ごっとさんのブログ

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新型コロナの治療薬は

2020-03-19 10:22:48 | 
新型コロナウイルスの感染拡大は、アジアから欧米に移ったような感じです。海外のニュースを見ていると日本はそれなりに抑え込みに成功したような気もします。

ワクチンや治療薬の開発も世界中で進んでいるようですが、動物実験を経て安全性と有効性を確認する必要があり、実用化には年単位の時間がかかりそうです。そこですでに販売されている薬の中で効果のありそうなものの探索が進んでいます。

このブログでも抗インフルエンザ薬のアビガンを紹介しましたが、その後あまり進展はないようです。この効果があるという医薬品は色々と上がり始めていますが、期待が高まっている日本の医薬があります。

その薬は慢性膵炎の治療に使われているカモスタットで、タンパク質分解酵素の働きを妨げる作用を持つ薬で、小野薬品が創出し1985年に発売しています。既に物質特許は切れており、国内で多数の後発品メーカーが同じ成分の薬を販売しています。

この薬が新型コロナウイルスの感染を妨げる可能性があると、ドイツの研究者が科学雑誌に発表し、注目されています。

研究チームは新型コロナウイルスがヒトの細胞に感染する際に、細胞の膜上にあるACE2と呼ばれる受容体タンパク質に結合した後、やはり細胞膜上にあるセリンプロテアーゼと呼ばれる酵素の一種を利用して細胞内に侵入していることを突き止めました。

カモスタットはこの酵素を妨げる働きを持つことが知られており、SARSの原因となるコロナウイルスの感染を防げることは、実験室レベルではこれまでにも報告されていました。

今回の論文ではカモスタットを使うと、新型コロナウイルスでもSARSウイルスでも細胞への感染を妨げられることを培養細胞などを使った実験で確認しました。

ただ今回の論文によると、現在医薬品として処方される用量よりもかなり多くの量を投与しなければ、感染を防ぐ効果が得られないようです。ただし2016年に別の研究グループがマウスを使った実験によって、カモスタットがSARSウイルスの感染を妨げることを報告しています。

この実験ではマウスへの投与量は30mg/Kgで、これをヒトに換算すると1日150ミリグラムの2回投与で効果が得られることになります。この辺りはヒトでの臨床試験が必要となりますが、通常の投与量で効果が出るかもしれません。

カモスタットは日本と韓国でしか承認されていないので、それ以外の国で開発するには動物実験などから行う必要がありそうです。

日本でも肺炎を対象に承認された薬ではないので、今後重症肺炎患者などを対象に臨床試験を行い、安全性と有効性を検証する必要はあります。それでも実用化には、既に使われている薬を日本で臨床研究を行い有効性の確認をすればよいという最もスピーディーな道となります。

既に色々な薬の候補は出ていますが、実際に治療できる薬の確認が急がれるところです。


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