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ESから作った肝細胞を重病新生児に移植

2020-06-07 10:35:58 | 健康・医療
体のさまざまな組織になる胚性幹細胞(ES細胞)から肝臓の細胞を作り、重い肝臓病の赤ちゃんに移植したと、国立成育医療研究センターが発表しました。

ES細胞から作った細胞の移植は国内で初めてで、赤ちゃんへの移植と肝臓病での移植は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)も含めて世界で初めての試みです。

同センターによると、対象は生まれつき肝臓で有害なアンモニアを分解できない「尿素サイクル異常症」の赤ちゃんで、移植した細胞が腫瘍化しないかなどの安全性と有効性を検証し、薬事承認を目指す臨床試験(治験)として実施しました。

この病気では、血中アンモニア濃度の上昇を薬で抑えられないと肝移植が必要になりますが、体重が約6キロに達する生後3~5か月までは難しいようです。アンモニア濃度が高まって発作を繰り返すと脳に障害が残り、死亡する恐れもあるとしています。

この病気のために肝移植が必要で、細胞移植の対象となる患者は年30〜50人とみられています。赤ちゃんは生後2日目だった昨年10月に発作を起こし、同センターに搬送されました。

同センターは生後6日目にES細胞から作った肝細胞1億9000万個を肝臓につながる血管から注入しました。5か月後に父親が提供した肝臓の一部を移植するとともに、元の肝臓を摘出し、その後無事に退院しました。

ES細胞からの幹細胞移植後は薬を併用し、アンモニア濃度は高くならず脳にも障害が残りませんでした。細胞が肝臓に定着してアンモニアを分解し、治療効果を高めた可能性があるようです。

同センターは他に4人に移植し、2022年度中にも承認申請をしたい考えで、他の肝臓病への対象拡大も検討するとしています。

今回のES細胞からの肝細胞移植は、それによって治癒するわけではありませんが、生体肝移植するまでのつなぎとしての重要な意義があるようです。同センターは、今後も厳重な観察が必要だが、安全に幹細胞を移植することができたと話しています。

このES細胞やiPS細胞から特定な細胞へと分化させる技術は、確実に進歩していますが、この様な再生医療が実際に行われるようになったというのは大きな進展と言えます。

多分これからの大きな課題はコストとなるのかもしれません。今回の幹細胞移植がどの程度かかったかは明らかにされていませんが、iPS細胞からの移植では数千万円かかることが多いようです。

こういった再生医療が多くの患者に適用できるようになるには、この膨大な費用を如何に抑えるかも大きな課題となるような気がします。


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