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脳内の酸化的DNA損傷とアルツハイマー病との関連

2022-07-29 10:27:28 | 健康・医療
アルツハイマー病の発症原因はアミロイドβなどのタンパク質の蓄積という説が主流になっており、これを超えるようなものは出てきていません。

私の母は亡くなる前軽度の認知症になり、義父母はかなり重度で特に義父は若年性ともいえる年齢で発症し亡くなっています。認知症に遺伝性のものがあるというはなしは出ていませんが、若干気になるところです。

ボストンとブリガムの病院と大学の研究者たちが、脳内の酸化的DNA損傷によってアルツハイマー病が引き起こされる可能性について報告しています。

300以上の脳細胞の全ゲノム配列解析の結果、アルツハイマー病が主に影響を及ぼす海馬と前頭前野の2つの領域で、酸化的なDNA損傷が顕著であると判明しました。

ゲノムの広範囲な変異は、アルツハイマー病におけるタウタンパク質とアミロイドβの蓄積に対応して生じる活性酸化種への暴露の増加に関係しているとしています。酸化的DNA損傷は、外部と内部の両方からさまざまな形で生じます。

通常の細胞の代謝過程でも、活性酸素種の前駆体として知られるスーパーオキシド副生成物が生成されることがあります。低レベルでは活性酸素は細胞のシグナル伝達や恒常性の維持に関与していることが知られています。

しかしこれらの分子が細胞内に蓄積されると、DNAを不安定にするのはもちろん、細胞機能を破壊する可能性があります。細胞は活性酸素の影響を最小限にする方法を発達させてきましたが、これらのメカニズムは完全ではありません。

アルツハイマー病は活性酸素の産生の増加や、DNAとRNAの両方に対する酸化的損傷によって示される広範な酸化ストレスと関連しています。

この研究はアルツハイマー病の患者と非患者の死後脳試料から前頭前野と海馬に存在する個々の神経細胞の全ゲノム配列の決定を試みています。この結果特にDNAの変異は、グアニンヌクレオチドに影響を及ぼしていました。

活性酸素にさらされるとグアニンヌクレオチドは、8-オキソグアニンに変異する可能性があります。アルツハイマー病患者の神経細胞のDNAに、有意に高いレベルの8-オキソグアニンが検出されています。

こういった細胞が酸化的なダメージを受ける要因は、アルツハイマー病の発症中に脳内の炎症が増加し、脳細胞が大量の酸素活性種にさらされるようになるというものです。またアミロイドβはサイトカインだけではなく、活性酸素の放出の引き金となるようです。

このように脳内のDNA損傷が核酸塩基(グアニン)が酸化されてしまうというのは、あまり聞いたことない説と思われます。

今回の結果が治療法に結びつくかは分かりませんが、アルツハイマー病発症の謎に一歩近づいたといえるのかもしれません。


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