ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

理化学研究所の雇止め問題と研究者の処遇

2022-12-14 10:35:58 | その他
日本の研究機関のトップクラスである理化学研究所での、大型プロジェクト終了後の雇止めが度々ニュースとなっていました。

日本の研究が低調になっているという話しもありますが、研究者をいかに処遇するかは今後の大きな課題といえます。

研究者として大学に残り、良いポストがあって教授までなれば研究環境が保証されますが、それは研究者のほんの一部でしかありません。私は企業研究者としてほぼ研究を続けることができましたが、企業における研究者の処遇もいろいろと問題があるようです。

ここでは私の経験した企業内での研究者の処遇の笑い話のような昔ばなしです。会社員にとっては究極の目標は、社長にまではならないとしても、それなりの地位に就くことでしょう。

これは研究者にとっても同じなのですが、実は会社という組織内では研究と地位を両立させることがかなり難しい課題となっています。私の勤務した会社もこういった問題に対していろいろ試行錯誤をしていましたが、多分今でも解決できていないでしょう。

研究所では管理職になると「主任研究員」という肩書になりますが、このまま課長待遇から次長、部長待遇となっていきました。名称は主任研究員だけですので、外からはどんな待遇なのかは分からないシステムでした。

私が40代半ばのころ、医薬研究所という別な研究所で主席研究員という制度を導入しました。これを私のいた研究所も真似したようで、私が最初の主席研究員に任命されたのです。

この辞令を所長室でもらった時事務課長もいましたので、この「主席」になると何が変わるのかを聞いてみました。事務課長もよくわからなかったようで、調べて返事をするということになりました。

しばらくして事務課長がやってきてひとこと「申し訳ありませんが、全く変わることはありません」という返事でした。つまり新たに主席研究員という制度ができたわけではなく、単に名称だけ変えるだけというお粗末なものだったのです。

その後研究職の社内での処遇を改善する必要があると強く感じ、本社人事部の若手と一緒に「専門職制度」についての調査を行いました。専門職制度は簡単にいえば、研究職などの職務に付いたまま取締役などの役員と同じ待遇をするという制度です。

そのころすでに大手電機メーカーや化学系企業も取り入れているところがかなりありました。半年ぐらいかけてそういった会社を訪問し詳しい内容や問題点を聞いて回りました。

その資料を基に本社人事や法務と協議をして、報告書にまとめて提出しましたが、残念ながら採択されることはありませんでした。

しかし良い研究者を育てるという点ではこういった制度は必要なのですが、私の勤務した会社のような古い体質では難しかったようで、その後こういった制度については全く聞くことがないのは残念なことです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿