ごっとさんのブログ

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「胃ろう」による延命治療は必要か

2019-11-22 10:28:32 | 健康・医療
スイスへ赴き、安楽死を選んだ女性が報道されて以降、「人の尊厳」に関わる議論が交わされているようです。

その重要なテーマの1つに「胃ろう」があげられています。口から食事をすることが困難な患者の胃に、直接栄養を送るシステムですが、これによって確実に延命ができるようです。

私の身近のところにも胃ろうで延命している人がいます。認知症が進み普通のコミュニケーションも取れなくなり、食べられなくなったときに、医師から点滴にすると2か月ぐらいといわれ、家族が胃ろうを選択したようです。

意識があるのかもわからないような状態になり、1年以上が経過していますが、これで本人が幸せとは言えないでしょう。胃ろうをやめる決断は難しいのはわかりますが、このまま続ける問題点をいろいろ指摘しています。

さて高齢者が病気になることや体力が衰えることは、生物として当然のことであり、避けられないことです。認知症患者でもほかの病気の患者でも、最終的に嚥下機能が衰え、食べられなくなり弱っていくのは最も多い最期の迎え方といえます。

食べられなくなったら「老衰」と判断して、そのまま枯れるように亡くなることを良しとするのか、胃ろうなどの経管栄養で生命を維持するのかは、本人と家族の判断に任せるしかありません。

十年以上前までは、どれだけ高齢であっても救命することが正しいと考えられ、どの病院でも家族の希望を聞くこともなく経管栄養に切り替えていました。国民皆健康保険に守られている日本の風土がそうさせていたのかもしれませんが、胃ろうが急増した理由には「家族の望む処置」でもあったという面もあるようです。

老衰に近い状態になってくると、家に帰るか病院で看取るかだと多くの人が病院にお願いし、病院側は何も治療しないで入院させておくことはできず、胃ろうを作るという結論になっていたようです。

それを近年少しは見なおそうという動きも出ているといいます。「ピンピンコロリ」を希望していた患者に、胃ろうを作ることが本当に必要なのかという議論が出始めているのかもしれません。

家族が望む場合、医師はその気持ちを尊重しますが、再び元気になるれる可能性がある人が病気治療のために作る場合以外、胃ろうについては推奨できないケースも多いようです。

嚥下機能が回復しなかった場合、一度付けた胃ろうを外すことは難しいものになるという事を、家族も医療従事者も知っておく必要があります。延命治療を行うかどうかについて、事前に患者本人と家族に対してメリットとデメリットを丁寧に説明し、本人の意思を確認することが重要とされています。

これは実際にはかなり難しい問題ですが、延命だけの胃ろうは医師の側から止める努力をしてほしいと考えています。


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