ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

人工物は危険で天然物は安全というのは単なる「信仰」か

2023-07-09 10:39:49 | その他
私は長年新規化合物を合成し、その生体への作用を見るという研究を続けてきました。その結果人工物であろうと天然物であろうと化学物質の人体への影響は同じであると感じています。

ところが巷では、天然物は安全であり、肥料や農薬などを使わないオーガニック(有機)農業がもてはやされ、非常に高価であるにもかかわらず注目を集めているようです。

またファストフードなどには多量の食品添加物が入っており、健康に悪いという事が当たり前のような風潮があります。こういった傾向がいつ頃始まったのか分かりませんが、最近は特に強まってきており、いわば天然物の「信仰」のような感じすらします。

食品は毎日食べるものですから、安全なものを指向するのは当然のことですが、なぜそれが天然物は安全という方向に行ってしまったのでしょうか。現在知られている毒物のほとんどすべてが天然の植物や動物由来です。

もちろん現在の農産物は、こういった有害物質が含まれないように育種されたものですので、全く危険はありません。しかし例えばジャガイモの芽が出たりすると、その中には有害物質が含まれていることはよく知られた事実です。

また食品添加物を嫌う人は多いようですが、確かに現在は非常に多種の食品添加物といわれる物質が存在しています。これらのすべては人体に全く影響がないことが科学的に証明された化合物です。

確かにいくら安全が証明されていても、人工化合物という点で何となく気持ちが悪いことはあるでしょう。しかし実はほとんどの食品添加物は、天然の化合物です。その代表例が調味料などとして使われているアミノ酸です。

うま味調味料として知られているMSGをはじめとして、イノシン酸などすべて天然に存在しているものなのです。どうもコンブなど天然のイノシン酸は安全だが、化学合成したイノシン酸は危険という論理的でない議論がされているような気がします。

特にアミノ酸類はすべて微生物による発酵法で作られていますので、分類的には天然物になるのですが、人間が製造しているという点で拒否されるのかもしれません。

ついでに魚介類も養殖より天然物が好まれるようですが、養殖では健康管理はしっかりしており(この辺りが嫌われているようですが)、病気などの魚介類が出荷されることはありません。

しかし天然ではどんな状態かは見た目で判断しているだけですので、病気や貝毒などが含まれているかもしれません。

ここではオーガニック農業のメリットやデメリットは省略しますが、天然物指向が本当に安全かというと、単なる「信仰」だと思っています。ただし天然物を食べているという安心感は、良い方向に作用することはあるでしょう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿