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生物学的アプローチでアンモニアを生産

2021-11-25 10:29:16 | その他
近年アンモニアを燃料とした発電機、船舶や航空機のエンジンなどの開発ということが話題となっているようです。

私の感覚からするとアンモニアは反応性が高く、金属などを腐食する性質がありますので、エンジンなどには使いにくい気がしますが、強い素材自身が研究されているのかもしれません。

アンモニアは、カーボンニュートラルの観点から次世代のバイオ燃料として注目されているようです。このアンモニアが燃料として使えるかは別にしても、重要な肥料の原料として大量に生産されています。

昔から「ハーバーボッシュ法」という化学的な手法で生産されていますが、この方法は高温高圧を必要とし、全世界の使用エネルギーの1〜2%を占めるといわれるほど大量のエネルギーを必要とします。

京都大学とベンチャー企業が、食品廃棄物の「おから」などから生物学的アプローチでアンモニアを大量に生産できるプラットフォームの構築に成功したと発表しました。世界では先進国を中心に食品加工廃棄物が大量に廃棄されている実情があります。

例えば大豆の残渣であるおからは、世界で最も廃棄されている食品加工物と言われています。これは家畜の飼料に活用されたりしているようですが、土壌に埋め立てたりすることも多いようです。

今回発表されたおからを使ったアンモニアの生産については、いくつかの手法を紹介しています。細胞表層工学による細胞外でのグルタミンからアンモニア生産や、L-アミノ酸オキシダーゼによるアミノ酸混合液からのアンモニア生産などです。

また空中窒素からの直接的な変換として、ニトロゲナーゼなどの酵素によるアンモニア固定も挙げています。ニトロゲナーゼなどの酵素を用いて、空中窒素からのアンモニア固定が理想ですが、この酵素は酸素に非常に弱く、好気条件では簡単にダメになってしまうようです。

しかしニトロゲナーゼが好気条件でも働いている微生物が発見されたこともあり、さらにこの研究が進んでいくことが予想されます。

ベンチャー企業は、40もの微生物をトウモロコシの根に直接つけて、空気から窒素を取り込み植物が成長するために必要なアンモニアの生成に成功しています。

化学肥料は大雨などで流れてしまうという課題がありますが、この微生物によるアンモニア生成は植物に留まり、水などでは流れていかないというメリットもあります。

このアンモニアの生物学的なアプローチは、どの程度の規模のプラットフォームになっているかなど詳細は分かりませんが、うまいおからの利用法になっていることは確かなようです。

ただおからの成分の大部分は炭素ですので、窒素分をうまく取り出せるとしても、残った炭素分をどうするのか若干気になるところです。


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