順書に基づき入会手続きを進めてください。

 

 

 



 経営者・管理職の皆様 コンサルタントの先生方
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◆【話材】 昨日08/19のつぶやきの目次とリンク 俳句は難しく奥が深い

2020-08-20 07:15:18 | ブログでつぶやき

◆【話材】 昨日08/19のつぶやきの目次とリンク 俳句は難しく奥が深い

 

 

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  ■【今日は何の日】 8月20日 ■ 鎌倉宮例大祭(鎌倉宮) 19日は前夜祭 ■ 蚊の日 マラリアの病原体を運ぶ

  https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/7a69058cada7464cb1c284c0f7d631b2

 

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