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生命とは何かを考える「極限環境微生物」

2022-11-27 10:34:05 | 自然
私は生命の起源に興味を持っていますが、残念ながら私が生きている間には明確な回答は出そうにありません。

このブログでも生命の起源の謎に迫るような記事をいくつか紹介していますが、まだまだ謎は深まるばかりといえそうです。最近生命とは何かを考えさせられるような、「極限環境」に生育する微生物が見つかっています。

具体的には数百度にもなる熱水が噴き出す深海の熱水噴出孔や、逆に極寒の南極の氷床下、さらに乾燥した砂漠など普通の生物なら到底生きられないような環境です。

海洋研究開発機構の研究チームが、1億150万年前の地層から栄養がほとんどない環境で生きる微生物を発見したと発表しました。研究が始まったのは12年前で、研究チームは日本から8000キロ離れた南太平洋のある海域に、微生物を探す航海に出ました。

その海域は陸地から遠く離れ、周囲に南太平洋還流という海流が流れているために、陸地からの栄養が届きにくく、微生物のエサになる有機物が極端に少ない極限環境にあります。

この海域の水深およそ5000メートルの海底を掘削し、恐竜がいた白亜紀の地層のサンプルを採取しました。すると大きさ1000分の1ミリほどの微生物がごくわずかながら確認されました。周囲の地層から微生物は移動することも無く、確かに1億年以上そこにいたと考えられました。

これが本当に生きているのかを確かめるために、エサを与えて実際に食べるかどうかを調べる実験を行いました。エサとして与えたのは、自然界にほとんど存在しない「炭素13」という同位体を含むアミノ酸などです。

特殊な装置で解析したところ、エサの目印である炭素13が確かに微生物の体に取り込まれていることが確認されました。またエサを与えたのち微生物がどのくらい増殖したかを計測してみると、60日後にはその数が1万倍にも増えていることが確認されました。

微生物には「寿命」という概念はなく、分裂するまでの時間を「世代時間」とよんで寿命のようなものとして扱っています。大腸菌の場合、分裂に適した環境下では世代時間は30分ほどとなっています。

栄養がほとんどない極限環境で見つかったこの微生物は、エネルギーが足りず分裂することができないものの、かろうじて自身の細胞を維持することができたために、1億年以上の世代時間を生き続けることができたようです。

なぜそれほど栄養が少ない場所で微生物が生きられたのかはまだ明らかになっていませんが、研究チームは仮死状態や冬眠状態のように、消費するエネルギーの量を極端に減らすなど何らかのメカニズムが働いているのではないかと考えています。

このように1億年という長い時間をエネルギーの供給無しに生き続けたということは、「生命とは」を改めて考えさせられる現象といえるようです。


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