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コロナワクチンの代替策としてのモノクローナル抗体

2021-02-20 10:28:07 | 健康・医療
日本でも新型コロナワクチンの接種がついに始まりましたが、免疫関連の病気になどによりワクチンが接種できない人も多いようです。

こういった免疫不全の患者がどの程度いるのかははっきり分かっていないようですが、アメリカだけで約1000万人、つまり人口の約3%程度と推定され、予想外に多い気がします。

これには遺伝性免疫不全疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患、免疫抑制剤を服用しているガン患者や臓器移植者などが含まれています。こうした人たちはワクチンを接種してもウイルスを中和する抗体を作れない人もいます。

そこで世界中の製薬会社が、免疫の仕組みを利用しない予防及び治療法の開発に取り組んでいます。有力なのが人工的に作製したモノクローナル抗体を利用する方法です。

モノクローナル抗体がウイルスのスパイクタンパク質の重要な部分に結合すれば、ウイルスが細胞の中に侵入するのを防ぐことができます。以前は免疫不全の人たちをウイルスから守る手段は免疫グロブリン静注法しかありませんでした。

健康なドナーの血漿に含まれる免疫グロブリンを患者に投与することで、感染症に対する抗体を付与する治療法ですが、供給量が限られているうえ高価で効果が3週間しか続きませんでした。

その点モノクローナル抗体は特定のウイルスを中和できますが、その製造にかなり手間がかかりました。近年の技術的進歩により、開発に必要な期間は10カ月程度まで短縮され、抗体の構造を工夫することで効果の持続時間も数カ月程度まで伸びています。

現在モノクローナル抗体の臨床試験が行われていますが、成功すれば免疫系が衰えてきた高齢者などワクチン投与で十分な抗体を作れない人も守れるかもしれません。

しかし問題はモノクローナル抗体が非常に高価になる可能性があることです。以前の1100万円といった価格からはかなり安くできそうですが、それでも1回の投与に20万円程度かかるようです。

ワクチンの価格は2000円前後とされていますので、まだまだ高価な薬と言えるようです。アメリカ政府は患者が医療保険に加入しているかどうかにかかわらず、無料で提供することを検討しているとしています。

現在モノクローナル抗体は軽症から中等症の入院していない患者の治療に使用されていますが、承認が下りればワクチンの代わりになる措置になるかもしれません。

こういった免疫不全の患者の感染症治療法が出てきたことは良いことですが、この価格では豊かかどうかで使用できるかどうかが決まる格差問題が浮上するのかもしれません。ましてワクチンのように予防的に使用するためには、あまりにも高すぎる気がします。


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