ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

日本はなぜガン大国になったか

2020-03-11 10:23:30 | 健康・医療
現在日本人の男性の3人に2人、女性でも2人に1人が生涯で何らかのガンにかかっています。

日本は有数のガン大国となっていますが、なぜかというと難しい問題のようです。ガンは遺伝子の病気ですが、細胞の設計図であるDNAには遺伝情報が暗号のように保存されています。

暗号として使われている文字は、4勝類の塩基(A:アデニン、G:グアニン、C:シトシン、T:チミン)の対からできており、A-TまたはG-Cの塩基対が存在します。ヒトではこの塩基対の数は約30億個であることが分かっています。

そのうち実際にタンパク質合成のもとになっている遺伝子の数については、科学者の間での合意はできていませんが、2万1000個程度と予測されています。この遺伝子はただ生きているだけで傷ついていき、ものには必ず経年劣化を起こしますので、当然といえるわけです。

特に遺伝子に傷(突然変異)ができると、細胞はとめどなく分裂を繰り返すことになります。こうした遺伝子には、細胞分裂を止める働きをする「ガン抑制遺伝子」や細胞の分裂を進める「ガン遺伝子」があります。

突然変異によって、がん抑制遺伝子が働かなくなったり、ガン遺伝子が異常に働き続けたりすると、細胞は死ぬことができなくなり異常な増殖が続くことになります。

残念ながら年齢とともに、ガン抑制遺伝子やガン遺伝子に突然変異が積み重なっていき、ガン細胞が発生しやすくなります。一言でいえばガンは「遺伝子の老化」といってよい病気です。ガンは遺伝子の病気ですが、遺伝する病気ではありません。

確かに生殖細胞の遺伝子異常が代々受け継がれて、特定のガンを発症しやすい家系も存在しますが、ごくわずかな割合にすぎません。こうした家族性腫瘍はガン全体の5%にすぎず、「遺伝子の傷」は身体の細胞に後天的に生じるものです。

健康なヒトの身体でも毎日多数のガン細胞が発生していることが分かっていますが、免疫細胞が水際でこれを排除してくれています。

ガン細胞はもともと私たちの正常な細胞から発生していますので、免疫細胞にとって異物と認識しにくい傾向がありますし、年齢とともに免疫力も衰えてきます。年齢とともに遺伝子に突然変異が積み重なって、ガン細胞の発生が増え、その一方で免疫細胞の働きは衰えるのです。

ガンとは一種の老化であり、日本人が長生きになったことが、日本でガンが急増する理由といえます。そして日本に特徴的なことは、高齢化が史上空前のスピードで進んだことです。

現在65歳以上の高齢者が、人口に占める割合は28%と世界一となっています。この高齢化のスピードも歴史上最も早いペースで、この急ピッチのガンの増加に行政や教育などが追いついていないのが今の日本の姿だといえるでしょう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿