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お餅による消化管の閉塞やせん孔に注意

2019-01-04 10:29:15 | その他
お正月というと餅がつきものですが、高齢者がのどに詰まらせるといった事故が毎年発生しています。しかし餅を腸に詰まらせる中高年も少なくないようで注意が必要とされています。

お餅を丸呑みにして喉は無事通過したものの、小腸などで餅がつまったり、その影響で腸管に穴が開いたりするなどの消化器障害を起こすことは珍しいことでは無いようです。

2013年の日本消化器学会誌に発表された「餅により消化管障害をきたした8症例の検討」では、63歳の男性の例が報告されています。

雑煮の餅を丸呑みし、翌朝からお腹が膨らむと共に吐き気・嘔吐に苦しみ、発症から2日後に入院しました。病院では腹部CTで小腸を閉塞している餅を確認しました。餅による小腸イレウスと診断し、絶飲食、補液などによる治療を開始したところ、腹痛は改善し翌日には餅は直腸内に移動し、その日のうちに排泄されました。

論文では餅による消化管障害は50~60代が多く、2対1で男性に多いと報告されています。餅を食べてから症状が現れるまで数時間から1日が多く、遅くとも4日以内に表れています。

手術で消化管から摘出した餅の中には、3か月以上消化されずに腸管内に硬くなって残っていて、せん孔を起こした症例も報告されています。

胃の出口で十二指腸につながる幽門部を通過できるのは、通常2センチ以下と言われています。小腸で問題を起こした餅はいずれも2センチ以上だったようです。おそらく温度が高く形を変えやすい状態の餅なら通過でき、小腸では餅の温度が下がり腸管壁にくっつき硬くなったため小腸イレウスが発症したと考えられるようです。

もち米は普段食べているうるち米と違って、デンプンの成分がアミロペクチンだけでできています。アミロペクチンは枝分かれがたくさんあり、伸ばしても形が変わるだけで切れにくい性質です。

このアミロペクチンは温度が下がると硬くなります。ですから餅を食べるときは水分を積極的にとるといいようです。心配な人はつきたての餅を避けるのも一つの手のようです。餅つきによって難消化性デンプンが増えるといわれています。これは小腸まで消化されないデンプンです。

最近は餅の付着性を抑えた市販の餅も開発されていますので、気になる人は市販の餅を利用するのもいいかもしれません。ちなみに餅を食べてお腹が張る、調子が悪いというときはしばらく飲食を抑え、腸の蠕動により餅がより腸管の太い大腸におりてくるのを待つといいようです。

やはり正月というと雑煮の餅や海苔巻きの餅を食べたくなりますが、若干は危険のある食べ物という認識も必要なのかもしれません。

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