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ガン細胞、体内時計乱し肝臓に負担

2017-04-21 10:40:42 | 健康・医療
国際電気通信技術研究所の研究グループが、ガン細胞が24時間周期の体のリズムを乱し、肝臓に負担を与えているということを発表しました。

ガン細胞が正常臓器に与える影響は、大部分が謎に包まれていました。例えばガンの影響により肝臓が肥大することが知られていますが、その仕組みはよく分かっていませんでした。

研究グループは悪性の乳ガン細胞である4T1を移植したモデルを使って実験を行いました。このモデルの利点は、ガンによる正常臓器への影響を継時的に解析できるようです。乳ガンを移植後、転移や明らかな異常が起きる前の段階で、肝臓、肺、腎臓、心臓といった腫瘍臓器における遺伝子発現パターンを網羅的に記録しました。

その結果、肝臓においてNr1d1という遺伝子の発現に異常が見つかったようです。地球上のほぼすべての生物には、約24時間つまり明暗周期に対応したリズムがあり、これを概日リズムと呼びます。

遺伝子によってDNAから写し取られるRNAやタンパク質そのものに約24時間の周期が存在するものがあり、マウスの肝臓では約1000の遺伝子の発現パターンに概日リズムがあることが分かっています。

Nr1d1は様々な概日リズムを生み出す遺伝子として有名なもののようです。そこで研究グループは「乳ガン細胞が肝臓の概日リズム遺伝子の発現パターをかく乱する」という仮説を立て、網羅的遺伝子解析等を行いました。

その結果、ある遺伝子はマウスが明所条件に置かれてから23.9時間後に発現ピークを迎えるものが、2.7時間後と大幅に狂っていました。このように調和がとれていない状態は、肝臓にある種の不均衡をもたらすものと考え、発現が乱されている遺伝子の生理学的反応に着目し実験を重ねました。

その結果、ガン細胞が肝臓に酸化ストレスの上昇をもたらすこと、肝臓のDNA含有量を増加させ、細胞のサイズを大きくさせること、そして肝臓を肥大させることが分かりました。

最近のこういった病態研究は、ほとんどが遺伝子解析によって行われていますが、具体的にどのような操作により遺伝子発現などという微妙なことが突き止めることができるかはわかりません。どうもこの辺りは私程度の知識では理解の範囲外になっているようです。

研究グループは、ガン細胞は正常な臓器に悪影響を与えるが、その仕組みの一端が分かり抑えることができれば、生活の質を落とさずに患者が延命できるとしています。こういったメカニズムが分かれば、それに対処する方法も出る可能性もあり、ガンとの共存の可能性が出てくるような気もします。