ごっとさんのブログ

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   薬と猫と時々時事

ネコの寿命が大幅に伸びるAIM治療薬の開発

2023-10-18 10:31:34 | 
私の家は常に3.4匹のネコを飼っていますので、今まで多くのネコを看取ってきました。

色々な病気がありますが、やはり一番多いのは腎臓病でした。あるネコは甲状腺亢進症になり、薬を飲んでいましたが血圧が上昇し、失明後亡くなるという状況もありました。またたぶん脳卒中を発症して、わずか2日で亡くなったネコもいました。

腎臓病になるとまずエサを食べなくなり、皮下点滴などで少し良くなるのですが、徐々痩せていくという経過をたどります。この腎臓病はネコの宿命的な遺伝病という説もあり、避けられない病気となっていました。

最近AIM(マクロファージのアポトーシス阻害剤)というタンパク質を投与することで、劇的に改善するという報告が続いています。余命1週間と診断されたネコが、このAIMを投与することにより、1年間寿命が延びた例も紹介されています。

これが実際にネコに投与できる薬が出来上がりつつあるようです。この創薬開発は順調に進んでいるようですが、やはりタンパク質医薬という点で難しさがあるといわれています。

その最大の問題点が薬の価格です。最近アルツハイマー病の治療薬が日本でも承認されましたが、この治療にアメリカでは年間300万円以上かかるといわれています。この薬は抗体医薬ですので、タンパク質医薬でも高価になりますが、いかに安く作るかが最大の問題点です。

AIMも遺伝子を改変した微生物生産になりそうですが、問題はある程度綺麗なAIMの精製法になります。遺伝子操作をした微生物と言ってもAIMだけを作るわけではなく、他のタンパク質との混合物になってしまいます。

不要なタンパク質が混入するとひどい発熱などの副反応が必ず出てしまうため、AIMだけを取り出す必要があります。現在はタンパク質の精製法も進歩していると思われますが、それでもこの単離には膨大なコストが掛かりそうです。

これである程度のAIMが確保できたとして、その後臨床試験を実施する必要があります。こういった動物(ネコ)を使った治験がどの程度手間がかかるか分かりませんが、投与量の設定から投与方法(静脈注射か皮下注射かなど)の設定までかなり大変な手順が必要でしょう。

こうして見ていくとAIMを承認申請して薬の許可を得るまでにはまだかなり時間がかかりそうです。私の家には血液検査でやや腎臓の値が悪くなっている年寄りネコがいますが、どうもこのネコの治療には間に合いそうにありません。

その前にこの高額になりそうなAIM医薬について、どの程度の治療費までネコたちにかけることができるかを話し合っておく必要はありそうです。


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