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鳥や虫はカラフルなのになぜ哺乳類は地味なのか

2021-07-22 10:25:02 | 自然
家には猫がいますが、白黒茶の3色しかなくある意味非常に地味な色合いをしています。

今私の膝には猫が寝ていますが、これもキジトラという茶褐色に黒の縞という目立たない色です。一般的に鮮やか色彩を持つ鳥や蝶などと比べて哺乳類は全般的に地味な色となっています。

これには進化の過程での保護色と色覚が大きな意味を持っているようです。哺乳類が現れたころの地球は恐竜に支配されていました。恐竜たちは昼行性でしたので、今日の鳥類と同じように優れた色覚を備えており、おそらく派手な色合いだったのかもしれません。

恐竜の多くは捕食者で、当時はまだ小さくて弱かった哺乳類の命を脅かす存在でした。そこで哺乳類が選んだ道が、保護色化、夜行性化、そして地下にもぐることでした。

地下の暗い環境において優先されたのは嗅覚と聴覚で、暗闇であまり役に立たない色覚は次第に失われていったのです。現在地球上で暮らしている哺乳類のほとんどは、青と赤という二つの光受容体だけで色を知覚しているため、繊細な色合いを識別できないのです。

一方鳥類の色覚は、紫外・青・緑・赤の四つに対応する光受容体で構成されていて、色をとても細かく見分けることができるので、求愛したり敵を威嚇するのに色を使っています。このなかでヒトはいわば例外で、3色の色覚を持っています。

このように哺乳類が現れてから、恐竜の脅威がなくなるまで10億年という長い進化の過程で、暗い地下で暮らしたため哺乳類は地味な色合いになったとも考えられます。この進化で哺乳類が保有する色素の数にも制限をかけてしまったかもしれません。

鳥類、昆虫類、爬虫類などは皆多彩な色素でカラフルな体色を作り出していますが、哺乳類の毛髪や毛皮に含まれる色素はメラニンのみで、作り出せるのは黒、茶、赤褐色に限られています。

メラニン自体は複雑な工学ナノ構造体に取り込むことにより、鳥の羽や爬虫類のウロコなどにみられる玉虫色を作り出すことも可能なのですが、そういた例は哺乳類には見られません。

複雑で繊細な色覚と同じように、繊細な色を作りだすメカニズムも哺乳類が地下に潜ってから徐々に失われていったと考えられます。基本的に色はコミュニケーションの手段となっていますが、哺乳類は色覚に代わるコミュニケーションの方法を進化させてきたのです。

以上がなぜ哺乳類は地味な色合いになってしまったかの理由ですが、ヒトを除く哺乳類の多くが夜行性になったのも同じような理由のようです。

家の猫たちは地味な色合いで、夜行性が失われてしまったような気がしますが、適度なかかわりをもって癒されていますのでペットとしての役割を十分果たしています。


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