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更年期症状に有効か「エクオール」のはなし

2022-04-19 10:26:05 | 化学
女性の更年期症状の改善に「エクオール」というイソフラボンが有効という記事を見ました。

こういったイソフラボン類などが女性ホルモン様の作用をするというのはよくある話なのですが、エクオールという化合物は初めて目にしました。

私は仕事がら色々な化合物などが目に入ると、場合によっては構造式も含めて記憶するといういわば職業病のような癖があります。イソフラボンは何十種類かありますが、大体は知っているはずが、初めて見たというのはやや驚きでした。そこでエクオールについて少し調べてみました。

これは最近更年期障害に有効ということで、すでにかなり多くのサプリメントまで出ている化合物でした。このサプリメント業者の対応の速さには驚かされますが、生理活性を持っているイソフラボンが何の規制もないサプリメントとして販売されているのは問題かもしれません。

エクオールは古くから知られていたようですが、1980年に人の尿から検出され、エストロゲンまたはアンドロゲンに起因する疾患または障害の治療に効果があることが1984年に報告されています。

それ以後エクオールに関する研究結果はいくつも発表されており、女性ホルモンの低下とともに現れる不調(ホットフラッシュ、頸や肩の凝り、肌のしわなど)への効果が確認されています。

このエクオールは面白いところがあり、女性の中で体内で作れる人とそうでない人がいるようです。体内で作るといってもヒトの酵素ではなく、腸内細菌の種類によって変換され、既にどんな腸内細菌が必要かもわかっているようです。

日本人では体内で作れる人が50%、欧米人は20〜30%で、日本人は昔から大豆製品を食べる習慣があることも要因のひとつとされています。

エクオールのヒトへの影響については、厚生労働省研究班による大規模なコホート研究では、食品からのイソフラボンの摂取量が多いほど日本人女性の乳ガンや脳梗塞と心筋梗塞、男性の一部の前立腺ガンのリスクが低下するという相関関係が報告されています。

これは大豆イソフラボンのエストロゲン様作用が、イソフラボンが腸内細菌で代謝されて産生されたエクオールによるものではないかという仮説が立てられています。

ただしエクオールは、エストラジオールと比較してエストロゲン受容体のエストロゲンに対する親和性の約2%しかないという報告もあり、この仮説が正しいかどうかはいまだ不明なようです。

私は男性の更年期というようなことも無く、既にその歳をはるかに超えていますが、好きな納豆でも食べることは何か良いことに繋がりそうな気もしますので、これからも積極的に食べようかと思っています。


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