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医療を変える「ゲノム解析」の進歩

2023-05-20 10:31:23 | 健康・医療
最近歳を感じるようになり、先日テニス仲間とゲームを中心としたテニスをしましたが、2時間ですっかり疲れ果ててしまいました。

この年齢の概念で「エピジェネティクス的年齢」というものが出てきました。エピジェネティクスとは、DNAのスイッチのオンオフを切り替えて遺伝子の働きを調節する制御機構で、その状態を調べれば細胞や組織の老化の程度が分かるというものです。

同じ50代でもエピジェネティクス的年齢が若い人もいれば、老けている人もいるわけです。現在は病気の発症率や健康寿命などの統計も暦年齢別に集計されていますが、20年後にはエピジェネティクス的年齢で語られるようになるという意見もあります。

今後ウエアラブル端末や簡易な測定ツールが普及し、血圧や運動、食事など環境要因についての日常的なデータを取得しやすくなれば、それらをゲノム解析結果と組み合わせることで「自分はどんな病気になりやすいか」をより高精度で個別具体的に予測する技術が生まれそうです。

私が購入したスマートウオッチなどがそのツールになるのかもしれません。将来的にはあらかじめ自分の細胞からiPS細胞を作成保管しておき、万一の事故や病気で臓器や器官が失われた際の治療に使うといった未来がやってくるかもしれません。

さてゲノムとはその生物が保有する遺伝情報(遺伝子)の全体を指すもので、他に「生命の設計図」とも呼ばれます。遺伝情報はDNAに記録されており、この遺伝情報を解析することで、さまざまな情報を洗い出すことができます。

ヒトゲノムは2003年にすべての解読が完了しましたが、当時は一人当たり100億円もかかっていたゲノム解析コストも劇的に低下しました。現在では唾液から採取したDNAの解析が数万円でできるようになっています。

こうしたデータを大量に集めることが可能になれば、生命に共通する「法則性」を解き明かしさまざまな場面で生かせるようになるでしょう。

例えばゲノムのどの部分がどの病気に関与しているかという法則性が分かれば、その場所にある遺伝子をターゲットにした治療薬や予防薬の開発ができるかもしれません。遺伝性疾患の治療に「ゲノム編集」を活用する研究も進んでいます。

これはゲノムの中の狙った場所を意図的に変化させる技術で、遺伝子の機能を一部なくしたり、逆に新たな機能を加えたりできます。最近の事例では強度の貧血を引き起こす遺伝性血液疾患の患者にゲノム編集を用いた治療を行い、安定した結果が得られたとの報告があります。

この様なゲノム解析の進歩は、やや懸念すべきこともあると感じています。生まれた赤ちゃんのゲノム解析をすると、一生かかりやすい病気が分かるということはメリットだけではないような気がします。


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