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糖質で働く脳のはなし

2020-05-10 10:25:04 | 自然
糖質が無いと脳は働きませんが、糖質だけで働くわけではなようです。

脳の重さは体重の2%前後で、体重65キロなら1,300グラムに相当します。それなのに脳は、1日に消費している総カロリーのおよそ20%を使っている大食漢でもあります。

1日の消費カロリーが2万として、約4000キロカロリーというと6Kmの長距離を走った時とほぼ同じカロリー数となります。仕事で非常に脳を使う日もあれば、休日の様にリラックスしてぼんやり過ごす日もあります。

頭を使った方が脳の消費エネルギーも増えそうですが、実際はあまり変わらないようです。脳の消費エネルギーの80%ほどは、ぼんやり過ごして脳が意識的に活動していないときで、これをデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)と呼んでいます。

DMNでは脳が内向きかつ自省的になり、それまでにインプットした情報源をランダムに組み合わせて新たなひらめきを生み出しています。筋肉が筋肉細胞の塊とすると、脳は神経細胞でニューロンと呼ばれており、脳全体で1,000個以上もあります。

そのエネルギー源は糖質しか利用できないといわれており、脳には糖質を優先的に取り込む仕組みが備わっています。細胞がエネルギー源とするのは、血液中を流れる糖質である血糖で、筋肉などの細胞が血糖を取り込むには、膵臓から分泌されるインスリンに手助けがいります。

ニューロンは血糖値が上がるだけで、インスリンがなくとも血糖を取り込んでエネルギーに変えることができます。しかし脳の疲労感を抑えて集中力を高めたいなら、糖質以外の栄養素も同時に摂取した方が良いようです。

糖質が働くにはビタミンやミネラルの作用が不可欠だし、ニューロンの活動にはタンパク質や脂質も必要です。糖質制限食がブームになった際、批判は脳は糖質しかエネルギーにできないから、糖質を制限すると頭が働かなくなると反対しました。

しかしニューロンが糖質を好むことは事実ですが、その他にも脂質由来の脂肪酸やケトン体もエネルギーにできます。ケトン体は、糖質やエネルギーが足りなくなると、肝臓で脂肪酸から作られる物質です。

また身体には脂質やアミノ酸から糖質を作り出す糖新生という仕組みがあります。血糖が不足しないようにバックアップしているので、糖質を制限しても脳が血糖不足に陥る恐れは少ないのです。

糖尿病は細胞に血糖を導きいれるインスリンの働きが落ち、血中に血糖があふれて血糖値が高くなりすぎる病気です。

糖尿病などの理由でニューロンが血糖を取り込めず、ケトン体なども使えないとエネルギー不足で働きが落ちて認知症に陥りやすくなり、そういった点で脳の糖尿病と言えます。

このように脳はまだまだ不思議な部分が多い臓器と言えるようです。


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