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血液でアルツハイマー病判別

2018-02-10 10:43:33 | 健康・医療
国立長寿医療研究センターと島津製作所の研究チームが、認知症で最も多いアルツハイマー病の原因物質の脳内への蓄積を、わずかな血液で調べることができる検査法を開発しました。

アルツハイマー病は、認知症全体の6~7割を占めるとされています。神経細胞が傷ついて脳が委縮し、記憶が欠落したり時間や場所が分からなくなったり、身の回りのことができなくなったりします。進行を抑える目的の薬はありますが、根本的に治す薬は現時点ではありません。

今回の検査法で調べるのは「アミロイドβ」というタンパク質で、発症の20年ほど前から脳に徐々に蓄積されます。簡便な検査法ができたことで、発症前の人を対象にした根本的な治療薬の開発を促進するものと期待されています。

アミロイドの検査は、1人あたり十数万~数十万円かかる特殊な脳画像検査や、背骨の間に針を入れて脊髄液を採取する検査法が用いられています。費用や体への負担が大きく、大規模な研究が難しい原因にもなっています。

アミロイドは血中にわずかしか含まれておらず、血液検査で調べるのは難しいとされてきました。

研究チームは、アミロイドの蓄積によって変動する複数の関連物質の比率から脳内の蓄積の度合いを推定する技術を開発し、わずか0.5mlの血液で測定できる方法を確立しました。

アルツハイマー病は、無症状だがアミロイドが徐々に蓄積する段階を経て、軽度認知障害から発症へと進みます。

研究チームは、オーストラリアにある世界有数の認知症研究組織と連携しました。健康な人を含む60~90歳の日本人121人とオーストラリア人111を対象に、血液検査と脳画像検査を行い結果を比較しました。その結果両国とも約9割で一致し、アミロイドの有無を正しく判定できました。

研究チームによると、アルツハイマー病の根治薬の研究は近年、発症前段階を対象にしているようです。簡単な血液検査により対象者を選び出せることで、研究の加速が期待できます。さらに治療法が開発されて社会の合意が得られれば、発症前の高齢者検診に生かせる可能性もあるとしています。

しかし私の感じでは、根本的な治療薬ない現状では、原因物質の蓄積というリスクだけわかっても、「早期診断」が「早期絶望」につながりかねないような気がします。遺伝子診断などと同様に、新たな悩みや差別の原因になる恐れもあります。

この検査法の確率は素晴らしいことですが、優先しなくてはいけないのは有効な治療薬や予防法の確率でしょう。健診での活用は、その先に見えてくるもののような気がします。


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