ごっとさんのブログ

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日本の高齢者医療が抱える不思議な問題

2022-07-30 10:35:09 | 健康・医療
私は一昨年「75歳、医療からの卒業」という本を出しましたが、この主旨は高齢者になり病気が見つかっても、治療する身体の負担など考えれば何もしなくても寿命はそれほど変わらないだろうというものです。

今回これに近いかさらに踏み出したような記事を見ました。これは高齢者医療の専門家の話ですが、高齢者は「病院に行かない方が死なない」とまで断言しています。

現在の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳と女性の方が6年長くなっています。何となくそんなもんだと思っていましたが、筆者はこの差と健康診断を絡めて議論しています。この差の原因のひとつに、日本人の「健康診断信仰」があるとしています。

定期の健康診断の多くは企業で実施されており、一昔前までは検診を受ける割合は男性が圧倒的に多いという状況でした。検診が長生きに寄与するなら、男女の寿命は逆転しているはずがむしろ差が広がっており、健診が意味をなしていなといえます。

検診で示される「正常値」が本当に正常なのかは疑ってみる必要があり、正常値は一人ひとり違うと考えるべきです。また多くの医師は検査の数字は見ますが、患者は見ていないとしています。目の前の患者の身体に起きていることよりも、定められた数字を重視しているわけです。

数値を正常にするために薬を服用し、身体の調子を落とす人や残っている能力を失ってしまう人、寿命を縮めてしまう人がいるのです。

ここでは病院に行かない方が死なないという例として、北海道夕張市を挙げています。夕張市は住民の約半数が高齢者で、全国の市区の中で「高齢化率日本一」といわれており、市民にとって病院は命を守る生命線だと思われていました。

ところが2007年に夕張市は財政破綻をし唯一の市立総合病院が閉院してしまったのです。総合病院は小さな診療所になり、171床あったベッド数は19床に減らされ専門医もいなくなりました。

その結果はガン、心臓病、肺炎で亡くなる人は減り、高齢者1人当たりの医療費も減ったそうです。ベッドは空きが出るほどになり、死亡する人の数も以前とほぼ変わりませんでした。

3大疾病が減り全体の死亡者数は変わらないということは、「老衰」で亡くなる人が増加したようです。老衰が「天寿を全うした」ことになるかはやや疑問もありますが、病院で亡くなる人より自宅で亡くなる人が増えました。

80歳を過ぎた人は、体の中に「複数の病気の種」をかかえており、明らかな症状はなくても何らかの不調はあるはずです。ここでは「闘病」ではなく「共病」という言葉を使い、病気と闘うのではなく共に生きることを薦めています。

このあたり私の感覚と非常に近い意見として紹介してみました。


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