ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

肥満と糖尿病を悪化させる腸内細菌の正体

2025-01-24 10:34:29 | 健康・医療
最近「脳腸相関」をよく取り上げますが、脳と腸は情報のやりとりをして互いの機能を調整するというものです。

これはいまいち納得できない部分もあるのですが、昔から長生きする人は胃腸が丈夫という話しもあるようで、腸の重要性を示しているのかもしれません。

実際腸内環境が乱れると不眠、うつ、発達障害、認知症、糖尿病、肥満、高血圧、免疫疾患など、全身のあらゆる不調に関わることが分ってきているようです。

トランス脂肪酸を多く摂取すると、血中のLDL-コレステロール濃度が上昇します。コレステロールはそのままの状態では血中に溶けませんので、タンパク質と結合して血中に存在しています。LDL-コレステロールの血中の濃度が高すぎると、血管壁に蓄積し始めます。

すると血管が細くなり血栓ができ、動脈硬化を引き起こします。肥満・高血糖のマウスの腸内マイクロバイオータから、肥満や高血糖を悪化させる可能性のある腸内細菌のひとつとしてFI菌(学名は略します)が同定されました。

そこで肥満・糖尿病患者と健常者のそれぞれ34人の糞便中に含まれるマイクロバイオータを解析したところ、FI菌を保有している人の割合が肥満・糖尿病患者では、健常者の2倍ほど高くなりました。

腸内に大腸菌のみ定着させたマウスの餌にFI菌を添加して腸に定着させることで、FI菌の機能についての解析を行いました。

その結果、大腸菌のみ定着しているマウスと比較して、大腸菌とFI菌が定着しているマウスでは、高脂肪食を与えた際に体重と脂肪量が増加するだけではなく、血中コレステロール濃度が上昇することが分りました。

この結果から、FI菌が高脂肪食中に含まれる脂質を代謝して産生する腸内代謝物が、肥満の症状を悪化させる可能性が考えられました。

マウスの糞便中に含まれる腸内代謝物を解析したところ、高脂肪食を与えた時のみ大腸菌とFI菌を定着させたマウスで、トランス脂肪酸のエライジン酸が増加していました。つまりFI菌は、高脂肪食中に存在する脂質を代謝してエライジン酸を作り出すことが分ったのです。

次にこのマウスの血中に含まれる脂肪酸を解析したところ、血中のエライジン酸の濃度は増加していませんでした。つまりエライジン酸が体内に取り込まれることで、肥満の症状を悪化させていたわけではないようです。

そこでエライジン酸は、体内に取り込まれずに腸管に何らかの影響を与えている可能性が考えられました。結局FI菌を定着させたマウスでは、腸管バリア機能が低下していました。

バリア機能が低下すると、未消化物や老廃物、微生物成分が体内に漏れ出すようになり、これらの物質が血中に混入して炎症を引き起こすリーキーガット症候群になっていたのです。

結局腸内細菌をコントロールした方が良いわけですが、食事以外は難しいようで、あまり良い方法はないといえそうです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿