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iPS細胞からの心筋シート治験、3年で8例の移植完了

2023-06-01 10:37:17 | 健康・医療
iPS細胞が発見され応用研究が始まってから10年以上が経過していますが、この再生医療は遅々として進んでいないような気がします。

最近大阪大学が心不全の患者に、iPS細胞からつくった心筋シートを移植する臨床試験で、予定していた8人の患者への移植が完了したという報道がなされました。

東京女子医大病院で3月8人目の患者に移植し、半年後までの安全性や有効性のデータをまとめ、厚生労働省へ承認申請を目指すとしています。このiPS細胞から心筋シートを作るという技術は何年も前から成功の報告がされています。

この臨床試験までに長年かかってしまうというのはやはりコストの問題なのでしょうか。すでに実施された網膜細胞の移植には1億円近いコストがかかったとされています。

私はiPS細胞の実際についてはよく分かりませんが、すでに民間企業で数百万円でiPS細胞を作るという事業が始まっているとの話も聞きます。こんな需要があるのか分かりませんが、iPS細胞の作製技術が進歩しある程度広まっているのは確かなようです。

細胞を採取し1個ずつに4種の遺伝子を組み込み、iPS細胞にするためには100個行って5,6個がうまくいく(成功率数%)とされていますので、これだけでもかなりコストがかかりそうです。

さらに出来上がったiPS細胞を目的とする細胞に分化させ(今回は心筋細胞です)、機能させるように培養するというのはやはり大きなコストが掛かりそうな気もします。やはり患者の心臓に移植するまでに数千万円かかってもやむを得ないのかもしれません。

しかしひとつの治療にこれだけの多額の費用が掛かる治療法が広く応用されるようになるのでしょうか。今回の臨床試験では、医師主導で2020年に始まったとされています。心臓の血管が詰まり心筋が働かない「虚血性心疾患」の患者が対象で、術後3か月は免疫抑制剤を飲んで拒絶反応を抑えます。

iPS細胞から心筋細胞をシート状にしたものを作成し、手術で患者の心臓に3枚ずつ貼り付けます。シートから出る物質が心臓の血管の再生を促し、心機能が回復することが期待されています。

大阪大学病院で3例目までを実施し、遠隔地に運べる体制も整え順天堂大学や九州大学でも移植しています。今回は東京女子医大で60代女性に移植されました。

女性は数年前に心筋梗塞を発症してカテーテル治療を受け、心不全の治療薬やペースメーカーなどでも治療したが、心機能は低下した状態が続いていたようです。シートの移植後4月に退院し、現在まで安全性の問題はみられていないようです。

このようにわずか8例の臨床試験に3年もかかっているという事は、やはりiPS細胞の実際が非常に難しいことを示しているような気がします。

ここでは費用の問題は触れていませんが、当然多額の費用が掛かっていることは予想されますので、はたして承認されるか微妙な気がしています。 


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